細部さんはそう苦笑しながら当時の様子を振り返って語ってくれました。誰一人として助けてくれなかった理由は『飲酒』によるものだったからでしょう。

 幸いにして今回は“自業自得”的な結末でしたが、周囲を巻き込むような状況になっていたらと考えるとゾッとします。

 自動車の飲酒運転の規制のように、普段の生活においても『飲酒』について、何らかの法的な規制があってもよいのではと思ってしまう出来事でした。

◆周囲の気持ちも分かるが、少し考えさせられる部分も

 今回の迷惑行為、話だけを聞けば「自業自得」と感じる人もいるかもしれません。実際、その場にいた乗客たちの中には、どこか溜飲が下がったような表情を浮かべる人もいたといいます。

 特に、人は公共空間でトラブルに遭遇すると、「誰かが対応するだろう」と考え、行動を控える傾向があるといわれています。

 『日本民営鉄道協会の2025年度調査』では、扉付近で動かず乗降を妨げる行為は、上位にランキングしています。ただ、目の前でホームに倒れ込んだ乗客を見て見ぬふりをするというのは、いかがなものかとも思ってしまいます。

 そういう観点から、「文句を言うためではなく、席へ誘導して危険を避けよう」という細部さんの判断は間違っていないようにも思えます。

 今回は、大ごとに発展しなかったようですが、場合によっては取り返しのつかない怪我に繋がっていたかもしれません。

 公共交通機関を利用する際は、とにかく他人に迷惑にならないよう心がけるとともに、万一今回のような状況に遭遇した際は、面倒でも車掌や駅係員に知らせることが賢明なのかもしれません。後味の悪い結末になれば、後悔するかもしれませんし……。
 
<TEXT/八木正規>

【八木正規】
愛犬と暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営