相場展望 日銀の利上げ観測と原油高が、円高を進行・相場の重荷へ
■Ⅰ.米国株式市場
1.NYダウの推移1)9/7、祝日「レイバーデー」で休場●2)9/8、NYダウ▲628ドル安、52,786ドル (日経新聞)
・9/8の米国株式市場でNYダウは3連休前の9/4に比べ▲1.17%安と続落した。・中東情勢の悪化を受け、米国原油先物が上昇し、株式相場の重荷となった。半面、半導体など人工知能(AI)関連の一角は高かった。
・イエメンの親イラン武装組織フーシは9/8、サウジアラビアの空軍基地やエネルギー施設を攻撃したとロイター通信が報じた。サウジが報復する考えだと伝わった。米国東部時間9/8午後には、イランの石油輸出拠点のカーグ島近くで爆発音が聞こえたと報じられた。
・中東からのエネルギー供給の混乱が一段と長期化するとの懸念から、9/8の米国原油先物市場でWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近10月物が上昇した。一時は1バレル=94.73ドルと、期近物としては3ヵ月ぶりの高値を付けた。
・米国とカナダの貿易対立も投資家心理の重荷となった。カナダは9/8に、米国が課した対カナダ関税への報復関税を発動した。これに先立って9/7には、トランプ米国大統領がカナダの航空機大手ボンバルディア製品の米国での販売を認めないなどと自身のSNSに投稿していた。対立が米国経済や物価に影響するとの懸念が広がった。
・一方、半導体関連は高かった。NYダウの構成銘柄ではないが、クアルコムが上昇した。9/8にアマゾンのクラウドサービス「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」向けにカスタムAI半導体を供給すると発表し、収益拡大を見込む買いが広がった。
・インテルは大幅高だった。パソコン向けのCPU(中央演算処理装置)の値上げを計画していると伝わり、材料視された。市場では「AI関連に対する市場の楽観が相場を支えた」との声が聞かれた。
・NYダウの構成銘柄では、アムジェンが大幅に売られた。アナリストが投資判断を引上げたがほか、スイスの同業ノバルティスが心血管疾患治療薬候補の臨床試験(治験)で主要評価項目を達成できず、同様の治療薬候補を手掛けるアムジェンの売りにつながった。
・セールスフォースやエヌビディア、ホーム・デポも売られた。半面、ユナイテッドヘルスやキャタピラー、シェブロンは上げた。
・ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は前週末比▲0.32%安と続落した。
●3)9/9、NYダウ▲405ドル安、52,380ドル (日経新聞)
・9/9の米国株式市場でNYダウは前日比▲0.76%安と、3日続落して終えた。米国とイランの戦闘激化を受けて原油先物価格が上昇し、投資家心理を冷やした。米国長期金利の上昇も相場の重荷となった。・米国中央軍は9/8、イランの石油輸出拠点のカーグ島周辺やオマーン湾で原油タンカー5隻を攻撃したと発表した。イランが米国軍艦に弾道ミサイル攻撃を仕掛けたことへの措置だという。イランの革命防衛隊もペルシャ湾でタンカーなどを攻撃したと主張しており、9/9にはヨルダンの米国軍基地も攻撃したと伝わった。
・米国とイランの攻撃の応酬が激化しており、中東のエネルギー輸送が一段と滞るとの観測が強まった。米国原油先物市場ではWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)期近10月物が一時1バレル=96ドル台後半と、期近物としては6月上旬以来の高値を付けた。欧州市場では北海ブレンド先物の期近物が節目の100ドルを超えた。
・米国長期金利の上昇も株式市場で嫌気された。9/9午前、9/10に実施する米国債の買い入れ消却(バイバック)の額を最大60億ドルにすると発表した。従来の買い入れ規模の3倍にした。最低でも倍増としていた8月の発表内容より上積みした形だが、市場の一部で70億~80億ドル規模になるとの観測があったため、失望を誘ったとの指摘があった。
