日米通算204勝目を挙げ、ファンの声援に応える田中将(カメラ・小林 泰斗)

写真拡大

◆JERAセ・リーグ 巨人14-1中日(19日・東京ドーム)

 巨人は15安打で今季最多の14得点を奪い、中日に2連勝。敗れた首位阪神にゲーム差なし、勝率7毛差に迫った。20日に阪神が敗れ、巨人が勝つか引き分けると自力Vが復活する。先発した田中将大投手(37)は、7回4安打1失点の好投で今季4勝目。日米通算は204勝となり、黒田博樹を上回り単独2位に浮上した。打線では左太もも裏肉離れから復帰した吉川尚輝内野手(31)が、4回に中前2点適時打を放つなど2安打2打点の活躍で、打線を活性化した。

 仕事は何か、分かっていた。田中将がここぞでチームの力になった。2週間ぶりの出番、白熱のV戦線で7回1失点のハイクオリティースタート(7回以上自責2以下)。「ホッとしてます」と141日ぶりの日米204勝目をかみ締めた。昨季の最終登板で200勝を達成して以来、約1年ぶりに東京Dでも勝利。「もうめちゃくちゃ嬉しい」とお立ち台で破顔した。

 先制直後の2回に3奪三振。14点の大量援護にも「だからといって失点するのは絶対嫌」とギアを緩めなかった。5月1日以来の白星でヤンキース時代の先輩・黒田の通算勝利数を超え「黒田さんに『早く抜いてくれ』と言われて4か月たってしまっている。このまま終わるのは嫌だった」と最終盤に意地を見せた。

 モデルチェンジし、MAX146キロの直球を速く感じさせた。6月の2軍降格を機にデータアナリストの元へ。限界はまだ先。「もっと引き出せる」とスタッフに背中を押され、組み立ての変更に踏み切った。スライダーの球速を5キロ近く落として120キロ台にし、チェンジアップも解禁。スプリット、カットボールなど速球に偏りがちだった配球を見直し中日打線を迷わせた。橋上監督代行はベテランの技に目を細め「本当に丁寧。役割を果たしてくれたし(試合)一番の勝因」と102球を絶賛した。

 直近4連敗、7戦連続で白星なし。苦しい時期を過ごした。2軍調整中の8月。代打の1打席で仕事をする盟友・坂本の姿に目を奪われた。「勇人、すごいなやっぱ」。言葉を交わさなくても伝わるものがあった。この日はそろって先発出場。背番号6の適時打にも支えられ「サードからいつも、いいタイミングで声をかけてくれる。助かってます」と照れ笑い。最後は2人並んで勝利のハイタッチに加わった。

 愛する家族のためにも復活したかった。楽天時代の2年前までは単身・仙台で暮らし自炊することも多々。東京で一緒に暮らす今はまい夫人の手料理が活力になっている。その中でたこ焼きパーティーをする日はパパが料理を担当。「関西人やから全部自分で作る。子どもたちが食べたい(と)言ったら」と基本に忠実なレシピで腕をふるう。休日が重なれば野球少年の息子を応援に行く。「子どものことになると感情的になりやすいね」とパワーに変えてきた。

 自身3年ぶりのシーズン4勝。首位阪神が敗れ、ついにゲーム差なしに迫った。20日に阪神が敗れ、巨人が勝つか引き分ければ自力Vも復活する。「これで喜んでたらアカンなって気持ちは正直ある。どんな形であれ、チームの力になれるように」。決意に満ちた表情で久しぶりのウィニングボールを握りしめた。(堀内 啓太)

高木豊Point 田中将は、すごく丁寧に投げていた。タイミングを外す変化球が主体のピッチング。その球がきちんとコントロールされていた。これは下半身がしっかりしていないとできない。5月1日以来勝ち星がなく、2軍での調整期間もあったが、その間めげることなく、ランニングを怠らなかったからこそ強化につながったのだと思う。投手の原点ともいうべき、制球と駆け引き。見事な投球だった。(スポーツ報知評論家・高木 豊)