「スキルス胃がん」に“なりやすい人”とは?リスクを上げる3つの原因【医師監修】

スキルス胃がんは、胃がん全体とは異なる傾向を持ち、若い世代や女性にも見られやすいことが知られています。性別・年齢・遺伝的背景といった要因に加え、ピロリ菌感染や生活習慣との関連など、リスクを高める可能性のある要因について詳しく解説します。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

スキルス胃がんになりやすい人の特徴とリスク要因

スキルス胃がんは誰にでも起こりうる病気ですが、特定の特徴やリスク要因を持つ方に発症しやすい傾向があることが知られています。このセクションでは、スキルス胃がんのリスクを高める要因と、リスクに気づくためのポイントについて解説します。

性別・年齢・遺伝的背景との関連

スキルス胃がんは、通常の胃がんとは異なる特徴的な傾向があります。胃がん全体としては中高年の男性に圧倒的に多い病気ですが、スキルス胃がんの場合は、20~40代の若い世代や女性にも比較的多く見られるという特徴があります。

なぜ若い女性に多いのかについては、まだ完全には解明されていませんが、女性ホルモンとの関連性が示唆されることもあります。ただし、これはあくまで傾向であり、男性や高齢者にもスキルス胃がんは発症します。年齢や性別だけでリスクを判断するのではなく、複合的なリスク要因を踏まえて考えることが大切です。

また、スキルス胃がんには遺伝的な要因が関係している場合があります。家族の中に胃がんを発症した方がいる場合は、そうでない方と比べてリスクが高くなる可能性があります。特に、血縁者の中に若くして胃がんを発症した方がいる場合は、遺伝性のリスクについて医師に相談されることをおすすめします。

スキルス胃がんのごく一部には遺伝的な要因が関係している場合があり、海外の研究などではCDH1と呼ばれる遺伝子の変異が関与する稀なケースも報告されています。この遺伝子に変異がある場合、スキルス胃がんを発症するリスクが高まる可能性があるとされています。遺伝性が疑われる方は、遺伝カウンセリングを行っている医療機関に相談することも一つの選択肢です。遺伝カウンセリングでは、自分のリスクを正確に把握し、適切な検査や予防の方法について専門家のアドバイスを受けることができます。

生活習慣・環境的なリスク要因

遺伝的な要因のほかに、生活習慣や環境もスキルス胃がんのリスクに影響する場合があります。

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)の感染は、胃がん全般のリスクを高める要因として広く知られています。ピロリ菌は胃の粘膜に慢性的な炎症を引き起こし、長期的には胃がんの発生につながる可能性があります。スキルス胃がんとピロリ菌の関連については、通常の胃がんほど明確ではないとする見解もありますが、胃の健康を守るうえでピロリ菌の検査と除菌治療を検討することには意義があります。

塩分の摂り過ぎや野菜・果物の摂取不足、喫煙なども胃がん全般のリスクを高める要因として挙げられています。食生活の偏りや喫煙習慣がある方は、生活習慣の見直しが胃の健康を守ることにつながる可能性があります。

また、過度な飲酒も胃の粘膜を傷つける要因となりますので、適切な量を心がけることが大切です。日常的な強いストレスや不規則な生活も胃への負担になりうるため、身体全体の健康管理を意識することが重要です。どれか一つのリスク要因が単独でスキルス胃がんを引き起こすというわけではありませんが、複数の要因が重なることでリスクが高まる可能性があります。自分の生活を振り返りながら、改善できることから少しずつ取り組んでいくことが大切です。

まとめ

スキルス胃がんは決して珍しい病気ではなく、誰にでも起こりうる可能性があります。だからこそ、正しい知識を持ちながら、定期的な検査と生活習慣の管理を続けることが大切です。自分の身体と向き合い、少しでも異変を感じたときには専門家に相談するという習慣が、スキルス胃がんをはじめとするさまざまな病気から自分を守る力となります。

スキルス胃がんは発見が難しいがんですが、早期の段階で見つけることができれば治療の選択肢が広がります。定期検診の受診、生活習慣の見直し、気になる症状があれば早めの消化器内科への相談を心がけてください。自分の身体のサインに耳を傾け、専門家とともに適切な対応を取ることが健康を守る第一歩です。

参考文献

国立がん研究センター がん情報サービス「胃がん」

国立がん研究センター がん情報サービス「がんの統計」