気がつけば、投資の目的は「資産を増やすこと」から、「失ったお金を取り戻すこと」に変わっていました。

銀行員として見ていて怖いと感じたのは、この変化です。

余裕資金で始めたはずの投資が、いつの間にか貯金を使い果たし、さらに借金をしてまで続けるものになってしまったのです。

◆相場が急落。資産を失い、最後に残ったのは多額の借金だった

そして、決定的な出来事が起こります。

相場が大きく下落したのです。

株式だけでなく、FXや仮想通貨でも損失が拡大。特に大きなリスクを取っていた取引では、相場が少し動いただけでも損失が一気に膨らみました。

「ここまで下がったのだから、そろそろ戻るはず」

そう考えて投資を続けましたが、相場はさらに下落しました。

気がついたときには、それまで貯めてきた預貯金の多くを失っていました。

しかし、もっと深刻だったのは、その後です。

投資したお金がなくなっても、カードローンなどで借りたお金は消えません。手元の資産はほとんどないのに、毎月の返済だけが残りました。

投資で利益を出していた頃には想像もしていなかった状況です。

300万円の余裕資金から始めた投資が、最後には資産を増やすどころか、多額の借金を抱える結果になってしまったのです。

相場が下がること自体は珍しくありません。

しかし、借金をして投資をすると、その下落が単なる「投資の損失」では済まなくなります。

私はこのお客様を通じて、その怖さを目の当たりにしました。

◆銀行員として痛感した「投資で絶対にやってはいけないこと」

最終的に、お客様は自力で借金を返し続けることが難しくなり、自己破産を検討することになりました。

ここで知っておきたいのが、「自己破産をすれば、どんな借金でも必ずなくなる」というわけではないことです。

破産手続を開始しただけでは借金の支払い義務はなくならず、原則として裁判所から「免責」を認めてもらう必要があります。また、著しい浪費などによって財産を減らしたり、過大な債務を負ったりした場合などは、免責が認められない可能性もあります。

ただし、免責不許可事由があったとしても、事情によって裁判所が免責を許可する場合があります。つまり、「投資で作った借金だから絶対に自己破産できない」と単純に決まるものではありません。

この経験から、私が投資で絶対にやってはいけないと感じたのは、「損失を取り戻すために借金をすること」です。