「優待利回り20%」が2000円台で始められる…FPが優待廃止リスクを覚悟してもあえて持ち続ける銘柄の名前

■100株を2500円で買った、外食チェーン
私は昨年、「小僧寿し」などを運営する外食チェーン、KOZOホールディングス(以下、KOZO)の株式を買いました。当時の株価は25円、株式の最低投資単位は100株なので、必要資金はわずか2500円。
一般には、おおむね株価1000円以下の銘柄を低位株と言いますが、株価25円となれば、これは超低位株と言ってもよいでしょう。
株を買うには、かなりまとまった資金が必要とのイメージがあるかもしれませんが、実は、このようにちょっと豪華なランチ代程度で買える銘柄(超低位株)もあるのです。ただ、私が買った理由は、その極めて安い株価もさることながら、その株主優待にもありました。
■利回り20%は、本当だった!
KOZOの株主優待は、グループ各店舗で使える「株主優待クーポン500円」(100株保有時)です。そして私の場合、投資額は2500円ですから、その優待利回りはなんと20%にもなります。
ただ、どんなに利回りが高くても、自身が使えない(使い勝手の悪い)優待だと意味がないわけですが、この優待クーポンが使えるのは「小僧寿し」だけでなく、他にも「とり鉄」「ぢどり亭」など、全国で約500店ものグループ店舗、そして小僧寿しEC店でも使用可能とのこと。つまり、多くの人にとって(もちろん私にとっても)非常に使い勝手の良い優待なのです。
私は昨年、そんなKOZOを見つけたときは、2500円という超低価格、20%という超高優待利回り、そして、その優待の使い勝手の良さに、「これは何か、落とし穴があるのでは?」と半信半疑でした。
ただ、何もせずに疑っていても仕方ないので、それならばモノは試しと、優待目当てで購入したわけです。
そして年末の権利確定日を経て、今年の春に優待が届き、満を持して、私は近所の優待使用可能店舗「カレーハウススパイシー」へ行きました。そして(本当に優待が使えるのかと)少しドキドキしながら、スマホの「株主優待500円」画面を見せ、無事、500円安くカレーを食べることができたのでした。
■しかし、投資としてはお勧めできない
というわけで、無事、私は2500円という超低額投資で、20%という超高利回りを享受できたわけですが、それではKOZOはお勧めかというと、「投資」としては決してお勧めはしません。
なぜなら、KOZOの業績は赤字続き(2026年12月期はなんとかギリギリで黒字予想)で、財務面も非常に脆弱な状況ゆえに、優待廃止の可能性も十分に考えられるからです。優待廃止となれば、当然、株価は大幅に下落することでしょう。
このように、数千円程度で買えるような銘柄には、業績や財務状況が極めて厳しい銘柄は少なくなく(そもそも、業績・財務状況が厳しいから、激しく売り込まれて低価格となっている)、それが優待銘柄であれば、その優待廃止リスクは非常に高いのです。
■レジャーとしては、大いに「アリ」
というわけで、KOZOについては、ひいては、数千円程度で買える優待銘柄は、「投資」としては決してお勧めはできないわけですが、しかし、「レジャー」としては大いにアリだと思っています。
すなわち、KOZOの購入費は、レジャー費として捉えるわけです。ちなみにKOZOの株価は現在(2026年8月31日)21円なので、そのレジャー費は2100円となります。たった2100円で、毎年500円分の外食が楽しめるわけですね。
もちろん、前述のように優待廃止の可能性も十分あるわけですが、今の株価なら、優待を4回受け取れば元は取れます。そして、元を取った後は、(優待が廃止されない限り)ずっとタダで優待を楽しむことができる可能性があるわけです。ちなみに、優待廃止となってしまっても、いずれは優待復活の可能性もあるわけですから、ずっとタダで優待を楽しむことができるチャンスは、潰えることはありません。
そんな可能性を踏まえて考えれば、今や、映画料金でも2000円を超える時代ですから、この2100円という価格は、かなりお得ではないでしょうか。
■株価上昇のワクワク感のみを、味わえる
そして、株主優待だけでなく、株価上昇のワクワク感も楽しめます。
でも、株価下落のビクビク感もあるのでは……と思うかもしれませんが、2100円をレジャー費として捉えていれば(つまり、戻ってはこないもの、元々はなかったもの、と割り切っていれば)、株価下落に怯える必要はありませんよね。
すなわち、ただただ、株価上昇のワクワク感のみを味わえるわけです。
ちなみに、10年程前にはKOZOの株価は100円を超えていた時期もあり、今後、業績が上向けば、その水準までの上昇が期待できるかもしれませんし、状況によっては、さらなる上昇の可能性もあるわけです。理論上、株価は青天井なのですから。
もっとも、現在の業績や財務状況、そしてKOZOを取り巻く諸々の環境からは、それは淡すぎる期待なのかもしれませんが、世の中、何が起こるか分かりません。将来、小僧寿しがとんでもないヒット商品を生み出すかもしれませんし、爆発的な寿司ブームが到来するかもしれません。また、物価高がとんでもないことになって、株式相場全体がとんでもなく上昇する可能性もゼロではありません。そうなれば、KOZOの株価も爆上がりとなるでしょう。
たった2100円で、株主優待の楽しみ以外にも、そんな株価上昇のワクワク感も味わえると思えば、これはやはり、かなりお得ではないでしょうか。
■株主という、体験型レジャー
あと、そのような「株主優待」「株価上昇」の楽しみだけでなく、「小僧寿しの会社の株主である」という立場を味わえることも、他には代えがたい、体験型のレジャーとも言えます。
株主となれば、株主総会に参加できますし、店舗の雰囲気やメニューの広告なども、(一般消費者目線ではなく)経営側目線から楽しめることも、まさに体験型レジャーと言えるでしょう。しかもKOZOでは、議決権を行使した株主の中から抽選で100名にラーメンセット(3900円相当)が当たるという嬉しい特典もあり(残念ながら私は当たりませんでしたが)、わずか2100円で、これだけ株主を楽しませてくれるのです。
■5500円で買った、書店チェーン
このように、「投資」ではなく「レジャー」の視点から見れば、KOZOは、ひいては数千円程度で買える優待銘柄は、とてもおいしいと言えるでしょう。そして私は、そのような銘柄を(KOZO以外にも)いくつか保有しているのですが、今回は、もう1つ紹介したいと思います。
それは、文教堂グループホールディングス(以下、文教堂)です。文教堂は、関東を軸に展開する書店チェーンですが、私の地元(南大阪)にも店舗があり、普段からよく利用しています。

