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大手回転寿司チェーン・くら寿司は従業員による景品横領とフリマアプリへの不正出品が確認されたとして、9月6日、人気キャラクター「ちいかわ」とのコラボキャンペーンの中止を発表。利用者の間から「(特定のフィギュアが)あまりにも当たらない」という不満の声が相次いでいたことから発覚した。
一部従業員の不正が、企業や人気IP全体の信用を揺るがす事態に発展したわけだが、放送作家の鈴木おさむ氏は、くら寿司が全店舗でキャンペーン中止に踏み切った判断の意味を考える(以下、鈴木氏による寄稿)。

◆一人の不正で失われる信用は「一人分」では済まない

くら寿司が実施していた「ちいかわ」とのコラボキャンペーンが、従業員による不正行為の発覚を受けて、全店舗で中止になった。楽しみにしていたファンからすれば、「たった一部の従業員のために、なぜ全部やめるのか」と言いたくなるだろう。

僕も最初にニュースを見た時は、かなり思い切った判断だと驚いた。現時点では、関与した人数や店舗などの詳細はすべて明らかになっていない。だから、今回の中止に関して、ちいかわ側から強い要請があったのかどうかもわからない。ここからは僕の推論にすぎないが、人気IPとのコラボでは、限定グッズが正しく管理され、お客さんに公平に届くことが大前提だったはずだ。その約束が崩れたなら、キャンペーンだけ続けるのは難しい。なぜならくら寿司だけでなく、「ちいかわ」というIPの信用まで傷つけかねないからだ。

こういうことは、特別に悪い会社だけで起きるのではない。商品に近づける人がいて、お金になるとわかった瞬間、どんな現場でも起こり得る。そして怖いのは、一人の行動で失われる信用は、一人分では済まないということだ。

◆守るべきは売り上げより信用

今回、楽しみにしていた全国のファンが失望し、店舗は売り上げの機会を失い、企画や製造に関わった人たちの仕事も無駄になった。

企業によっては株価にまで影響する。軽い気持ちの不正が、数え切れない人たちに損害を広げていく。

だから僕は、当事者を厳しく処分して終わり、では足りないと思う。何をして、企業にどれほどの被害が出て、本人の人生や家族にどんな影響が及んだのか。可能な範囲で、その後まで伝える必要がある。

個人をさらし者にするためではない。「一度の不正が、多くの人の信用と楽しみを奪う」と現場で働く人に実感してもらうためだ。メディアにも、騒動の瞬間だけでなく、結末まで追うという役割がある。くら寿司は過去の迷惑動画問題でも毅然と対応した。今回も、人気があるからこそ厳しい判断をしたのだと思う。