・原油高によるインフレ懸念から、金融政策の影響を受けやすい米国2年債利回りも一時4.43%と2024年7月以来の水準に上昇した。金利上昇で株式の相対的な割高感が強まった。
・NYダウの構成銘柄では、アルファベットやナイキ、セールスフォースの下げが目立った。アマゾンやプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)、スリーエム(3M)も安かった。9/9の新製品発表会で初の折り畳みアイフォーンを発表したアップルが下げて終えた。一方、IBMとシェブロンが上昇した。
・ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は前日比▲0.63%安と、3日続落した。半導体のブロードコムや半導体製造装置のKLAなどが安かった。9/8に個人向けの人工知能(AI)エージェントの新サービスを発表したメタプラットフォームズは大幅高だった。
●2.米国株 :トランプ氏、行き当たりばったり大統領、株式市場への跳ね返りが心配
1)トランプ氏、行き当たりばったり大統領、株式市場への跳ね返りが心配➀短期決戦で失敗した後の戦略を立てずにイラン攻撃をした。 しかも、戦術ばかりで、戦略がない。②これでは、トランプが去った後、米国と米国民が尻ぬぐいをすることになる。③結果、輝いて世界に君臨した米国の強みが消え、並み以下の米国になる。 トランプ後、華やかな宴の後の片づけが待っている その時になって、米国財政赤字6,400兆円の返済が重くのしかかってくるだろう。④トランプ氏は9/9、中間選挙で「共和党が勝てば全成人に5,000ドルの配当」すると共和党大会で有権者に訴えた。 この発言は、日本では「選挙買収」と疑われる言動である。 トランプ氏は共和党大会で、2.1万人のアリーナが「満員」だと主張したが、上階席の大半は空席のままだったと、ロイター通信が報じている。⑤奢れる平家、久しからず (『平家物語』第一「祇園精舎」の冒頭の言葉) ・盛者必衰の理をあらわしている言葉である。 ・米国株式市場への跳ね返りが心配される。●2)ドル安、7ヵ月ぶりの安値圏、原油価格もイランとの攻撃応酬で急伸
⑴輸入物価が上昇する ⇒ 米国内物価の上昇(インフレ圧力が増す)ことに直結することになる。⑵したがって、11月の中間選挙で、トランプ政権にとってドル安はマイナス要因だ。⑶原油価格も9/9にWTI先物原油価格が急伸した。・トランプ米国大統領は9/9、「中間選挙後、ガソリン価格は2ドルへ」と述べたと、フィスコが報じた。 彼は「願望が夢にでてきたようなお告げ」を言わないといけなくなった。 それだけ、トランプ氏が追い込まれていることの証であろう。⑷米国燃料費が高騰、イランとの戦闘で原油価格が上昇し燃料供給が逼迫➀レギュラーガソリン価格の推移(全米自動車協会(AAA)調査) 1年前 3.20ドル/1ガロン 1ヵ月前 4.02 9/74.15 過去最高②ディーゼル価格の推移 1年前 3.70ドル/1ガロン 1ヵ月前 5.30 9/7 5.90 過去最高 ・米国のディーゼル価格は2/28の米国・イラン戦闘開始時から約+55%上昇。 ・ベッセント財務長官は9/2、世界的なエネルギー価格上昇の一因として、ロシアのエネルギー施設に対するウクライナのドローン攻撃を挙げた。 ウクライナのせいでディーゼル油の輸出国であるロシアからの輸入が減ったため、米国内の価格が高騰したと説明した。
・トランプ氏は9/4、イラン戦争は「取るに足りないこと」と述べた。 トランプ米国政権が「イラン攻撃を矮小化」する動きをしている。 ・ギャラップ調査によると、米国政府に腐敗が蔓延していると回答した比率が89%と高率となり、過去20年間の調査で最高を記録した。 トランプ氏が2025年に事業や資産から得た輸入は少なくとも22億ドル(約3,466億円)で、前年の2024年の6億ドル(約945億円)の3倍超だ。
・「民、信用なくば立たず」(論語)ではないが、国民から米国政権への信頼がなければ、米国が国家として立ち行かない。
③冬場にかけて暖房用の需要が高まるため、ディーゼル供給は逼迫が続くと予想される。
