〈外国人レンタカー事故が1.8倍に〉「逆走」「ノーマルタイヤで雪道」も…観光地で住民生活に影響、「動画見ないとエンジンかからない仕組みを」

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外国人運転者によるレンタカーの交通事故が増えている。内閣府の資料によれば、国際免許又は外国免許を所持する外国人運転者によるレンタカーの交通事故件数は、2023年の120件に対し、2025年は212件とおよそ1.8倍に増加。この数字は事故の件数であり、外国人レンタカー利用者数を分母とした事故率の推移を示すものではないが、増加する訪日外国人に向けて、不慣れな土地の交通環境やルールをどう周知していくのか。訪日外国人観光客が多く訪れる自治体や関係団体を取材した。

【画像でみる】外国人運転者によるレンタカーの交通事故は2年で約1.8倍に増加

訪日外国人の増加とともに「レンタカー事故」も増加

訪日外国人のレンタカー交通事故の増加を受け、国も対策に乗り出している。

国土交通省は7月、訪日外国人レンタカーの交通安全対策を本格展開する方針を表明。交差点での右折時事故の割合が高いことを踏まえ、左側通行に不慣れなドライバーを安全に誘導することなどの対策を掲げている。また観光庁は、訪日外国人によるレンタカー利用の実態を把握するための調査を実施するという。

こうした課題は、外国人観光客が多く訪れる地域でも深刻化している。その一つが、岐阜県の飛騨高山地域だ。

同地域では、雪に不慣れな外国人観光客がレンタカーで雪道を走行することに伴い、事故やトラブルが増加しているという。高山市議会事務局の担当者は次のように説明する。

「冬にノーマルタイヤで来てスタックして、幹線道路である国道が渋滞になってしまったり、月極の駐車場に誤って駐車したり、あるいは逆走したり、といったトラブルが発生しており、地域住民の生活にも影響が出ています。

こうした状況を受け、昨年12月、飛騨地域の高山市と飛騨市、下呂市、白川村の三市一村が共同で、外国人観光客のレンタカー利用に関する意見書を国に提出しました」(高山市議会事務局担当者、以下同)

意見書では、ほかにも「運転できなくなった車両の路上放置」や、冬季以外のレンタカーの利用における「右車線通行」「路上駐車や民地への無断駐車」などのトラブルが指摘されている。救急対応や市民生活に悪影響を及ぼす事態が散見されるようになってきたという。

意見書の提出後、具体的な対策も進められている。

「岐阜県警が関係団体に対して今後の取り組みについて情報共有する会議をしました。例えば国道の状況などを示す道路情報板に英語表記も併記したり、飛騨地域以外でも、『飛騨地域へ行くときには冬のタイヤにしましょう』と周知していただいたりしています」

ハンドルを握ってからでは遅い? 訪日外国人に求められる交通ルールの啓発とは

外国人観光客のレンタカー利用に関して、事業者側も課題を抱えている。一般社団法人全国レンタカー協会の担当者は、外国人観光客による事故増加の要因についてこう話す。

「通行区分が異なることや『とまれ』をはじめとする道路標識などの交通ルールの違い、慣れない交通環境に起因する事故が多いのではないかと考えております。また冬季には、ノーマルタイヤの車を借りて、そのまま積雪地域へ乗り入れてトラブルを起こすケースも増えています。空港周辺は雪が積もっていないため、『ノーマルタイヤで大丈夫』と勘違いしてしまうのかもしれません。

北海道や東北などの地域の営業所では、冬は基本的にスタッドレスタイヤに履き替えますが、そうではない地域では、あらかじめ申告しない限りはノーマルタイヤの車になってしまいます。

訪日外国人レンタカー利用者がハンドルを握る前、出発する前の段階までに、日本の交通ルールや安全運転に必要な適切な装備について、いかに周知をして理解してもらうかが課題です」(一般社団法人全国レンタカー協会担当者、以下同)

事故防止に向け、同協会では啓発資料の作成にも力を入れている。ホームページに「訪日外国人向けレンタカードライブ支援ツール」を掲載し、日本語のほか、英語、韓国語、中国語(繁体字)、タイ語で案内。また警察庁の外国人向けの交通安全のリーフレットも掲載している。

ほかにも、協会賛助会員の保険会社が動画を作成し、多くのレンタカー事業者で活用されているという。ただ、啓発資料を使うか使わないかはあくまでもレンタカー事業者の判断に委ねられる。

今後は、より実効性のある仕組みづくりが求められるという。

「究極的には、将来、スマホを利用して契約から借り受けまでを行い、最後に啓発動画なりを『ちゃんと見ました』ということをクリックしないと車のエンジンがかからない、といったような仕組みが必要ではないかと考えています」

訪日外国人が日本で安全に運転するためには、ハンドルを握る前から交通ルールや安全対策を伝える仕組みが重要になりそうだ。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班