MBTIの次は「テト男・エゲン女」?韓国の若者が”血液型占い”以上に「自分をタイプ分類」し、恋愛や結婚の失敗を避ける心理

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やたら目につく診断プログラム

数年前まで、私のカカオトーク(韓国の国民的メッセージアプリ)の友人たちのプロフィールには、謎のような「4文字」がやたらと目についた。ENFP、INFP、ENTJ……。人の性格を4つの指標で16タイプに分類する性格診断プログラム、MBTIの結果である。

ところが最近は少し様子が変わった。カカオトークのプロフィールでその4文字を掲げる人は目に見えて減った。かといって、韓国人の「タイプ分類」がなくなったわけではない。今度は「テト女(テトニョ)」「エゲン男(エゲンナム)」といった新しい言葉が登場した。流行の名前が変わっただけで、人をいくつかのタイプに分けて理解しようとする習慣は、相変わらず健在なのだ。

仕事柄、若者文化に頻繁に触れる私にとっても、「テト男」「エゲン女」のような、発音すら馴染みのない流行語は、まるで異星の言葉のように聞こえる。大学生の親戚に尋ねてみると、ホルモンのイメージから作られた新しいタイプ分けだという。男性ホルモンのテストステロンを連想させる強い気質を「テト」、女性ホルモンのエストロゲンを連想させる柔らかな気質を「エゲン」と呼ぶそうだ。男性だから必ずテト、女性だから必ずエゲンというわけでもない。テト男・テト女、エゲン男・エゲン女というように、性別に関係なく4タイプに分けられる。

もちろん実際にホルモン値を測定するわけではない。スポーツが好きで活動的、勝気な性格なら「テト」、几帳面で繊細、感受性が豊かなら「エゲン」というふうに気質を分類する。

このほかにも、最近韓国の若者の間で流行している自己診断テストには、愛着タイプ診断、パーソナルカラー診断、恋愛傾向テスト、各種心理・性格テストなどがある。ネット上でいくつかの質問に答えるだけで自分の傾向がわかるテストが次々と登場し、それを友人や恋人と共有することもひとつの遊びになっている。流行する基準や名前は変わっても、人をいくつかのタイプに分けて理解しようとする欲求は、今も変わらず続いているというわけだ。

MBTIの大流行

日本留学時代、私は「血液型占い」という新文物(?)に出会い、しばらくその魅力から抜け出せなかった。血液型によって人の性格や相性を説明するのがとても面白かった。関連書籍まで買い込んで読み、友人たちの血液型を言い当てようとした記憶もある。

ところが数年前、韓国でMBTIが大流行した時は事情が違った。好奇心から一度やってみたが、正直なところ、ほどなくして諦めてしまった。16タイプもの人間類型をいちいち覚えるのに必要な労力を、私の脳が引き受けてくれなかったからだ。

MBTIは人の傾向を外向型(E)と内向型(I)、感覚型(S)と直観型(N)、思考型(T)と感情型(F)、判断型(J)と知覚型(P)という4つの指標で分け、それらを組み合わせて全16タイプに分類する。例えばENFPは、外向的で直観的、感情や価値観を重視し、自由でしなやかな傾向を持つ人物として説明される。

MBTIにまつわる、あまりにも有名なミームをひとつ紹介したい。母親が娘に「今日、悲しくてパンを買っちゃった」と言ったとする。このとき感情型のF型は母親の感情にまず反応し、「え、なんで悲しかったの?何かあったの?」と尋ねるという。一方、思考型のT型は「何のパン買ってきたの?」と聞いたり、さらに極端なT型の場合は「私、パン食べないから」と答えたりするというのだ。

実際の人間の性格をこれほど単純に分けられるのかどうかは、また別の問題である。しかし複雑な性格理論を、こうした日常的な会話ひとつで説明できるという点こそが、MBTIが韓国で爆発的な人気を得た理由のひとつなのかもしれない。多くの若者が自分のMBTIタイプをSNSに名札のように掲げ、親たちは幼い子どもの進路相談のためにMBTI診断を受けさせたりもした。一部の企業の採用プロセスに導入されるほど、まさに大旋風を巻き起こしたのである。

