【独自】エホバの証人、「他人の血」輸血を一部容認へ 内部文書入手 全血は禁止維持
教義で輸血の拒否を定めてきた、キリスト教系新宗教「エホバの証人」が18日、「他人の血液」の輸血を一部解禁する方針を全世界の信者に示したことが分かった。
FNNが内部文書を入手し確認した。教団は2026年3月、自らの血液を事前に採取・保存し、後に体内へ戻す「自己血輸血」を解禁したばかりで、輸血をめぐる教義を相次いで変更したことになる。
こうした変化について、元信者らからは歓迎する声が上がる一方、これまでの教義との整合性や、過去の輸血拒否をめぐる説明を求める声も根強い。(松岡紳顕)
教団幹部が「他人の血」の輸血解禁を発表
他人の血液の輸血を一部解禁する方針は18日、英語版の公式サイトで、アメリカ・ニューヨーク州に世界本部を置く教団の最高意思決定機関「統治体」からのビデオメッセージとして公表された。
統治体のメンバー、ジェフリー・W・ジャクソン氏は動画の中で、これまでの聖書の解釈について、「全血を口から取り入れることも、輸血によって取り入れることもすべきではなく、また献血もすべきではない、という意味に理解してきた」と説明。
一方で、「医療の進歩に伴い、様々な健康上の状況に、聖書の原則をどのように適用するか、多くの疑問が生じるようになった」として、今回新たに、他人の血液に由来する4つの主要成分「赤血球」「白血球」「血漿」「血小板」の輸血を解禁する方針を示した。
今後、こうした輸血を受けるかどうかについては信者の意思に委ね、教団は個々の判断に関与しないとも説明。
一方で、血液を成分に分けていない「全血」の輸血については、今後も禁止を維持するとした。
内部文書「全血輸血は『模範的な人とはみなされない』場合も」
FNNは、発表直後に教団幹部らに共有された内部文書を入手した。
文書にも、他人の血液に由来する4成分の輸血を受け入れるかどうかは信者個人が決め、教団はその判断に関与しないとの方針が明記されていた。
一方で、他人の「全血」の輸血を受けた信者については、今後も各教会の世話役「長老」2人が本人と面談し、輸血に至った経緯などを確認するよう指示している。
「本人の意思に反して輸血されたのか」「他の人から圧力を受けていたのか」「妥協するに至った、その他の酌量すべき事情があったのか」などを確認した上で、事情によっては「一定期間、模範的な人とはみなされない場合がある」と明記されていた。
元信者「輸血拒否の恐怖、今も心の傷」
今回の変化を元信者らはどう捉えているのか。
自らも手術の際に輸血拒否を強制されたという元2世信者の40代女性は、「医療の選択肢が増え、救われる命が増えると思う」と評価する。
一方、自らの経験について、「全身麻酔を受けつつ『このまま目覚めないのでは』と感じた恐怖は、今も心の傷として残っている」と振り返った。「聖書は変わっていないのに、教義だけは解釈によって変更を繰り返す。教団への怒りが湧くとともに、これまで輸血ができなかったことで亡くなった方々を思うと心が痛む」と話した。
現役長老「教団の対応、不誠実だ」
現役で長老を務める男性は、教団ではこれまで、輸血を受けた信者について、場合によっては教団や他の信者らとの関係を“断絶”させる対応が取られてきたと明かす。
今回の変化について、男性は「一部、他人の血液の輸血を受けても断絶の対象ではなくなった一方、全血輸血は依然として認められず、長老による対応が求められる」と説明。その上で、「そうした信者への具体的な対応方法は、一般の信者には伝えられない。これまで厳しく禁じてきたものを変更するのであれば、信者にもきちんと説明すべきで、教団の対応は不誠実だと思う」と語った。
エホバの証人日本支部は、FNNの問い合わせにこれまでのところ回答していない。
(フジテレビ 松岡紳顕)

