佐々木希

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車両ジャック

 佐々木希(38)の勢いが一段と増している。CM契約は7本。今年に入ってから2本増えた。日本テレビのドラマ「告白-25年目の秘密-」(土曜午後9時)にも出演中。10月には『佐々木希フォトエッセイ Natural』(講談社)が刊行される。なぜ、佐々木は求められているのか。【高堀冬彦/放送コラムニスト、ジャーナリスト】

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【写真】髪をふり乱してすさまじい表情で泣き叫ぶ…“激変”した「佐々木希」

 今、東京メトロや京王線、小田急線など都内の電車に乗ると、佐々木の顔がアップで写された大量の中吊り広告が目に飛び込んでくる。車両内が佐々木の顔で埋め尽くされている。壮観だ。

 ZAZA社が運営する産業用製品メーカー比較販売サービス・Metoree(メトリー)の広告である。同社のなじみが薄いのは、BtoB取引(企業間取引)を対象としているから。同社はBtoBビジネスの硬いイメージを覆すためにも、親近感のある佐々木を起用した。佐々木は今年から同社のCMにも登場している。

佐々木希

 佐々木はスマホ売買などを手がけるゲオとも今年からCM契約を結んだ。ほかにもネスレ、GMOクリック証券、シマダヤなど計7本のCMに出演している。契約数は橋本環奈(27)らと同じだ。CMは数だけで判断するものではないものの、多い部類に入る。今年から新たな契約が2本増えたという点も見逃せない。

 日本テレビのドラマ「告白-25年目の秘密-」(土曜午後9時)にもレギュラー出演している。ヒロインで若き化粧品会社の部長の野瀬麻里子(岡崎紗絵)の秘書・竹田泉役だ。軽い役ではない。シングルマザーで麻里子の良き理解者という設定である。

 2024年7月に開設したYouTubeの公式チャンネル「佐々木 希(仮)」の登録者数は約47万8000人に達している。女優の中では7位。上白石萌音(28)の21万4000、森七菜(25)の18万5000を上回っている。

 7歳の男の子と3歳の女の子を育てる母親であることを考えると、かなりの人気だ。夫がお笑いコンビ・アンジャッシュの渡部建(53)であることは説明するまでもないだろう。

 渡部は2020年に女性問題が発覚し、世間の反発からほぼ画面から姿を消したが、佐々木の仕事への悪影響はほとんどなかったと言っていい。むしろ、この問題への佐々木の対応を見て、より好きになった人もいるのではないか。

 佐々木はこの問題から逃げなかった。日本テレビ「1周回って知らない話 2時間SP」(2025年7月2日放送)でも、この問題について率直に語った。

「いまだに許してません」「経過観察中です」「許したほうが自分が楽になると思うんだけど」

 いずれの言葉にも飾り気が感じられなかった。司会の東野幸治(59)から、離婚を考えなかったのかと問われると、「最初はどうしようって思った」と振り返った。これも本音だろう。それでも別れなかった理由を、「子供の前では、すごくいい父親だった」と語った。

 許せないものは許せないとしながら、渡部が子供にとって良き父親であることは評価した。世間に静かに、しかし強く訴えかけた。渡部を救う言葉にもなった。

美人以外の要素

 佐々木人気の一因は、美人であるからに違いない。2010年、今も愛する故郷である秋田県から「あきた美の国大使」に任命された。そのとき、当時の同県知事・佐竹敬久氏から「スーパー秋田美人」と評された。異論を挟む声はなかった。

「かわいい」と「美人」を併せ持つ顔と言われる。「パーフェクトな顔」と称されることも。「なりたい顔の芸能人」といったアンケートでは、例外なく上位に入る。

 しかし、容姿に恵まれただけで成功するほど芸能界は甘くない。佐々木を支持する人が多いのは、その生き方に共感するからではないか。

 まず、強い。渡部の件への対応でも、その一面がうかがえた。インタビューでこう語っている。

「大事なことはいつでも直感で決めるし、絶対に迷わない」(8月22日付の『美ST ONLINE』)

 何事においても、「絶対に迷わない」と言える人が、世間にどれだけいるだろう。また、前向きでもある。その言葉に無理も感じられない。

「平坦な道では躓きませんが、躓きや失敗から気づくことは人を成長させると思うんです。落ち込むことも、もちろんあります。でもそんな時こそ、無理にでも笑顔で元気に挨拶! 朝起きてすぐに髪や服もきちんと整えて『私は大丈夫!』と鏡で確認! ポジティブな行動に気持ちが連動すると信じています」(同)

