連続ドラマから「踊る」シリーズの演出を手掛ける本広克行監督

写真拡大

 14年ぶりに復活する「踊る大捜査線」。人が生まれ、中3になるくらいの時間の流れだ。本広克行監督は「織田さんとは『(主人公の)青島はいま、何してるだろうね』という話を随分しました。具体的なストーリーのことより、織田さんが『幸せって何だろうね』と言ったのがとても印象的で』」。青島と同世代で1967年生まれの記者などは、ドラマ版も映画シリーズもリアルタイムで接してきた。

 青島は泥臭い失敗姿も格好いい、別格のヒーローだ。永遠に年を取らないキャラクター設定もありでは、と勝手な想像もした。実際は全く違った。とことん「いま」を突きつけてくる。AIも出てくれば、Z世代にうろたえ、振り回される大人たちも描かれる。見る世代で“刺さるシーン”は異なるだろう。

 単なるエンタメ映画ではない。22年ぶりに「国宝」(李相日監督)に更新されるまで、興収173・5億円の「踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」(2003年公開)が邦画実写の興収歴代1位であり続けた。

 大ヒットが当然の宿命。その重圧たるや、いかばかりか。「確かに映画館に見に行って、監督した自分が入れない、ということもあった。でも、心のどこかに『当たっても当たらなくても』と開き直りの気持ちを持つとプレッシャーは消えましたよ」。それだけ覚悟が定まり、強固になったということではないか。

 ネタばれになるので詳しく書けないが、監督には涙が出そうになるほど感動したシーンを伝えた。すると「え!? あそこはコントの“フリ”ですよ」と言われ絶句。見る人には「大いに笑っていただきたい」という。「それもドッカンとではなく、クスクス。皆さんの口元がニヤニヤする感じ。あの現象が起きてくれると最高にうれしいんですけどね」(内野 小百美)

 ◆本広 克行(もとひろ・かつゆき)1965年7月13日、香川・丸亀市生まれ。61歳。92年ドラマ演出家デビューし、96年「7月7日、晴れ」で劇映画初メガホン。ももいろクローバーZが出演した監督作「幕が上がる」(15年)では第40回報知映画賞・特別賞。20年に映画実験レーベル「シネマ ラボ」発足にも参加。アニメにも造詣が深い。