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 ◇第97回都市対抗野球大会第12日 決勝 西濃運輸4-3NTT西日本(2026年9月6日 東京ドーム)

 決勝戦が行われ、西濃運輸(大垣市)がNTT西日本(大阪市)に4-3で競り勝ち、12年ぶり2度目の優勝を飾った。前回優勝時にはエースとして頂点に導いた佐伯尚治監督(43)が浸透させた「3つの全」を重視する野球をナインが体現。橋戸賞(MVP)には5試合で3本塁打を放ったヤマハからの補強選手、前野幹博外野手(31)が選ばれた。

 一塁側スタンドの大歓声を聞きながら、前野が右翼から歓喜の輪に加わった。「よく聞こえました。声援は本当にありがたかった」。NTT西日本の猛追をかわし、1点差の辛勝。この日は4打数1安打、3三振に終わったが、今大会は鮮烈な数字を残した。

 初戦・東京ガス戦での3ランに続き、前年覇者・王子との準々決勝では2打席連発。5試合で打率・409、3本塁打、10打点と爆発し、橋戸賞に輝いた。

 「こんな大きな賞は初めて。(8月)4日からチームに合流し、あっという間でした」

 ヤマハからの補強で家族に負担をかけたと言いながら、充実の1カ月を振り返った。

 12年ぶり2度目の頂点も、日本一ロードの起点は半年前にさかのぼる。3月7日、スポニチ大会初戦でENEOSに2-3で敗退。同大会予選ブロック突破もならなかった。

 「うちは初戦に弱いんです」と佐伯監督。その壁を打ち破るため(1)全力疾走(2)全力発声(3)全員参加と3つの「全」をナインに課した。12年前にエースとしてチームを日本一に導き、橋戸賞を獲得した指揮官は周囲に「日本一を獲る」と公言しながら「まず一勝」を大切にした。その姿勢は一球にかける真剣さも見直させた。

 4回1死一、三塁から先制の右前適時打を放った主将の城野が胸を張る。「5試合全てで全力疾走・全力発声・全員参加を出し切りました」。補強選手をまとめ、最強軍団に昇華させた手腕は大会優秀選手に値した。

 「橋戸賞選手を胴上げだ!」。“仲間”からの合図で計3回宙に舞った前野がトロフィーを抱えながら、一呼吸ついた。「次はヤマハで西濃運輸にリベンジしたいですね」。東海地区でしのぎを削るライバルに挑戦状を叩きつけたが、その前に勝利の美酒をたっぷり味わってからだ。(伊藤 幸男)

 ▼セイノーホールディングス田口義隆代表取締役社長 素晴らしいチームばかりだから、どこが勝ってもおかしくないけれど、みんなが心を一つにしてやってくれた。応援も含めて全社員の力。

 ▽西濃運輸 2005年(平17)10月1日設立。本社は岐阜県大垣市田口町。西濃運輸株式会社は資本金1億円、25年度の売上高は約8130億円。野球部は60年創部。主なOBは元ロッテ・藤田宗一、巨人・船迫大雅、楽天・林優樹ら。