「マッサージしてあげる」学校内で卒業生へのわいせつ容疑で逮捕された高校教諭が見誤った“境界線”
「信用していた先生が、まさか…」
8月21日の朝、9時少し前に警視庁小平署からこの日送検される容疑者たちの先頭で姿を現したのが、山田拓真容疑者(31)だった。壁の陰から様子をうかがうように、カメラをじっと見つめる。しかし、それもほんのわずかの間で、あとは顔を伏せたまま護送車へと乗り込んでいった。元教え子を傷つけたという容疑について、何を思っていたのだろうか――。
小平署は8月19日、都立小平南高校の教諭である山田容疑者を10代の元教え子の女性への不同意わいせつ容疑で逮捕した。
「事件が起きたのは、3月29日の午後5〜7時ごろのことでした。女性はこの春に同校を卒業したばかりで、旧知の教員にあいさつをするために職員室を訪れたそうです。山田容疑者も女性が在校していたときは英語を教えており、顔見知りでした。
山田容疑者は『相談に乗るよ』『職員室だと部外者は入れないから』などと進路相談をすると言って、英語準備室へ誘い出したそうです。教室で二人きりになると山田容疑者は『姿勢が悪いね。マッサージしてあげるよ」などと言って、女性の上半身を触るなどしたといいます。山田容疑者は『体は触ったが、マッサージのつもりで、わいせつな意図はなかった』と、容疑を否認しています」(全国紙社会部記者)
事件が起きたのは3月だったが、女性が親に相談して警察へ訴え出たのは6月中旬のことだった。それは「信用していた先生がまさかそういうことをすると思わず、なかなか両親にも言い出せなかった」からだという。
卒業した生徒と教師の関係とは
’22年4月に教員性暴力防止法が施行された。都教委も教師による児童・生徒への性暴力を未然に防ぐため、「さわらない・送らない・二人きりにならない」に「児童・生徒と教職員との交際関係は成立しない」を加えた「3ない運動プラス」を推進している。
教員性暴力防止法では、学校に在籍する児童・生徒のほか、学校に在籍していない18歳未満の者も「児童生徒等」として保護の対象としている。報じられている「身体に触れる」「教室で二人きりになる」という状況は、都教委が「3ない運動プラス」で在校する児童・生徒との間で避けるよう求めている「さわらない」「二人きりにならない」という2つのケースと重なる。
今回、事件が起きたのは3月29日。卒業しても3月31日まではその高校に在籍する生徒として扱われるケースがある。被害女性は卒業生として母校を訪れたようだが、事件当時の扱いについて都教委は「事実関係を把握していないため確定的なことは言えないが、一般論として『在籍する生徒』となる可能性はある」と回答した。
ある教育関係者は「制度上の立場が変わっても、それまでの教師と教え子という関係までなくなるわけではない」と語る。
「觥教委の服務ガイドラインでは、教員と児童・生徒は『指導する側と指導される側』という関係にあり、生徒は教員からの誘いを拒みにくいことを理解して接するよう求めています。教師と生徒の間には、年齢差だけではなく、教える側と教えられる側という立場の違いがあります。生徒は教師を『先生』として信頼し、尊敬していることもあるでしょうし、教師の言うことには逆らいにくいという心理も働きます。
そして、卒業したとからといって、そうした関係性がすぐになくなるとは限りません。教師と教え子のそうした心理的な上下関係が突然消えるわけではないのです。18歳以上の卒業生についても、少なくとも卒業後一定期間は、在校生に準じた距離の取り方を教員側に求めることを検討してもいいのではないでしょうか」
「教室で二人きり」など、生徒だったときには避けるように言われていた行為が、卒業したから問題がなくなるわけではない。教師はいつまでも教師であることを忘れてはならない。
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