 自己管理に長けているのだろう。忙しい日々を送っているが、子育てからも逃げていない。

「夕方は怒濤の時間です。お迎え、夕食、お風呂、宿題と子供のルーティンに追われて余裕がなくなり叱ってしまうこともしばしば。でも子供の寝息を聞いている時、『あ~一日が終わった』とホッとすると同時に『怒ってごめんね』と思ったり。子育て中は日々いろんな感情が溢れますね」(同)

 子供たちには、さまざまな体験をプレゼントしたいと考えているという。春先には長野に山菜採りに行った。京都でたけのこ掘りもしたという。顔だけでなく、スタイルもパーフェクトと言えるが、毎日の子育てが筋トレなので、特にエクササイズはしていないそうだ。

家庭第一

 佐々木自身の子供のころは、苦労を余儀なくされた。10月に刊行される『佐々木希フォトエッセイ Natural』では自身の過去と現在をストレートに明かしており、それによると、父親が他界したことで、佐々木家の家計を、ある時期から母親一人で支えることになった。

「冬の寒さが厳しい秋田では石油ストーブが欠かせないので灯油代は切り詰めることができず、電気代や食費でいかに節約するか。そんなふうに母が苦労している姿をずっと見ていて『迷惑をかけている場合じゃない。私も家族の一員として頑張らなきゃ』と思い、少しずつ自分にできることを考えるようになりました」

 ただし、苦労をも前向きに意味づける。こうも書いている。

「人生で一番辛い出来事を経験し、家族みんなで少しずつ乗り越えてきたからこそ、きっと今の私のたくましさがあるんじゃないかなと思います」

 佐々木が渡部の問題の際に自分の家庭を守ろうとした心情も分かる気がする。家族観は人によってさまざまだが、佐々木にとって家族は、人生の核となる存在なのではないか。愛情の深さを感じさせる。

 もはや遠い過去になりつつあるバブル期は、お嬢様系の芸能人がもてはやされた。自分もそうなりたいという願望があったのも一因だろう。誰もが過酷な時代をサバイブしている現在は状況が異なる。

 高嶋ちさ子(58)、アンミカ(54)、野々村友紀子(52)ら、強い女性に支持が集まりがちだ。どんな状況にも負けそうにない人たちである。自分で道を切り拓けるように見える人たちだ。

 この3人とはイメージが違うが、佐々木もその一人だろう。渡部の問題について、泣き言を漏らさなかったのも、その表れと見ることができる。

 佐々木の生き方に惹かれている人も多いから、同性からの人気が高い。女性誌への登場も目立つ。現在も「FRaU web」でエッセイを連載している。

 同性からの人気の理由は、芸能活動だけにとどまらず、ワンマイルウェア(家で着るのに適している一方、近所にも着ていける服)のブランド「iNtimité(アンティミテ)」のプロデュースを成功させていることにもあるだろう。

 芸能人にありがちな、名前だけを貸すような関わり方ではない。生地選びから佐々木が携わる。サンプルを何度も試着し、普段着にふさわしい着心地か確かめる。コンセプトは「きれいだけど、楽」。仕事や子育てに忙しい女性の生活にも寄り添う。

 かなり前になるが、佐々木の演技についての批判が匿名掲示板などに書き込まれた。本人が気にすることもあった。今はそんなことを言う人を見かけない。「告白」の竹田泉役も堂に入っている。

 初主演映画「天使の恋」(2009年)の撮影前に演技の猛レッスンを積み、その後も「うまくなりたい」と向上心を持ち続けているからだ。やはり強い。

 佐々木はもっと売れると思う。新たなカリスマになる可能性すらあるのではないか。店員として秋田市内で働いているところをスカウトされてから20年。18歳で秋田から身一つで上京し、苦労の末に成功をつかんだ姿は、性別、年齢を問わず、胸を打つ。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社。放送担当記者・専門委員として、1994年のNHK連続テレビ小説「春よ、来い」のヒロイン途中交代や、1999年のフジテレビ「愛する二人別れる二人」のやらせ問題などを特報する。2015年に毎日新聞出版へ入社し、サンデー毎日編集次長を務める。編集者としては「小池百合子都知事の真実」などを担当した。2019年に独立。元・放送批評懇談会出版編集委員。

デイリー新潮編集部