⑸ベッセント米国財務長官は、円安・ドル高を牽制した発言をして、日銀に利上げを迫る重圧をかけている・もし、このような状況下で、日銀が利上げしなければ市場の失望を招き、市場は動揺するだろう。・ベッセント氏は、余計なおせっかい発言をしたものだ。 ベッセント氏は、自分の力を見せつけて大きく見せたいのだろう。 逆に言えば、急激なドル安を恐れているということだ。・それだけ、トランプ政権の政策の失敗が米国の信認を揺るがせている。➀関税・結局は、米国民の家計負担増を招いただけ。輸入物価の上昇を招き、インフレを加速させた。・中国は、米国との直接貿易は縮小したが、ベトナムなどを通じるなど迂回輸出するなどして、見せかけの減少をしただけ。②イランとの戦闘・戦闘は3~4週間で終結すると広言していたが、7ヵ月経っても終結の見通しがたたず、泥沼化している。・米国軍の制服高官は、イラン戦闘の困難さを進言したようだが、トランプ氏は無視した。・アフガニスタン戦闘終結時に、あれほどオバマ氏、バイデン氏を口撃し罵ったのに・・それ以上の失敗をしている。・アフガニスタン戦闘は世界の局地戦だったが、イラン戦争は原油の高騰を招き、米国民だけでなく原油輸入国全体に甚大な被害をもたらしている。・イラン戦闘の目的は、イランの核問題であったが、トランプ氏は忘れてしまったようで、最近は一言も触れない。・イラン支援国の中国、ロシアへの制裁は口だけで本気さはない。・要するにイスラエルのネタニヤフ首相の口車に乗せられてイラン攻撃をしたとしか思えない。③同盟国カナダの領有主張と禁輸・関税④グリーンランド領有の主張⑤イラン戦闘でホルムズ海峡封鎖による原油価格の暴騰を招いたその余波は、米国民の家計を直撃しているガソリン、ディーゼル油価格の高騰を招き、インフレを加速させている。⑥また、多くの原油輸入国の経済を困難に陥れた。⑦ウクライナ戦争は、「1日で終結させる」と世界に公言・大統領就任時からすでに1年8ヵ月経過したが、終結の見通しがたたず、いまなお戦闘中である。トランプ氏は「1日で終結できる」と公言していた。・トランプ氏が大統領になって、ウクライナへの直接支援から間接的な支援に後退し、むしろロシア支援に転じたかのようだ。・そして、戦争終結の条件はロシア領有を認めるようにウクライナに求めた。・ところが今や、ウクライナの攻勢が目立つようになっている。⑧移民政策の失策で、米国の将来の成長が危惧される・米国から頭脳者が流出・米国の成長は、海外からの頭脳がIT、半導体、AIなどが担った。 ところが、トランプ氏の移民政策で、その頭脳が米国から流出し始めている。・海外からの頭脳者の流入も減少している。・米国への海外旅行者も魅力が減ったと減少している。
・日銀としては独立性を保ち、金融政策の柔軟性を確保したいところである。
1.米国10年債利回り=5.5%が「株式攻撃」の赤信号、ソシエテのボコブザ氏(ブルームバーグ)
■Ⅱ.中国株式市場
1.上海総合指数の推移1)9/7、上海総合+2高、3,932(亜州リサーチ)・週明け9/7の中国本土マーケットで上海総合指数は、中国政府の政策に対する期待感が支えとなる流れとなり、前営業日比+0.07%高と反発した。・中国の内需不振が懸念されるなか、当局は景気支援のスタンスを強めている。
・中国政府は国有銀行や保険会社など8金融機関に対する第2弾の資本増強に乗り出した。最大で3,600億人民元(約8兆3,664億円)の資本増強となる。不動産業などの不良債権リスクに備え、融資余力を拡大する狙いだ。
・米国半導体株高も追い風。人工知能(AI)投資拡大によるメモリー需要増の期待が高まるなか、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は+3.4%高と、3日続伸した。中国株マーケットにも買いが波及している。
・ただ、株価指数の上値は限定的だった。
・米国・中国の指標発表が気懸り材料だ。米国では9/10に、8月の米国卸売物価指数(PPI)、9/11に同月の米国消費者物価指数(CPI)。中国では9/8に8月の貿易統計、9/9に同月のCPIとPPIが公表される予定だ。内容を見極めたいとするスタンスも強まっている。株価指数は安く推移する場面もあった。
