28日で熊本地震の発生から1カ月が経過する今なお、約2500人の被災者が避難所生活をしている。現地で支援活動を続ける「避難所・避難生活学会」代表理事の水谷嘉浩氏が、避難所の深刻な現状と構造的な課題について解説した。

【映像】水谷氏が撮影した「避難所」の様子

「避難所ガチャ」と不十分な睡眠環境

 水谷氏によると発災直後は体育館の床に直接寝る「雑魚寝」状態が1週間ほど続いた。1カ月を経て段ボールベッドの導入はおおむね進んだものの、敷かれるマットや布団が薄く硬いケースが多く、熟睡できる環境にはほど遠い。

 さらに、物資は逐次導入されるが「ベッドは来ても布団がない」といった不均衡が生じている。自治体や避難所ごとに環境の質に大きな差が生じる「避難所ガチャ」状態となっており、支援の平準化が急務となっている。また、指定避難所以外にも車中避難や在宅避難を続ける被災者の実態把握が十分になされていない問題も残る。

偏る食事と衛生面の限界

 断水の影響により、水や食事、衛生環境の不自由も長期化している。飲料水は十分に届くものの、手洗いや洗濯、シャワーの機会は極めて限定的だ。簡易シャワーが設置されても避難者数に対して台数が圧倒的に不足しており、満足に使えない状況で我慢が続いている。

 また、トレーラー型などの仮設トイレトイレカーが普及した一方で、階段がありバリアフリーに対応していないため、高齢者や車椅子利用者が使用できないケースも浮き彫りとなった。食事も菓子パンおにぎり、インスタント食品中心の偏った状態が続いており、汁物や野菜などの栄養不足による健康被害が懸念されている。

48時間以内に環境を構築する「TKB48」

 こうした課題に対し、水谷氏は「TKB48」という概念を提唱している。これは、生活の基本であるT(トイレ)、K(キッチン)、B(ベッド)の3要素を、災害発生から「48時間以内」に避難所へ構築し、普段に近い生活環境を再現する考え方だ。

 しかし現行の災害対策基本法では、被災した市町村が被災者を守る責任を負う仕組みになっており、被災した自治体自身が被災者を支援する「被災者による被災者支援」の構造になり、限界が生じる。全国1741の市町村ごとに対応が委ねられることで「1741通りの避難所」が存在することになる原因にもなっている。

国主導への転換と被災エリア外への避難所設営

 水谷氏は、日本に対する防災の仕組みのモデルはイタリアとし市町村の手が回らない大規模災害時には、外部から資材や専門ユニットを投入できる制度は見習うべき仕組みと指摘する。先進事例として挙げられたイタリアでは、被災自治体ではなく周りの自治体から訓練された専門ユニットが迅速に避難所を設営・運営する仕組みが整っている。

 また、ダメージを受けた被災地内に無理に避難所を作るのではなく、車で少し移動したインフラが生きている「被災エリア少し外」に避難所を設営し、長引く避難生活の負担を軽減する柔軟な運用の必要性も示された。繰り返される避難所課題を根本解決するため、法制度を含めた防災体制のアップデートが求められている。

(ニュース企画/ABEMA