「ドクターヘリ」整備士足りず全国で運休発生 46%が50代以上…人材確保なぜ難しい? 志望者減少や「労働時間の長さ」もネックに
地域医療の命綱であるドクターヘリですが、一部地域では運航できないという問題が起きていて、国が対応案をまとめています。今回の#みんなのギモンは、「ドクターヘリ なぜ飛べない?」をテーマにお伝えします。
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■地域医療の命綱「ドクターヘリ」全国に57機

2024年度の時点で、ドクターヘリは全国に57機ありました。ドクターヘリがどのくらい活用されているのか。年間の出動件数は2万1501回。1機あたり、1日に1回以上飛んでいる計算になります。
ドクターヘリの出動回数が全国でもトップクラス、兵庫・豊岡市の公立豊岡病院の出動の様子を見ていきます。病院から車で40分ほどの距離にいる患者のもとへわずか10分ほどで到着し、救急隊員と合流しました。
救急隊員
「76歳男性、きのうの17時ごろ、階段一番上から下りようとしたときに滑って転倒。そのまま頭から下向きに墜落したものです」
医師
「頭打ってます?」
救急隊員
「頭は打っている感じですけど、特に打撲痕等はなかったです」
医師
「お父さん分かります?」
患者
「うん」
頭を打っている上に骨盤などを折っている可能性があり、急いでヘリで病院へ搬送。要請から搬送までかかった時間はわずか40分ほどでした。
この地域では、山間部が多く陸路での搬送に時間がかかるため、ドクターヘリが果たす役割は大きいということです。
ただ、この取材をした日、通常とは違うことがありました。運航開始から2時間後には、ある事情によって運航を終えていました。
■整備士足りず…東京や近畿地方などで運休発生

その事情というのが人材不足です。
ドクターヘリには通常、医師、看護師、操縦士、整備士が1人ずつ乗りますが、整備士が足りないという問題が起きています。
整備士は出動前後の整備や点検のほかに、操縦士の補佐やナビゲーションや通信支援なども行っていて、安全に患者を運ぶために欠かせない存在となっています。ただ人手が足りていません。
取材した兵庫だけではありません。昨年度、整備士不足による運休は、東京や近畿地方、徳島、鳥取、離島が多い長崎でも起きています。運休日数をみると、40日から50日前後ということで深刻な状況といえます。
■整備士の46%が50代以上 人材確保なぜ難しい?

人材不足の背景として、何が起きているのか見ていきます。
ドクターヘリの整備士になるには国家資格の「航空整備士」を取得する必要があります。
全日本航空事業連合会によると、ドクターヘリに従事している整備士は昨年度の時点で全国217人。そのうち、46%が50代以上となっています。
人材確保が難しい背景に何があるのか。ネックとなっているのが、「労働時間の長さ」です。整備士は出動待機時間に加えて、その前後に点検作業などがあり、常に長時間働かなくてはならない。これが課題となっています。
そして、もうひとつは「育成に時間がかかる」。整備士として仕事をするには年単位の実務経験が必要で、短期間で人材確保はできないということです。
さらに、コロナ禍以降、航空整備士の志望者が減少しています。高齢化が進む中、このままだと近い将来、大量に退職する人がいるのに若い人材が確保できていない、さらに深刻な状況になる可能性があります。
■国が対応策検討 17日に中間とりまとめ案も

こうした状況をうけて、国は7月から有識者と対応策を検討していて、17日、中間とりまとめ案を示しました。
まず現状の対策として、長期の運航休止を回避するため、臨時的に2パイロット運用といって、整備士に代えて訓練を受けた操縦士を同乗させてもいいことになりました。すでに一部地域で導入されていますが、安全を確保するうえで課題があり検討が続けられています。操縦士も潤沢にいるわけではなく、臨時的な対応といえそうです。
そのほかには、医師と看護師をのせて出動するドクターカーなどと連携しやすいように、国が情報共有するなど対応するといったことがあげられています。
ただ、そもそもドクターヘリが活躍するのは、車だと時間がかかる山間部や島しょ部、豪雪地帯などです。単純に置き換えできるものではないという指摘もあります。
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公立豊岡病院の永嶋医師は「都会だから助かった、地方だから無理だったというのはなくしていかないといけない。ドクターヘリを適切に、かつ効率的に運用できるような体制を日本全体で考える時期にきているのでは」と話していました。
【#みんなのギモン】
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