・業種別では、ハイテクの上げが目立つ。物件開発や管理サービスなど不動産株も物色された。自動車、メディア・娯楽、インフラ建設なども買われた。半面、金融は冴えない。石炭・石油、公益、医薬、軍需産業、素材、消費、運輸なども売られた。
●2)9/8、上海総合+7高、3,940(亜州リサーチ)
・9/8の中国本土マーケットで上海総合指数は、資源相場の上昇が相場を支える流れとなり、前日比+0.20%高と続伸した。・9/8の上海期貨交易所(上海商品先物取引所)では、主要な非鉄金属の先物が高く推移している。また、9/7のロンドン金属取引所(LME)では、銅先物価格が過去最高値を更新した。ほか、中東情勢の不透明感で、9/8のWTI原油先物も急伸した。
・中国政府の政策に対する期待感も高まる状況だ。中国の景気懸念がくすぶるなか、当局が経済対策を強めるとの見方も広がっている。取引時間中に公表された8月の中国貿易統計では、米国ドル建ての輸出入が前月を上回る伸びを示したものの、市場予想には届かなかった。7月の月次経済統計に関しても、内需の弱さを示す内容が多かった。
・もっとも、株価指数に上値を買い進む動きは見られない。米国では9/10に8月の米国卸売物価指数(PPI)、9/11には同月の米国消費者物価指数(CPI)が発表される。中国でも9/9に同月のCPIとPPIが公表される。内容を見極めたいとするスタンスも買い手控え要因として意識された。
・業種別では、非鉄・石油の上げが目立つ。不動産株もしっかり。医薬、軍需産業、公益、消費なども買われた。半面、ハイテクは冴えない。金融、自動車、空運も売られた。
●3)9/9、上海総合+10高、3,951(亜州リサーチ)
・9/9の中国本土マーケットで上海総合指数は、前日までの好地合いを継ぐ流れとなり、前日比+0.28%高と3日続伸した。・中国の景気懸念がくすぶるなか、当局は景気対策を強めるとの見方が続いている。
・また、足もとでは、政府系の銀行・保険8社が9/6、最大で3,600億人民元(約8兆4,000億円)の資本増強計画を発表したほか、産業別の第15次5ヵ年計画(2026~2030年)も相次ぎ発表されている。
・商品市況高も関連銘柄にとって追い風となった。9/9の上海期貨交易所(上海先物取引所)では、主要な非鉄金属の先物が高く推移した。9/9の時間外取引でWTI原油先物は大幅続伸し、NY金先物が反発している。
・ただ、株価指数の上値は限定的。中東情勢の悪化で、原油相場が急伸していることなどを嫌気し、株価指数は安く推移する場面もあった。一方、寄り付き直後に公表された8月の中国物価統計は、消費者物価指数(CPI)が前年同月比+0.8%高と市場予想+0.8%高と一致した。生産者物価指数(PPI)は+3.8%と、市場予想+3.6%を上回った。
・業種別では、非鉄・産金、石炭など資源関連の上げが目立つ。発電も高い。軍需産業、インフラ建設、運輸、銀行・保険、電子機器なども買われた。半面、医薬は冴えない。不動産、メディア・娯楽、消費、自動車、半導体、証券も売られた。
●1.中国財政部が300億元(約7兆円)の特別国債発行し、国有銀行・保険の8社に資本注入
(Record China)1)8社は、中国工商銀行、中国農業銀行、中国輸出入銀行、中国輸出信用保険、中国人民保険、中国人寿保険、中国太平保険、中国再保険。■Ⅲ.日本株式市場
1.日経平均の推移1)9/7、日経平均+1,378円高、66,399円 (日経新聞)・9/7の東京株式市場で日経平均は前週末比+2.12%高と続伸して終えた。6万6,000円台回復は9/1以来。前週末の米国半導体株高を受け、値がさ半導体関連株に買いが入った。9/7のアジア株式市場で半導体株のウエートが高い韓国総合株価指数(KOSPI)や台湾加権指数が堅調で、ソフトバンクG(SBG)やキオクシアなどは午後に一段高となった。・9/7の東京株式市場ではソフトバンクG(SGB)やアソバンテスト、東京エレクトロンの3銘柄で日経平均を+1,000円あまり押し上げた。前週末の米国株式市場で主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が+3.3%高で終えたのが追い風となった。9/7のアジア市場でハイテク株比率が高いKOSPIや台湾加権指数が堅調だったのも支えに、日経平均は+1,600円超まで上げ幅を広げる場面があった。
