「妻と娘が嵐ロスで仕事と学校を休んだ」50歳男性の悩みに佐藤優が回答「推し活は現代の宗教」
“外務省のラスプーチン”と呼ばれた諜報のプロ・佐藤優が、その経験をもとに、読者の悩みに答える!今回は、嵐の活動終了によって妻と娘が“嵐ロス”に陥り、仕事や学校まで休んでしまった50歳男性からの相談。推し活は人生を豊かにするのか、それとも依存につながるのか。佐藤が語る「推し活は現代の宗教」という驚きの見解とは--。
◆嵐ロスで妻と娘が仕事と学校を休みました……
★相談者★パパは一人(ペンネーム)会社員 50歳 男性
◆佐藤優の回答
「推し活」は現代の宗教だと私は考えています。現代人の大多数は、キリスト教の神や仏教の仏などを本心から信じることができなくなっています。世の中は物質のみからなり、自分の力で人生を切り開いていくのが当たり前と考えています。しかし、人生も社会もとても複雑です。自分でやりたいことがあっても思いどおりにいかず、壁に突き当たります。さらに人間は例外なく死にます。
死について考えると誰もが怖くなります。そういう状況で、人間は宗教でない「何か」に頼りたくなります。ひたすら金儲けに走る人も、お金さえあれば自分が抱える問題を解決できると無意識のうちに考えているからと思います。ここから出てくるのは「悪い情熱」です。ロシアの宗教哲学者ニコライ・ベルジャーエフは「悪い情熱」について、こう述べています。
〈ドストエフスキーは、悪い情熱や悪い観念に憑かれて、その影響下に、人格が分解し変質してゆくことを描く巨匠である。彼はこうした憑かれた状態の本体論的な結果を探求する。無拘束の自由が憑かれた状態に移行すれば、自由はほろんで、もはや存在しなくなる。人間がこうした狂乱状態につかまれるならば、人間はまだ自由ではない。〉(『ドストエフスキーの世界観』85頁)
