発酵を終えたブドウの果汁を取り出す福島さん(埼玉県小川町で)

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 【埼玉中央】元銀行員の福島有造さん(58)は、「有機の里」として知られる埼玉県小川町でブドウ栽培からワイン醸造まで一貫して手がける。無農薬・無肥料にこだわってブドウを栽培。独自のワインを醸造し、経営する「武蔵ワイナリー」で直販する他、JA埼玉中央小川直売所や酒販店で販売する。

 群馬県出身の福島さんは「納得できるものを自分で作りたい」と、有機農業が盛んな同町に移住。2011年から耕作放棄地を開墾し、約30アールに約150本のブドウを植えた。

 当初は、雨による病気や裂果などに悩まされ、納得できるブドウが収穫できなかった。面積を拡大しながら試行錯誤を重ね、棚に雨よけを設置したところ、15年に約1・4トンだった収穫量は、18年以降約10倍に増えた。現在は約4・7ヘクタールで約2500本を栽培し、年間約18トンを収穫する。

 枝は摘芯(てきしん)せず、脇芽を切除して先端を伸ばす栽培方法に変更。福島さんは「ブドウ本来の成長力を生かし、樹勢を強くすることで味を高める」と話す。

 17年に同町が「有機の里小川ワイン特区」に認定され、19年にワイン醸造所が完成。町内で栽培から醸造まで全ての工程をまかなう正真正銘の「小川町ワイン」が誕生した。

 町内の日本酒蔵で杜氏(とうじ)も務めていた福島さん。酒造りで培った技術をワインの醸造に生かし、酸化防止剤に頼らない衛生管理を徹底する。

 自然派ワインに厳しい日本ワインコンクールで入賞した福島さんは「需要は少しずつ広がっているが、認知度を高めることが課題。今後は直営店を増やすなど、店舗展開にも力を入れていきたい」と意気込む。

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