壱番屋のカレールーやスパイスは、創業時からハウス食品グループが提供してきた(C)日刊ゲンダイ

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 ハウス食品グループ本社が、傘下で「カレーハウスCoCo壱番屋(ココイチ)」を手掛ける壱番屋の株売却を検討している。

 原材料高などで厳しさが増す中、成長分野に経営資源を集中させるのが狙いだ。両社は8月31日に、「壱番屋の(株式の)非公開化を含む、あらゆる選択肢の検討を行っている」とのコメントを発表した。

 ハウス食品と壱番屋の関係は、1978年の壱番屋創業時にまで遡る。「壱番屋のカレールーやスパイスは、創業時からハウス食品グループが提供してきた。各メーカーのカレールーを試した結果、創業者が選んだのがハウス製品だった」(関係者)という。店名は、「カレーなら“ここが一番や”」から名づけられた。

 ハウス食品は1998年に壱番屋の株式を取得し、さらに2015年には約300億円を投じて出資比率を19.5%から51.0%に引き上げ、連結子会社化した。

 今回の壱番屋株の売却は、この親子上場の解消を意味する。すでに両社とも売却に向けたファイナンシャルアドバイザーを決定し、複数の投資ファンドが買収に名乗りを上げている。

 シンガー・ソングライターの米津玄師が「世界一おいしい」と公言し、カレーの本場インドからの来日客も「母国のカレーよりおいしい」と語るカレーハウスCoCo壱番屋のルーツは、宗次徳二と妻の直美が、1974年に愛知県に開業した喫茶店「バッカス」。ここで出していたカレーライスが好評だったことがきっかけだ。

 カレーの辛さ・ライスの量・トッピングなどを客が選べるスタイルが消費者の支持を集め、全国に店舗を広げていった。

 テコとなったのが、独自の「ブルーム」と呼ばれるのれん分け(FC)制度だ。ブルームは一定以上のスキルと勤務期間を経た社員に与えられる権利で、全国にある店舗のうち約6割がこのブルームに基づく、独立したオーナーによって運営されている。

 特徴的なのは、「オーナーに対して本部とのロイヤルティーなどの金銭的やりとりは一切生じない」ことだ。2013年には、「最も大きいカレーレストランのチェーン」としてギネス世界記録に認定された。「日本式カレーの食文化を輸出する」を旗印に、台湾、タイ、中国、そしてカレーの本場インドなど10以上の国・地域に出店した。

壱番屋の先行きはバラ色とはいかず

 今回のハウス食品の壱番屋株売却は、いわば「壱番屋」の親離れ。両社は資本関係の解消後もビジネス上の関係性は続けるが、経営の自由度は高まる。親子上場の解消報道を受け、壱番屋の株価はストップ高となった。

「親子上場により、割安となっていた壱番屋の株価上昇が期待された面もあるが、非上場化に向けて投資ファンドなどが触手を伸ばしているとの報道が株価高騰を引き寄せた」(市場関係者)とみられている。

 しかし、壱番屋の先行きはバラ色とはいかないようだ。2026年3~5月期の連結決算は、純利益が前年同期比21%減の7億2800万円と低迷している。飲食店のM&A(合併・買収)などで売り上げを伸ばしたものの、コメなど食材の仕入れ価格や物流費などのコスト増を補いきれなかった。

「24年度にベースとなるカレー値上げして以降、客足は減少傾向にある。今年9月にも深夜料金の導入という形で、さらなる値上げに踏みきっており、先行きは不透明だ」(市場関係者)という。

 27年には食品の消費税減税も予定されており、外食産業は割高感から客離れが懸念される。果たして親離れは吉と出るか?

(森岡英樹/経済ジャーナリスト)