・日経平均は午後、伸び悩んだ。バンナムやコナミ、任天堂といったゲーム関連株の一角の下落などが重荷となった。中外薬品など医薬の一角も下げた。
・「米国半導体株が上昇した流れを引き継ぎ、関連銘柄の上昇が相場を牽引した一方、米国連邦準備理事会(FRB)の金融政策の不透明感などから、日経平均が積極的に上値を追う動きは限られた」との指摘があった。
・東証株価指数(TOPIX)は+0.55%高と、3日続伸した。JPXプライム150指数は+0.65%高と、3日続伸して終えた。
・東証プライムの売買代金は概算で8兆377億円、売買株数は20億2,987万株。東証プライムの値上がり銘柄数は633、値下がりは885、横ばいは37だった。
・個別銘柄では、ファナックや太陽誘電、伊藤忠が上げた。一方、テルモやベイカレント、トレンドは下げた。
●2)9/8、日経平均▲1,130円安、65,269円 (日経新聞)
・9/8の東京株式市場で日経平均は前日比▲1.70%安と、3営業日ぶりに反落してこの日の安値で終えた。午前は日経平均は上昇する場面もあったが、中東情勢を巡る不透明感の高まりから午後に再び下落に転じ、取引終了にかかて下げ幅を広げる展開になった。東京外国為替市場で円相場が一時1ドル=152円台まで急伸したことで、輸出関連株に採算悪化を懸念した売りが優勢になった。・米国ブルームバーグ通信が日本時間午後2時過ぎに「サウジアラビア当局が複数のエネルギー関連施設で火災が発生したと公表した」と報じた。同国南部地域のエネルギー施設が標的となり、一部のエネルギー施設での操業は停止したという。報道を受け日本時間9/6午後、米国指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物の期近10月物が前週末比+2%強高い1バレル=94ドル台前半まで上昇する場面があった。
・中東情勢を巡る不透明感からリスク回避目的の売りが幅広い銘柄に膨らみ、日経平均は午後2時以降、右肩下がりの展開となった。「原油高を通じたインフレ圧力の高まりで、世界の中央銀行の利上げペースが加速するとの懸念が売りを誘ったのだろう」との指摘があった。
・外国為替市場で円相場が一時1ドル=152円台後半と、2月中旬以来およそ半年ぶりの円高・ドル安水準を付けた。トヨタやホンダ、村田製作所、TDKなど輸出関連株が軒並み売られ、相場の重荷となった。
・半面、ソフトバンクG(SBG)が連日で大幅高となり、株価指数を下支えした。SBGは一時前日比で+7%高と大きく買われた。出資先の米国オープンAIが9/3に新型の人工知能(AI)モデルの提供を一部企業に始めたと発表したことなどをきっかけに連日で買いが続いたようだ。
・東証株価指数(TOPIX)は▲1.83%安と、4営業日ぶりに反落した。JPXプライム150も▲1.67%安と、4営業日ぶりに反落して終えた。
・東証プライムの売買代金は概算で8兆4,774億円、売買株数は21億1万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1,158、値上がりは362、横ばいは34だった。
・個別銘柄では、京セラやイビデン、太陽誘電が下げた。一方、ニトリやKDDI、ネクソンは上げた。
●3)9/9、日経平均▲126円安、65,142円(日経新聞)
