パンデミック対策の国際組織に薄い関心、重荷となっている円安【よぎるコロナ敗戦 高市首相「危機管理投資」の危うさ】#1
【よぎるコロナ敗戦 高市首相「危機管理投資」の危うさ】#1
自民党内に内閣改造の“タマ”がいない…女性閣僚「目玉不在」に高市首相が“苦悶”
高市首相の「責任ある積極財政」の下で、2027年度予算編成に向けた各省庁からの概算要求が出そろい、過去最大の140兆円規模に膨れ上がった。厚労省の概算要求も、高市首相が新設した「『強く豊かな日本』投資枠」で1兆円以上を積み上げ。過去最大の36兆円に達した。
「しかしパンデミック対策に限れば、予算が削減される可能性が出てきました。これでは、“コロナ敗戦”の悪夢を繰り返すのではないか?」(感染症危機管理の専門家)
確実に発生する次のパンデミックに向けて、世界連携でワクチン開発を目指す「感染症流行対策イノベーション連合」(CEPI=セピ)という国際組織がある。CEPIは17年の設立以来、先進各国等による5年ごとの資金拠出で運営され、現在は各国が第3回(27~31年)の拠出を検討している。
厚労省は、概算要求でCEPIへの拠出を掲げたが、金額を入れない「事項要求」にとどまった。
「拠出額決定を年末の予算編成まで先送りしたのですが、高市首相の“日本ファースト”や円安などにより、前回から減額される懸念が出てきたのです」(前出の専門家)
高市首相の姿勢がうかがわれたのは、就任直後の昨年11月だった。
焦点となったのは、低・中所得の約100カ国で3大感染症終息を目指す国際機関「グローバルファンド」(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)。日本は次回拠出額(3年間)を、前回(22年)の10億8000万ドルから5億1800万ドルに半減し、衝撃が走った。
「途上国向け援助の色彩が濃いとはいえ、感染症は国境を越えるため、基金は重要な役割を担っています。高市首相の内向きな姿勢が見えて、CEPIへの拠出も減るのではないかと懸念が広がっている」(国際保健アナリスト)
加えて、高市首相の政策が加速させている円安が重くのしかかる。
22年2月、岸田首相がCEPIに3億ドル(5年間)の拠出を決めた時の為替レートは1ドル=115円ほど。円換算で345億円だった。足元では1ドル=160円前後に円安が進行し、前回と同じ3億ドルの拠出でも、負担は135億円も増してしまう。
日本のCEPIへの累計拠出額は、ドイツ、ノルウェー、英国に次ぐ第4位。こうした事情から、元厚労省医務技監の鈴木康裕氏がCEPIの理事に就任している。
しかし次の拠出が減額されれば、日本は理事ポストを失い、影響力が低下する恐れがあるのだ。 (つづく)
(坂田拓也/ライター)
