「ちいかわコラボ中止」思い切った判断の裏側。鈴木おさむが語る、くら寿司が“売上より信用”を取った重大な意味
一部従業員の不正が、企業や人気IP全体の信用を揺るがす事態に発展したわけだが、放送作家の鈴木おさむ氏は、くら寿司が全店舗でキャンペーン中止に踏み切った判断の意味を考える(以下、鈴木氏による寄稿)。
くら寿司が実施していた「ちいかわ」とのコラボキャンペーンが、従業員による不正行為の発覚を受けて、全店舗で中止になった。楽しみにしていたファンからすれば、「たった一部の従業員のために、なぜ全部やめるのか」と言いたくなるだろう。
僕も最初にニュースを見た時は、かなり思い切った判断だと驚いた。現時点では、関与した人数や店舗などの詳細はすべて明らかになっていない。だから、今回の中止に関して、ちいかわ側から強い要請があったのかどうかもわからない。ここからは僕の推論にすぎないが、人気IPとのコラボでは、限定グッズが正しく管理され、お客さんに公平に届くことが大前提だったはずだ。その約束が崩れたなら、キャンペーンだけ続けるのは難しい。なぜならくら寿司だけでなく、「ちいかわ」というIPの信用まで傷つけかねないからだ。
こういうことは、特別に悪い会社だけで起きるのではない。商品に近づける人がいて、お金になるとわかった瞬間、どんな現場でも起こり得る。そして怖いのは、一人の行動で失われる信用は、一人分では済まないということだ。
◆守るべきは売り上げより信用
今回、楽しみにしていた全国のファンが失望し、店舗は売り上げの機会を失い、企画や製造に関わった人たちの仕事も無駄になった。
企業によっては株価にまで影響する。軽い気持ちの不正が、数え切れない人たちに損害を広げていく。
だから僕は、当事者を厳しく処分して終わり、では足りないと思う。何をして、企業にどれほどの被害が出て、本人の人生や家族にどんな影響が及んだのか。可能な範囲で、その後まで伝える必要がある。
個人をさらし者にするためではない。「一度の不正が、多くの人の信用と楽しみを奪う」と現場で働く人に実感してもらうためだ。メディアにも、騒動の瞬間だけでなく、結末まで追うという役割がある。くら寿司は過去の迷惑動画問題でも毅然と対応した。今回も、人気があるからこそ厳しい判断をしたのだと思う。