・9/9の東京株式市場で日経平均は前日比▲0.19%安と、続落して終えた。中東情勢の悪化を受けた原油高や日銀の利上げペース加速観測が相場の重荷となった。一部の人工知能(AI)・半導体関連への買いで日経平均は前場に+500円強上昇する場面もあったが、勢いは続かず後場は下げ幅が一時▲200円を超えた。・イエメンの親イラン武装組織フーシ派が9/8、サウジアラビアの空軍基地やエネルギー施設を攻撃したと、ロイター通信が報じた。米国軍によるイランの原油タンカー攻撃も伝わるなかで、中東地域での戦闘拡大で原油の供給混乱が増すとの警戒感が広がった。ニューヨーク原油先物は日本時間9/9の時間外取引でも1バレル=94ドル台後半と約3ヵ月ぶりの水準に上昇する場面があり、投資家心理の重荷となった。このところの円安・ドル高修正で買われていたニトリなど小売りの一角は今日は下げた。
・原油が再び上値を試すなか、日銀は9/17~18に開く金融政策決定会合で政策金利の引き上げを決めた後も、利上げペースを加速するとの見方が増えている。買い手控えムードも広がりやすく、薄商いのなかで売りに押されやすい展開となった。
・前日の米国株式市場ではパソコン向けのCPU(中央演算処理装置)の値上げを計画していると伝わったインテルが+9%上昇するなど半導体関連への買いが優勢だった。東京市場ではインテルを主要顧客にもつイビデンに連想買いが広がった。さらに米国コーニングの株高を受けて、フジクラ、住友電工、古河電工の電線3社も買われた。ソフトバンクG(SBG)の上昇も支えに、日経平均は一時+500円強上昇した。
・ただ、市場を取り巻く環境にはリスク要因が多く、アドバンテストや東京エレクトロン、スクリーンなどが売りに押されるなど、AI・半導体の物色は一部分にとどまった。
・東証株価指数(TOPIX)は前日比▲0.09%安と、小幅続落した。JPXプライム150指数も▲0.27%安と、続落して終えた。
・東証プライムの売買代金は概算で9兆2,303億円、売買株数は23億29万株。東証プライムの値下がり銘柄数は920と全体の約6割だった。値上がりは601、横ばいは33だった。
・個別銘柄では、ファーストリテイ、リクルート、テルモ、コナミが下落した。一方、TDK、ダイキン、住友金属鉱山が上昇した。
●2.日本株 : 日銀の利上げ観測と原油高が、➀円高を進行させ②相場の重荷へ
1)日銀の利上げ観測と原油高が、➀円高を進行させ ②相場の重荷へ⑴日銀の利上げが加速するとの「思惑」が主導した。
➀円高の状況・円相場、9/8午前153円台、午後152円台に突入し、2月から半年ぶりの円高水準となった。9/1の160円台から数日で8円近い円高となる。
⑵WTI原油先物価格の推移・7/01 67.89ドル 8/0575.08 9/01 90.68 9/09 96.05・7/01⇒9/9でWTI原油価格は+141.47%も急伸している。 WTI原油価格の上昇要因は、イランとの攻撃応酬の激化に伴うもの。 原油価格の上昇で、➀ガソリン②ディーゼル油の価格の上昇を伴い、➀家計を圧迫、しかも②インフレ加速を引き起こしている。・ベッセント米国財務長官は、燃料費上昇の要因はウクライナの攻撃で「ロシアが輸出減」したことに原因があると責任転嫁の発言をしている。 また、トランプ米国大統領は、燃料費上昇は「取るに足らないこと」と一蹴した。 責任回避し、責任から逃れる発言をするトランプ政権の責任者としては、誠実さ欠けている。
●⑶金利高・原油高は、株式相場にとってマイナス要因
➀金利高・原油高は企業業績(銀行等を除く)に対して減益要因。 ・企業コスト増に直結する。 ・日本経済の成長にとって阻害要因となり、企業売上にとって負の要因となりやすい。②したがって、日本の株式相場にとってリスク要因を抱えることになる。 ・AI・半導体関連株が日経平均を強力に押し上げてきた。 しかし、そのパワーも息切れ気味の展開に移行してきている。 ・加えて、金利高・原油高となれば、株式市場から資金流出も考えられ日経平均は試練を迎える公算が高くなりそうだ。 ・したがって、株式投資に当たって慎重な銘柄選択眼が求められそうだ。●2)日経平均の日中の動き
