高市首相を突如訪問…日本に食い込むアメリカの「謎企業」の正体

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近年世界で存在感を増す米企業・パランティア。グーグルなどとは異なり、一般消費者へのサービスをしない謎多き企業の実態と野望に迫る。

パランティアが「日本の未来」を左右する

「いま、自衛隊の指揮にAIを導入する動きがあり、米パランティア・テクノロジーズの開発したソフトウェアがその主要候補に挙げられて注目を集めています。

7月31日には、情報を一元的に集約・分析する機能を高めるため、内閣官房内閣情報調査室が改組・格上げされ、国家情報局が発足しました。3月にパランティアの共同創業者であり会長のピーター・ティール氏が突如来日し、高市早苗首相を表敬訪問したのも、先手を打って同社のソフトウェアを売り込むためだったのかもしれません」(ITジャーナリストの小林雅一氏)

最近、名前をよく耳にするパランティア・テクノロジーズ。その実態は日本人にはまだほとんど知られていない。

だが、日本政府や自衛隊に急接近するこのIT企業は、もはや「知らない」では済まされないほど日本国民の未来と安全を左右する存在になってゆきかねない。

パランティア・テクノロジーズとはいかなる企業か。

創業者の元アドバイザーが語った

パランティアCEOであるアレクサンダー・カープ氏のシニアアドバイザーをかつて務め、現在は米国務次官(経済担当)のジェイコブ・ヘルバーグ氏が本誌に語った証言に基づき、まずは同社の歴史を紐解いてゆこう。

創立は2003年。近年のAIブームを牽引するOpenAIのような新興企業と異なり、IT業界では比較的長い歴史を持つと言ってよい。

設立の契機は2001年9月11日、アメリカを襲った同時多発テロだ。この事件で米国民は国際テロ組織に本土を攻撃され、リアルな死の脅威を突きつけられた。その後米国内では、「なぜテロを事前に防げなかったのか」という問題が徹底的に検証された。

ヘルバーグ氏が語る。

「明らかになったのは、CIA、FBI、国防総省、NSAなど各組織が膨大な情報を持っていたにもかかわらず、それらをつなぎ合わせられなかったことです。

そこで、通信情報、ヒューミント情報(人間から得られる情報)、金融取引情報、渡航記録、軍事情報などを横断して分析し、全体像を即座に把握できる仕組みの構築が国防上急務となりました。

この問題に早くから着目したのが、ピーター・ティール氏です」

莫大なデータを集約・管理する

当時すでにオンライン決済サービスを行う会社PayPalの共同創業者としてシリコンバレーで名を馳せていたティール氏は、オンライン上の詐欺防止のためのアルゴリズムを、国家の問題解決に転用することを思いついた。

そこで彼は大学院時代の仲間で、哲学の博士号を持つアレクサンダー・カープ氏を誘い、同社を起業した。

「CIAなどの国家情報機関が顧客の彼らは、セキュリティ面はもちろん、機密情報の扱いや異なるシステム間のデータ統合、現場での迅速な意思決定など通常のIT企業とは比較にならない難題に直面し続け、そのつど成長を遂げてきました」(ヘルバーグ氏)

その技術は主に中東での実戦で磨かれていった。

武装勢力やテロリストとの戦いでは、人や資金、爆弾製造の流れなどの断片的な情報から組織の全体像をあぶり出す必要がある。これらは従来、莫大なデータから人間が読み取ってきた。だが、パランティアが開発したソフトウェア「ゴッサム」は、人物・電話番号・車両・住所・金融情報など異なるデータを関連づけ、迅速かつ的確な意思決定を可能にした。

やがて彼らはこの技術を、巨大企業へ転用することを思いつく。巨大企業にも、工場、部品、販売、流通、従業員など各分野に膨大な情報が分散している。同社が提供する民間企業向けサービス「ファウンドリー」は、これらの情報を一元的に集約・管理することを可能にした。

「ファウンドリーが他社のソフトウェアと決定的に違うのは、通常、企業ごとに合わせたソフトウェアを作成して提供するところを、どの企業でも使える共通の基盤を作り、その上にあらゆる企業のデータと業務を載せることに成功した点です」(ヘルバーグ氏)

同社は現在、世界中の国家や企業を相手にビジネスを展開している。顧客には損保ジャパンやコマツ、富士通といった日本企業も含まれる。

【後編を読む】作家・橘玲の「ピーター・ティール観…「彼の最終目標は『死の克服』」

「週刊現代」2026年9月14日号より

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