事故について調査する国土交通省の担当者たち(写真:梅基展央)

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8月20日午前10時45分頃だった。栃木県鹿沼市の東武日光線新鹿沼駅構内で、浅草行きの特急「スぺーシアX2号」が線路上で除草作業中の作業員4人と接触、4人は病院に搬送されたが、全員が死亡するという痛ましい事故が発生した。

「東武鉄道や栃木県警の発表によると、事故現場では当時、少なくとも7人の作業員が除草作業をしていたとのことです。

作業員たちは駅のホームに入る途中の列車と接触したとみられています。現場には列車接近を監視する見張り作業員が配置され、列車に退避完了の合図を送ったといいます。列車側も危険を察知して警笛を鳴らしたものの間に合わなかったようです。なお、約50人の乗客、乗員にけがはありませんでした」(社会部記者)

国土交通省は東武鉄道に異例の警告文書を出し、警察は業務上過失致死の疑いも視野に入れて捜査を進めている。それにしても、事故はどうして起きてしまったのか。「スペーシアX」にも詳しい鉄道ジャーナリストの梅原淳氏に「本当の原因」を推察してもらった。

「東武鉄道などの説明によれば、列車を見張る人は列車に近い側に中継見張り員、作業員に近い側に見張り員と2人いたそうです。しかし真っ先に列車の通過を知らせる中継見張り員とは『意思疎通ができなかった』と言います。理由はわかりませんが、暑さで意識を失ったのかもしれません。見張り員は中継見張り員と連絡が取れないままでしたが、自らも列車の接近に気づいて、作業の人たちは退避が退避していると列車に合図していたらしいのです。しかし、実際には退避していなかったから事故が起きているわけですね。

実際に起きたことを見ると、中継見張り員または見張り員のどちらかまたは双方ともミスをした可能性が高いでしょう。中継見張り員は列車の接近を見張り員に知らせなかったので、見張り員は作業員への退避の指示を出すのが遅れたと考えられます。その見張り員は作業員が退避できていないのに、退避できたと合図を出してしまったかもしれません。見張り員からの列車に対する退避完了の合図は2回必要ですが、運転士は実際の作業場所を知らないので、見張り員を中継見張り員と思った可能性があります。」
」(以下、「」内は梅原氏)

作業員の“油断”も事故を招く原因となったかもしれないと、梅原氏が続ける。

「スペーシアXは最高時速120kmとかなりの速さで走っています。600m近く離れたところから合図を送らない限り、列車は止まることができません。電車が近づいているとの合図が出たら、すぐに引き上げる必要があるわけです。当日の列車は時刻どおりに運転されていました。見張り員からの指示を待たなくても列車が通過する予定時刻から逆算して退避すればよいのです。でも、列車が接近するぎりぎりまで作業したいとの考えがあったようで、2人の見張り員の連絡で退避させることとなっていました。悪いことに作業していた人たちは、隣は退避場所のないホーム、その反対はほかの線路と、退避が難しいところにいましたから、なおさら列車の通過時刻をもとに退避させる必要があったと思います」

とはいえ、鉄道大国日本において、線路上での作業は日夜おこわなれているものだ。本来であれば防げた事故だという。

「列車が近づいているとわかったら、確実に線路から離れて、そして一切、線路に入ってはいけない。これが決まりです。しかも、退避が確実に確認できない限りは列車に対して通ってもいいという合図は送れないというふうに決まっている。このシンプルが決まりを徹底的に遵守していれば、今回の事故は当然、起きていなかったんです。そのどこかが抜けてしまったのでしょう」

国土交通省は東武鉄道に異例の警告文書を出し、警察は業務上過失致死の疑いも視野に入れて捜査を進めているという。こんな事故は二度と起こしてはならない。