@AUTOCAR

写真拡大 (全5枚)

加速に驚くほどのスムーズさを生み出す

機能とデザインが巧みに融合した『BYDラッコ』のキャビンに身を置いていると、やはりこのコンパクトなEVがどのような走りを披露するのかを知りたくなってくる。

【画像】新型『日産サクラ』で『BYDラッコ』を乗りに行く! 全111枚

ちなみにラッコに搭載されるエレクトリックモーターは、いずれのグレードでも共通の仕様で、その最高出力は47kW(約64ps)と軽自動車における自主規制値の上限を超えてはいないが、一方で最大トルクは160Nmを誇る。


富士スピードウェイ近辺で開催されたBYDラッコ(右)の試乗会に、日産サクラ(左)で参加。    佐藤亮太

試乗車の300プレミアムは35.84kWh分のリチウムイオンバッテリーを搭載し、その結果ウエイトは1230kgに達するものの、アクセルペダルを踏み込んだ瞬間から最大値が発揮されるトルクは、その加速に驚くほどのスムーズさを生み出してくれる。

バッテリー搭載量が22.40kWhとなるベースグレードの『200』ならばウエイトは1160kgにまで低下するので、さらにその印象は強くなるだろう。速度が高まるにつれて、ややパワーフィールの落ち込みが目立つようになるのはEVの宿命ともいうべきところだろうか。ドライブモードは、一般的なオンロードを走るのならば、やはりノーマルが最も自然なフィーリングで好ましく思えた。

さらにこのラッコの走りで驚かされたのは、その圧倒的な剛性感、そして巧みなシャシーセッティングが生み出した重厚な乗り心地、そしてコーナリングでの落ち着きのある動きだった。

高い剛性を実現するための技術的トライ

BYDのEV専用プラットフォームである『eプラットフォーム3.0』を核に、リチウムイオンバッテリーを車体構造の一部として組み込む『CTB』(セル・トゥ・ボディ)技術を採用するなど、高い剛性を実現するために多くの技術的なトライが試みられたラッコ。その成果は確実に走りの中に表れていたという印象だ。

他に多くの技術的なトピックスがあるラッコにおいて、ユーザーとしてやはり気になるのはEVとしての実用性、その象徴とも言える一充電あたりの航続可能距離ではないだろうか。


試乗車の『ラッコ300プレミアム』の航続距離は、カタログスペックで320kmとなる。    佐藤亮太

BYDから発表されたスペックによれば、試乗車の300プレミアムで掲げられた航続距離は320km。バッテリー容量が小さな200は210kmとされている。

充電性能は普通充電で最大6kW、急速充電では最大49kWを実現。さらに車外で電気製品を使用するV2Lにも対応しているとなれば、その使い勝手、そして実用性は限りなく大きなものとなる。

注目の価格は今回紹介した300プレミアムで249万7000円。各種安全装備の充実ぶりや、さらにCEV補助金の支給が受けられることを考えれば、これは十分な競争力が感じられる設定と言えるだろう。

上質感と華やかさが増したように感じる

BYD ラッコの試乗会に出席するために、マイナーチェンジを受けたサクラを日産のグローバル本社にピックアップに行った。

用意されていたのはトップグレードにあたる『G』で、さらにメーカーオプションのオートレベライザー付きLEDヘッドランプ+アダプティブLEDヘッドライトシステム、ホットプラスパッケージ、100V AC電源、ルーフサイドステッカーなどを装備した仕様。


ドライブモードスイッチを使いやすい位置に移動するなどの改良が施されたサクラの室内。    佐藤亮太

今回新色として追加された『水面乃桜-ミナモノサクラ-』もまた、メーカーオプションのひとつだった。

外観ではボディと同色のカラードグリルを採用し、カッパー色があしらわれた新デザインのフロントバンパーをアクセントとして組み合わせるなど、さらに上質感と華やかさが増したかのように感じる新型サクラ。

キャビンでも助手席側にカップホルダーを追加したほか、エアコンの風高性能の改良、ドライブモードスイッチをより使いやすい位置に移動するなどの改良が施されている。

実際にドライブした新型サクラは、これまでと同様に、走りの中に軽自動車の枠を超えたとも言える高級感が演出されたモデルだった。搭載されるエレクトリックモーターは最高出力で47kW(約64ps)、最大トルクでは195Nmというスペックを誇る。最大トルクがラッコと比較して、35Nmも大きな数字であることが特に印象的だ。

「電気自動車は、夜は自宅で眠るもの」

リチウムイオンバッテリーの搭載量が20kWhと小さいため、サクラのウエイトは1100kgを切るレベル。従ってスタート時に感じるスムーズさは、ラッコのそれ以上に魅力的だ。

高い質感を感じるキャビンに身を委ねながらドライブを続けていると、さらにこのサクラが持つ圧倒的な剛性感、そしてリアに3リンク式リジッドを用いたサスペンションが生み出す快適な乗り心地、そしてロードノイズ以外はほぼドライバーやパッセンジャーには届かないと報告してもよい、素晴らしい静粛性に驚かされる。


スタート時に感じるサクラのスムーズさは、ラッコのそれ以上に魅力的だ。    佐藤亮太

ちなみにこのサクラでは『エコ』、『スタンダード』、『スポーツ」の各ドライブモードを選ぶことができ、ワンペダルドライブ機能の『eペダル』も別に用意されている。さらにシフトセレクターには『D』レンジのほかに『B』レンジもあるので、その組み合わせによって好みのパワー、そして加減速フィールを設定することができるのだ。

ちなみにエコもしくはスタンダードで、eペダルはオフというのが最も自分の好みに近かった。

まさに『現代の小さな高級車』とも表現することができる新型サクラだが、やはり気になるのはその一充電あたりの走行可能距離。マイナーチェンジを受けながらバッテリーの搭載量などに変化がなかったのは残念なところだ。結果的にスペックシート上の航続距離は180kmとなり、今回のように神奈川県横浜市と静岡県御殿場市を往復するような、長距離移動へ用いるのはやや無理があるとも言える。

ちなみにそう考える筆者に、娘はかつてこう言ったことがある。「電気自動車(EV)は、夜は自宅で眠るもの。そう考えることができれば、サクラは毎日の生活の足としてはちょうどいい」。それはラッコにも同じことが言えるのかもしれないが、いずれにせよその選択肢が広がったことが歓迎すべきことだろう。