阪神・石井大智が聖地帰還 過酷なリハビリ中も進化模索「球速を上げたい」新フォームでいきなり152キロ
◇セ・リーグ 阪神2-3DeNA(2026年9月5日 甲子園)
聖地に“ミスターゼロ”が帰ってきた。阪神・石井大智投手(29)が5日、DeNA戦(甲子園)で今季初昇格初登板を果たした。2月の春季キャンプ中に左アキレス腱を断裂。手術と過酷なリハビリを乗り越え、公式戦は昨年10月30日の日本シリーズ第5戦以来、実に310日ぶりに1軍マウンドへ帰還した。魂の28球。1回無失点に封じ、昨季から51試合連続無失点だ。チームは2-3で敗れ、巨人が勝利したため優勝マジックは「18」で停滞した。
誰もが復活を待っていた。場内アナウンスで石井の名前がコールされると、4万2646人の大観衆が沸いた。右腕に降り注いだ「おかえり」の大声援を力に変えた。
「1点差っていうところで、石橋を叩きまくって。もう壊れるぐらいに叩きながら行った。無失点で帰ってこられて良かった」
今季初昇格を果たすと出番は即訪れた。1点劣勢の8回から2番手として登板。310日ぶりの1軍公式戦で2番から始まる上位打線を任された。1死一、二塁とされるも、宮崎をスライダーで見逃し三振。最後は蝦名を151キロ直球で中飛に打ち取った。これで昨季から51試合連続無失点。「1軍で投げられることが凄く僕らにとっては幸せ」と喜びをかみしめた。
2月の春季キャンプ中に左アキレス腱を断裂して手術。1カ月半続いた松葉づえの生活は想像以上に過酷だった。一般的にアキレス腱断裂の手術は、術後半年での実戦復帰が目安とされる。しかし、それはあくまで実戦復帰の話。今季中に1軍登板できるかどうかは未知数だった。
「普通に歩けないっていうのがめっちゃ苦痛だった」
転倒などで患部に衝撃が加われば、再断裂などで再手術の可能性もあった。入浴や睡眠など日常生活には細心の注意が必要。常に頭にあったのは、再手術という最悪の事態だった。「寝ていても、左足に少しでも何か当たったら起きて」。自由に動かせない不安といらだちに耐えた。
「復帰を目標にするわけではなかった。それより25年以上のパフォーマンスを」
苦しい状況でも見据えていたのは、進化だった。工藤、木下らが台頭する中で「球速を上げたい」と投球フォームの改造に着手。左足の踏み込みの弱さが課題とした。けがの影響で、昨年と同じ投球フォームで投げることは難しい。ならば新しい投球フォームで進化を目指す。「完成ではないけど、取り組みの方向としては悪くない」。新フォームで、この日は最速152キロをマークした。
「この時間は戻ってこない。一日も後悔しないように」
大けがを乗り越え、また一つ成長を遂げた右腕。球団初のセ・リーグ連覇へ向かう虎にとって、これ以上ない最強のピースが加わった。(山手 あかり)
≪石井復帰への経過≫
▽2月11日 宜野座での紅白戦で左ふくらはぎを負傷。
▽同12日 大阪府内の病院で「左アキレス腱の損傷」と診断。3月のWBC出場辞退を発表。
▽同21日 大阪府内の病院で「左アキレス腱断裂縫合術」を受け、20日に退院したと球団が発表。
▽同27日 SGL尼崎でリハビリを開始。(以下リハビリの場所はすべてSGL)
▽3月3日 台に座った状態でキャッチボール。
▽5月1日 本格的なキャッチボールを再開。
▽6月20日 強度を上げたキャッチボールと、手術後初のブルペン入り。
▽同25日 藤川監督が今季中の1軍復帰の見通しを示唆。
▽7月22日 手術後初のライブBP登板。
▽8月23日 2軍のソフトバンク戦(SGL尼崎)で実戦復帰。1回2安打無失点、3奪三振。最速は152キロを計測。
▽同30日 前日29日に続いて2軍のオリックス戦に登板。連投テストを完了させた。