ところが最近では、MBTIに加えて、ホルモンの気質になぞらえた自己診断、親密な関係における感情反応や行動パターンを類型化した愛着タイプ診断、刺激に対する敏感さを測るHSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)テストなど、「自分」を解釈してくれる各種診断コンテンツが若者の間で流行している。

韓国の有力紙の『朝鮮日報』が2025年7月に実施したアンケートによると、全体の回答者の66.8%が「MBTIなどの診断型コンテンツをやったことがある」と答え、10~30代の女性は78.6%と最も高かった。理由としては「面白いから」(33.2%)が最も多く、「自分を理解したいから」「SNSで流行っているから」「恋愛・人間関係に役立ちそうだから」といった理由も多かった。「テストの結果が実際の自分をよく表していると感じた」という質問に肯定的に答えた回答者は77.6%、診断コンテンツの結果が実際の人間関係に影響を与えると答えた回答者は59.5%にのぼった。『朝鮮日報』はこの結果を報じながら、はっきりとした言葉よりも空気や暗黙のサインに頼る傾向が強い韓国社会の構造的な特性と、不確実な未来、慢性的な不安、心理的疲労感などがこのブームの背景にあると分析している。

失敗したくないから自分に合った答えを

私はこれに加えて、「失敗したくない」という心理が少なからず働いていると考えている。過度な競争の中で育った韓国の若い世代にとって、進学や就職はもちろん、恋愛や結婚さえも失敗してはいけない選択になりつつある。だとすれば、自分に合った道をあらかじめ知っておき、失敗する可能性のある選択ははじめから避けたいと思うのも、自然なことなのかもしれない。

私の親戚の中でも、少なくない費⽤を払ってMBTIをもとにした子供の進路相談を受けたことがある人が少なくない。江南(カンナム)など教育熱の高い地域では、今も子どもの傾向を分析して進路や適性を見つけてくれるという各種コンサルティングが盛んに行われている。「うちの子にはどんな職業が向いているのか」と悩む親にとって、傾向を客観的に教えてくれるという点で、魅力的な商品なのだろう。

恋愛や結婚も同じである。結婚相談所の自己紹介書には、自分の傾向や各種診断結果を記載するケースが多く、若者の間でも、初対面の相手にまずMBTIを尋ねることは珍しくない。その理由を尋ねると、「タイパ(タイムパフォーマンス)」のためだという答えがよく返ってくる。学歴や職業といった条件をあらかじめ確認するのと同じように、相性についても事前に知っておけば、付き合っている途中で合わずに別れるという「失敗」を避けられるというのだ。相手がどんな人物なのか長い時間をかけて知っていくよりも、「自分に合うタイプかどうか」をまず確認しようとしているのである。

さらに最近では、こうした現象が韓国だけの話ではないという点も興味深い。日本のZ世代でも似たような様相が見られるという。日本では長らく血液型や星座で人の性格を語ってきたが、最近の20代では16Personalitiesや、恋愛傾向を16タイプに分ける「Love Type 16」のような新しい診断コンテンツの認知度が高いそうだ。

もしかするとこれは、不確実な時代を生きる若い世代に共通して見られる心理なのかもしれない。進路も、仕事も、恋愛も、「自分に合う答え」をあらかじめ知って選択すれば、失敗という試行錯誤を減らせると信じているのだ。

日本では2000年頃、畑村洋太郎・東京大学教授が「失敗学」という概念を提唱し、失敗を分析してその経験を次の選択に活かすべきだと強調した。韓国にも「失敗は成功の母」という昔ながらの格言がある。しかし今の若い世代にとっては、失敗から学ぶことよりも、そもそも失敗しないことのほうが、より重要に感じられるのかもしれない。

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