⑴9/7の日経平均の動き 前日終値(65,020円) 始値+579円高 米国半導体株高で半導体株に買い波及 安値+579円高 始値が本日の安値となった 高値 +1,647円高 ソフトバンクG、キオクシアが一段高 終値 +1,378円高 ゲーム関連株の一角が下落(66,399円)⑵9/8の日経平均の動き 前日終値 (66,399円) 始値▲556円安 日銀利上げ観測と円高進行で株下落 高値 +392円高 SBG、アドバンテスト、キオクシアが上昇 安値 ▲1,130円安 円高、中東情勢警戒、米国株の動向懸念 終値 ▲1,130円安 本日の安値引け (65,269円)
⑶9/9の日経平均の動き 前日終値 (65,269円) 始値 ▲182円安 原油高と利上げ観測で売りを誘った 高値 +524円高 AI・半導体株の買いで、上昇に転換 安値 ▲251円安 勢いが続かず下落 終値 ▲126円安 薄商いのなか買い手控えの展開 (65,142円)
⑷AI・半導体関連株のなかで上昇・下落と値動きがバラバラで、気懸り増える。
●3)日経平均を動かす、寄与上位5銘柄の状況
⑴9/7、日経平均+1,378円に占める寄与上位5銘柄は+1,327円、占有率96.29% 銘柄寄与額 上昇率 株価上昇幅 ソフトバンクG +504円高 +11.22%高 + 627円高 アドバンテスト +335 + 4.20 +1,390 東京エレクトロン +253 + 4.73 +2,520 キオクシア +119 + 9.31 +5,070 イビデン +116 + 8.42 +1,725 合計 +1,327円高・プラス寄与上位5銘柄は、AI・半導体株がすべてで日経平均上昇の96.29%を占めた。 本日は、AI・半導体銘柄のオンパレードだった。
⑵9/8、日経平均▲1,130円に占める寄与上位5銘柄は▲595円、占有率52.65% 銘柄寄与額 下落率 株価下落幅 東京エレクトロン ▲185円安 ▲3.30%安 ▲1,840円安 アドバンテスト ▲164 ▲1.97 ▲ 680 TDK ▲103 ▲6.89 ▲ 205 イビデン ▲ 93 ▲6.26 ▲1,390 キオクシア ▲ 50 ▲3.56 ▲2,120 合計 ▲595
・マイナス寄与上位5銘柄は、すべてAI・半導体関連株であった。 ただし、下げ幅に占める割合は52.65%と半分に終わった。 かつての日経平均の牽引力は縮んでいる。・プラス寄与上位5銘柄では、ソフトバンクGが+273円高と、1銘柄だけが日経平均を下支えした。
⑶9/9、日経平均▲126円安に占める寄与上位5銘柄は▲467円、占有率3.70倍 銘柄寄与額 下落率 株価下落幅 アドバンテスト ▲232円安 ▲2.84%安 ▲ 960円安 ファーストリテイ ▲150 ▲2.72 ▲1,870 リクルート ▲ 39 ▲2.45 ▲ 385 東京エレクトロン ▲ 30 ▲0.55 ▲ 300 テルモ ▲ 16 ▲2.51 ▲ 58 合計 ▲467円安
・プラス寄与は、ソフトバンクG+204円、フジクラ+82円、イビデン+41円、TDK+19円、住友電工+16、合計+362円高。・AI・半導体関連株のプラス・マイナス合計は+130円で、日経平均を買い支えした。・つまり、AI・半導体関連株以外の銘柄が売られたため、日経平均は下落したことになる。 東証プライムの値下がり銘柄数が920と、全体の59.2%を占めたことが要因。
●4)急激な円高が、原油100ドルへの上昇に対し衝撃を緩和⇒物価上昇を抑制
(ブルームバーグ)1.日銀、9/16~17に開く金融政策決定会合で施策金利を1.0⇒1.25%に引上げる方針 1)原油高や円安が想定以上に物価を押し上げるリスクに対応する。 (共同通信)1.円安加速、半年ぶりに154円台、経団連会長「円安是正、好ましい」 (FNN)1)日銀の利上げペースが速まるとの観測が強まるなか、市場関係者の間では「ニューヨーク市場が休場のなか、投機的な動きが強く出たのでは」との声があがっている。
■Ⅳ.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・5401 日本製鉄 米国業績向上 ・5713 住友金属鉱山銅価格の上昇 ・8053 住友商事 銅価格に上昇執筆者プロフィール
中島義之 (なかしま よしゆき)
1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

