「追い越し車線」走り続けると「反則金6000円」に加え“渋滞”悪化させるおそれ…ドライバーが厳守しなければならないこと
19日(土)から23日(水)まで、11年ぶりとなる5連休の「シルバーウィーク」がやってきます。家族や友人と、車やバイクで旅行を楽しまれる予定の方も多いでしょう。
「制限速度もちゃんと守っているし、右折するつもりだから追い越し車線をずっと走って何が悪いの?」
「右側の車線(追い越し車線)を走り続けていたら注意されたけど、なぜ?」
こうした声を耳にすることは決して少なくありません。しかし、高速道路などにおける右側走行は、条件を満たさなければ交通違反となるほか、渋滞の原因にもなり得ることをご存じでしょうか。
今回は、多くのドライバーが誤解しがちな「右側走行」のルールと、渋滞への影響について、ペーパードライバースクール講師に詳しく聞きました。(ライター:岩田いく実)
みんなが右側を走っていても原則は「左側走行」道路交通法20条1項は、車両通行帯(複数の車線)が設けられた道路について、「道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯(第一通行帯)を通行しなければならない」と定めています。
つまり、片側2車線以上の道路では、左側の第一通行帯(走行車線)を走る必要があり、右側の第二通行帯(追い越し車線)を走行できるのは、主に以下のようなケースに限られます。
・前方の車両を追い越すとき・渋滞などにより、やむを得ず走行車線に戻れない場合
・標識などにより通行区分が指定されている場合
追い越しを終えたら、速やかに左側の車線に戻る必要があり「みんな走っているから」という理由だけで、必要以上に右側の車線を走り続ける行為は、道路交通法20条の「通行帯違反」として取り締まりの対象になるのです。
通行帯違反の違反点数は1点、反則金は普通車なら6000円、大型車なら7000円です。
「右側走行」は渋滞を悪化させる原因にもNEXCO東日本は、高速道路で渋滞が発生する要因の一つとして、「少しでも早く進みたい」という心理が働きやすく、追い越し車線に極端に車が集中し、車線が均等に使われないことで渋滞の発生を早めることを挙げています。
一般道においても、これと似たような現象が起こり得ます。
また、無理な車線変更はあおり運転や追突事故にもつながりやすいため、それが渋滞を引き起こす面もあると考えられます。特に、19日からの5連休など交通量が普段より大きく増える期間は、こうした小さな渋滞が積み重なり、道路全体の流れが悪くなる可能性があります。
安全なドライブのコツとはでは、実際の運転現場では、第1車線に車が集中するのはどのような場面なのでしょうか。また、ドライバーはどのような点に注意すればいいのでしょうか。
右側車線に車が集中する実際の状況や、安全なドライブのコツについて、新規免許取得者への学科・技能教習経験を持ち、現在は運転に不安を持つドライバーを対象に講師を務める、愛知ペーパードライバースクール名古屋校の服部寛嗣(ひろつぐ)講師に詳しく聞きました。
服部氏:特に、右側車線に車が集まりやすいと感じるのは、路上駐車が多い道路や路線バスが頻繁に走る道路など、左側車線をそのまま走り続けることが難しい道路です。
たとえば都心部を走っていると、左側車線は比較的空いているのに、右側車線は車が集中して混雑しているという場面をよく見かけます。
左側車線を見ると、ところどころに路上駐車があり、そのまま走り続けることが難しく、車線変更が必要になります。
路線バスの停車や、左折車が横断歩道を渡る歩行者を待つことで流れが止まることもあります。左側車線を走っていてこうした車両に追いつくと、右側車線へ進路変更する必要があります。しかし、その右側車線にすでに多くの車が並んでいるため、進路変更が難しくなるのです。
実際に、無理なタイミングで進路変更してクラクションを鳴らされたり、周囲の車に急ブレーキを踏ませたりする場面を見ることもあります。
そのため、「あとで右側へ進路変更するのが大変なら、最初から右側を走っておこう」と考える方が多いのでしょう。すると右側車線にさらに車が集まり、左側から右側への進路変更も難しくなります。こうした循環も、右側車線が混雑しやすくなる一つの要因ではないかと感じています。
郊外でも同じような場面はありますが、路上駐車やバス、歩行者などの影響が重なる中心部ほど、こうした傾向を強く感じます。
服部氏:渋滞でイライラしたり焦ったりすることは、程度の差こそあれ誰にでもあると思います。ただ、すでに渋滞にはまってしまった以上、自分の運転で渋滞を解消することはできません。
私の場合は「仕方がない」と割り切って、約束に間に合わない可能性があれば、相手方に連絡し、正直に事情を伝えるようにしています。遅れを無理な運転で取り戻そうとして事故を起こすより、ずっといいと思います。
また、渋滞中に無理な車線変更などをする車を見ると、こちらまでイライラしてしまうことがあります。そんなとき私は、「きっと何かものすごく急いでいる事情があるんだろうな」と考えるようにしています。
「腹の立つ人」ではなく「大変そうな人」として見ると少し冷静になれます。他人のイライラに自分まで巻き込まれないことが大切です。
服部氏:安全運転のコツはたくさんありますが、今回の5連休のように交通量が増え、渋滞も起きやすい時期は「ルールを徹底的に守ること」と「感情と運転を切り離すよう意識すること」だと思います。
特に、感情と運転を切り離すことは、私自身も常にできているわけではありませんし、とても難しいことです。
安全に運転するために、交通ルールを理解し必要な運転技術を身につけていなければならないことは当然です。ただ、知識や技術があっても、時間に追われて焦ったり、渋滞や他の車の行動にイライラしたりすると、普段ならしないような判断や運転をしてしまうことがあります。
感情そのものをなくすことは難しいので、まずは「今、自分は焦っているな」「イライラしているな」と気づくことからでもいいと思います。
その感情をアクセルの踏み方や車間距離、無理な車線変更などの運転行動に反映させないよう意識することが、安全運転につながるのではないでしょうか。
■岩田いく実:損害保険会社、法テラス、一般民事系法律事務所に勤務後、ライターに転身。パラリーガル経験を活かし、年間60人を超える弁護士・税理士を取材。相続や離婚、不動産売却、債務整理、損害保険などのテーマを中心に執筆。第一法規『弁護士のメンタルヘルスケアの心得』で記事執筆、自主出版に『ルポ豊田商事』がある。

