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パリダカの歴史で最も成功を収めたオフローダー

今をときめくグーグルが創業した、1998年。年末の日本では、ミカ・ハッキネン氏がF1のドライバーズ・タイトルを獲得した。だがその年始には、三菱がパリ・グラナダ・ダカール・ラリー(パリダカ)で、前年に続く表彰台独占という偉業を成し遂げている。

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1999年と2000年は、シュレッサー・ルノー・メガーヌに優勝を奪われる。しかし三菱勢は巻き返しを図り、2001年から2007年の連続優勝という、前人未到の記録も打ち立てた。このパリダカでの連勝記録は、未だに破られていない。


三菱パジェロ・エボリューション(1997~1999年)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

パリダカの長い歴史において、三菱パジェロは最も成功を収めたオフローダーだといっていい。何しろ、ドライバーがろっ骨を折っても、些細な事故として捉えられるような耐久レース。理解を深めるほど、凄さに胸が熱くなる。

1998年の競技区間は、合計5219km。17日間での総距離は、約1万600kmに及んだ。残念ながら、三菱のワークスチーム・メンバー、ブルーノ・サビー氏や篠塚建次郎氏などへ、筆者はお会いしたことがない。彼らは、この戦績をどう捉えているのだろう。

エボの覇気溢れる気性を隠しきれない

フランス・パリのヴェルサイユ宮殿前から、セネガル・ダカール郊外にあるレトバ湖までの過酷なルートを走る、1997年に続く勝利を奪ったパジェロ・エボリューション。初夏の穏やかなグレートブリテン島に佇んでいても、覇気溢れる気性は隠しきれていない。

この進化版パジェロが開発された理由は、パリダカT2クラスのホモロゲーションを取得するため。ボディは剛性が高められ、ステアリングラックはクイック化。前後にトルセン式LSDを装備し、センターデフはロック可能だった。


三菱パジェロ・エボリューション(1997~1999年)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

エンジンは、新開発された自然吸気の3.5L V型6気筒。24本のバルブが組まれたDOHCで、三菱がMIVEC(マイベック)と名付けた可変バルブタイミングを実装し、280psの最高出力と35.4kg-mの最大トルクが主張された。

サスペンションは、前がダブルウィッシュボーンで後ろはマルチリンク。専用のコイルスプリングで、通常のパジェロよりストロークは300mm近く伸ばされていた。ホイールベースは、標準のショートボディと同じ2420mmで短い。

1997年から1999年に2693台がラインオフ

トレッドは前で125mm、後ろで110mmも広げられ、全幅は1875mmある。ワイドなタイヤを覆うブリスターフェンダーと、角のようなリアスポイラー、各所のエアインテークが、ブルドッグのような勇ましい出で立ちを生む。

希少性も踏まえれば、パジェロ・エボはジャパニーズ・レジェンドへ加えるのに相応しい。三菱ランサー・エボリューションに並ぶ、モータースポーツのヒーローとして。今後更に、評価を高めても不思議ではないと思う。


三菱パジェロ・エボリューション(1997~1999年)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

1997年から1999年にラインオフしたのは、2693台だといわれているが、三菱は正式な数を記録していないらしい。販売は専ら日本市場だったが、今回のシルバーに染められた1台は、英国のカルト・ステータス・カーズ社が並行輸入した1998年式だ。

走行距離は10万kmに届かず、トランスミッションは5速マニュアル。完璧と呼べるコンディションにある。新車時は5速AT版の方が人気で、提供されたMT仕様は634台だけだとか。300台だったという説もある。

攻撃的な走りを引き立てる高域の頼もしい「伸び」

これまで僅かな数が英国へ上陸しているが、正確な台数は不明。パジェロ・オーナーズクラブUKの調べによると、数10台程度のようだ。

そんなレジェンドに対する気遣いは、3速から2速へシフトダウンし、V6エンジンを6000rpmへ迫らせた頃には吹き飛んでいる。怒り狂ったような図太い唸りへ包まれ、砂利道の疾走が始まる。高域での頼もしい「伸び」が、攻撃的な走りを引き立てる。


三菱パジェロ・エボリューション(1997~1999年)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

目線の高いSUVで飛ばすと、何者にも打ち勝てそうな自信を抱く場合が多いが、パジェロ・エボなら格別。障害物など、構わずなぎ倒せる勢い。ランドローバーのディフェンダーも、相手にはならなそう。見た目そのまま、男臭い。

パリダカ仕様のサスペンションでも、ボディの上下動は揺さぶられるほど大きいが、制御には締まりがある。コーナーをえぐるように旋回するタイプではないものの、体育会系な性格が夢中にさせる。地平線の彼方へ突き進むような場面で、真価は発揮される。

この続きは、三菱パジェロ・エボリューション(2)にて。