こちらの株主優待は、店頭および株主優待サイトで使用可能な5%割引カード(100株保有時)。
この優待目当てに、私は一昨年前、株価55円(必要資金5500円)で買いました。ちなみに2026年8月31日現在、株価は45円(必要資金4500円)なので、55円で買った私からすれば羨ましい限りです。
■毎月1000円の雑誌を買えば利回り約13%!
割引優待の類いは、どうしても「持ち出し」が発生するので、基本的にはあまり歓迎されないのですが、普段から買物をしている店舗で使える割引優待なら、それは絶大な効果を発揮します。
もし、文教堂で毎月1000円の雑誌を買っているのなら、その年間購入額は1万2000円ですから、優待による割引額は600円(1万2000円×5%)。現在の株価45円(必要資金4500円)であれば、その優待利回りは約13%と、KOZOには及ばないものの、相当な高利回りとなります。
もし、毎月2000円分買うのであれば約27%、3000円分なら40%と驚異的な利回りとなるわけですが、普段からよく本を買う人であれば、それくらいは十分見込めるのではないでしょうか。そして、累計で9万円分買えば元が取れるわけで(9万円×5%=4500円)、早い人であれば、1年経たずに元が取れてしまうかもしれませんね。
■100年以上続く老舗の底力に、期待
ただ、この文教堂も、株価がそれだけ低いと言うことは、やはり業績・財務状況ともに非常に厳しい状態で、また、斜陽業界とも言える書店チェーンの将来性・成長性に期待をするのは難しいでしょう。すなわち、株主優待の廃止、そして株価暴落の可能性は決して低くはないと言えます。
そして何より、文教堂には「継続企業の前提に関する重要な疑義」が明記されており、優待どころか、企業の継続自体も危ぶまれているような状況なのです。
ですので、文教堂もKOZO同様、「投資」としてはお勧めしません。しかし、これもKOZO同様に、株式の購入資金4500円をレジャー費として捉えることができるのなら、「レジャー」としては面白いと思っています。
とくに、普段から文教堂で本を買っているような人は、早々に元が取れる可能性も高く、大いに検討の余地はあるでしょう。また、10年程前には、文教堂の株価は500円を超えており、それだけの底力はある企業だと解釈できないこともありません。さらに言えば、「1891年創業、100年以上続く老舗企業である」「主要株主に日販グループHDや大日本印刷といった流通・出版の大手企業が名を連ねる」ことも大きな安心材料であり、そう簡単には潰れないだろうと、私はずっと保有し続けるつもりです。
■数千円程度の優待銘柄は、限られるが…
さて、今回紹介した「KOZO」「文教堂」以外にも、私は「ジーイエット(株価42円)」「ジェリービーンズグループ(株価70円)」「フルッタフルッタ(株価80円)」など、他にも数千円程度の優待銘柄を保有しており、いずれも驚異的な優待利回りを誇ります(株価はいずれも2026年8月31日現在)。ただ、いずれの銘柄も、何らかの深刻な問題を抱えており、(自身で保有しておきながらですが)「投資」としてお勧めできる銘柄は皆無です。
しかし、その優待内容が、自身にとって有用なものであれば、ここまで書いてきたとおり、「レジャー」としては検討の余地は大いにあるでしょう。実際、私はレジャーと割り切って楽しんでいます。
ちなみに2026年8月31日現在、数千円で株主となれる企業(株価100円以下の超低位株)は100社にも満たず、しかも、それらの中で、自身にとって有用な株主優待が実施されている企業となると、その数はさらに限られることでしょう、というか、皆無の可能性も十分あります。しかし、もし、そのような銘柄を見つけることができれば(出会うことができれば)、それは絶好のレジャーを楽しめるチャンスと言えるでしょう。

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藤原 久敏(ふじわら・ひさとし)
ファイナンシャルプランナー
1977年大阪府大阪狭山市生まれ。大阪市立大学文学部哲学科卒業後、尼崎信用金庫を経て、2001年に藤原ファイナンシャルプランナー事務所開設。現在は、主に資産運用に関する講演・執筆等を精力的にこなす。また、大阪経済法科大学経済学部非常勤講師としてファイナンシャルプランニング講座を担当する。著書に『株、投資信託、FX、仮想通貨… ファイナンシャルプランナーが20年投資を続けてみたらこうなった』(彩図社)など。
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(ファイナンシャルプランナー 藤原 久敏)
