なぜ試乗もせずに買うのか? ジムニーノマドに計画の40倍ものオーダーが入り即受注停止になった本当の理由

いまだ人気絶好調の理由とは!?
1970年4月に、初代「LJ10」型が登場したジムニー。そう、2025年はジムニーが生まれて55周年だったのだ。そして55年目にしてジムニーに大きな転機が訪れたのは、ご存じのとおり。シリーズで初めて5ドアのロング仕様「ジムニーノマド」が登場したのだ!

「ノマド」はこの2025年1月に発売のニュースが流れると同時にオーダーが殺到。月販目標1200台のところ、たちまち5万台あまりのバックオーダーを抱え、いまもなお受注停止状態が続いている(2025年5月当時)。いったい、この人気ぶりはなんなのか!?
なぜ実車を見たこともない、乗ったこともない、そして試乗のリポートさえされていないクルマを、人々は「買おう!」と考えたのか?
思えばジムニーは、そのほとんどの歴史を”ワークホース=実用車”として積み重ねてきた。初代のLJ10は、”ガタイ”は軽自動車枠でミニマムサイズだが、屈強なラダーフレームを持ち、前後リジッド式のサスペンション、駆動系には2WDと4WDのハイギヤ&ローレンジという3つの走行モードを実現する副変速機(トランスファ)を備える本格的なパートタイム4WDシステムを備えていた。

当時の三菱ジープのような走破性を、軽自動車で実現したモデルとも言えるその走りは、狭い森のなかでは機動力を、雪深い道では軽量な車体によって高い走破力を発揮する。そのため、林業や、山中での作業を強いられる電力会社、さらに郵便局や警察などにも重宝され、”プロの道具”として活躍していくのである。そして”ミニマムボディ”、”ラダーフレーム”、”前後リジッドサスペンション”、”副変速機付き本格2WD”というキーワードは、その後のジムニーに受け継がれ、働くクルマとして長く愛されてきたわけだ。
“ジムニー女子”も登場で変わりつつあるユーザー層
そんなわけで、初代ジムニー以来の4つのキーワードは、現行のJB64/74、また最新のJC74ノマドにも、しっかり受け継がれている。つまり、いまのジムニーにもワークホースという一面があるのだが、その一方で、現行モデルは多くの一般ユーザーからも愛されるクルマになっている。冒頭で紹介した「ノマドが人気すぎて受注停止」……という話からもわかるとおりだ。ではいったい、生粋の働くクルマであったジムニーは、いつから”一般ウケ”するようになったのか?
それは、大昔からジムニーファンだった筆者からすると、やはり現行のJB64/74になってからだと考える。レトロなジープスタイルでデビューしたジムニーは、1981年、SJ30型へのフルモデルチェンジ(FMC)でスクエアなスタイルに生まれ変わるのだが、1998年のJB23型へのFMCで丸みを帯びたスタイルとなった。

そして2018年の現行型へのFMCで、再びSJ30を彷彿とさせる四角いボディに変更。じつはこのモデルチェンジが、新しいファンの獲得に一役買ったのは間違いない。
現在は流線型のスタイル+吊り上がった目(ヘッドライト)のクルマ(とくにSUV)が蔓延しているが、そんななか、真四角なボディに丸目2灯のジムニーは個性的。じつにユニークなスタイルに仕上がっているのだ。
ジムニーノマドの大成功は「ジムニーの哲学」勝利の証
実用車=本格オフローダーとしての基本性能を確保しながら、個性的なファッション性をも身につけた現行JB64/74。旧くからのマニアだけでなく、女性をはじめとした一般ユーザーにも人気の裾野を広げたジムニーは、これをチャンスとばかりに、ついに5ドア版もリリースした。

三菱ジープや、ランドクルーザーも、考えてみれば5ドアシリーズはかなり初期から存在した。また本家のジープ・ラングラーは、5ドア(アンリミテッド)をラインアップに加えることでセールス上の成功を収めている。そんな状況のなかで、ジムニーにも5ドア待望論が渦巻いていたわけだが、ようやくその夢が叶ったわけだ。
それが成功か否かは、”受注停止”となったことが答え。55年という時間のなかで、頑なに自らの信念を貫いてきた、”ジムニーの哲学”の勝利だ。だからジムニーは、すごい!
※本記事は雑誌「CARトップ2025年7月号」の記事を再構成して掲載しています



















