●先輩たちの力も借りて25発のサプライズ花火
2人組バンド・ヨルシカのボーカル・suisが、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00〜 ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、16日・23日の2週にわたり放送される「花火師になりたくて〜僕と私が打ち上げる夢〜」。異業種から花火師の世界へ飛び込んだ若者たちの1年を追った作品だ。

23日放送の後編でsuisの心を大きく動かしたのは、大切な人への思いに花火に託す姿。そして、華やかな夜空の裏側にある危険と、人生を懸けて技術を競う職人たちの姿だった。作品を見終えて「これからは花火の見応えが全然違う気がします」と、自身の花火を見る目も変わったそうだ――。

プロポーズ花火を見つめる花火師・よしきさんと彼女 (C)フジテレビ

○元YouTuberと元看護師に迫る“大一番”

茨城県つくば市、明治36年創業の山崎煙火製造所(※「崎」は正しくは「立つ崎」)。花火業界の人手不足が深刻な中、ここには花火師を志す若者たちが集まる。その多くは、異業種から転職してきた未経験者。そんな若き花火師たちに、それぞれの“大一番”が迫っていた。

元YouTuberのよしきさん(31)は、不器用で失敗も多く、先輩に叱られてばかり。それでもひたむきな姿を買われ、地元・牛久沼の花火大会で初めて現場責任者を任され、音楽に合わせて花火を打ち上げる「プログラミング」にも挑戦する。

その先に待っていたのは、もう一つの大勝負。20代は世界を旅し、自分探しを続けていた彼に「一つの仕事を最後までやり遂げたい」と思わせてくれた恋人へのプロポーズだ。婚約指輪を買い、先輩たちの力も借りて25発のサプライズ花火を準備。一世一代の思いは届くのか…。

一方、元看護師で社内唯一の女性花火師・飯野さん(26)は、男性ばかりの職場で積極的になれず悩みながらも、丁寧なマニュアル作りや後輩への指導を重ね、今では周囲から頼られる存在に成長した。そんな彼女に巡ってきた大舞台が、全国の女性花火師が腕を競う大会。先輩の助言を受けながら、自分だけの花火を作り上げていく。

プ後輩を指導する飯野さん(右) (C)フジテレビ

○花火師にとって花火は「自分の生活の一部で、人生の一部」

後編で強く印象に残った場面を聞かれたsuisは、よしきさんが恋人に花火で演出したプロポーズをするシーンを真っ先に挙げた。

自身が花火でプロポーズされたらどう感じるのかを聞くと、「相手が花火師の方なら、すごく感動するんだろうなと思います」と想像。一方、そうでなければ「あまりに大掛かりすぎて、身の丈に合ってないような気がして、ちょっと恥ずかしいかもしれないです(笑)」と率直に述べた。

花火師にとって花火は「自分の生活の一部で、人生の一部」。だからこそ、人生の大切な場面に花火を使うことも「しっくりくるんだろうな」と受け止めた。

●「花火の見方が全然変わった気がする」
後編では花火の華やかさだけでなく、その裏側にある厳しさも描かれる。事故の危険と隣り合わせの仕事に向き合う職人たちの姿を見て、「改めて考えると、花火が安全に上がってること自体がすごいですよね」と、見えない部分の仕事を感じた。

さらに印象的だったのが、花火師たちが技術を競う大会。これまで花火大会を見ていても、「正直、どこが勝つとか負けるとか、そんなことは考えたこともなかったです」というだけに、職人たちが切磋琢磨する姿に興味が湧いた。

今回のナレーションを通して、「花火の見方が全然変わった気がするので、秋から冬の花火大会も見に行きたいです」と目を輝かせるsuis。 この番組を見た視聴者も「これから花火を見る時に、絶対一つ違う目線が入ると思います」と自信を見せた。

近年の花火大会は、プログラミングによって音楽と花火を融合させた演出が主流。suisは、ヨルシカのサポートメンバーであるキタニタツヤの「青のすみか」に合わせて花火が上がるのを見たことがある一方、自分が歌った曲で鑑賞したことは、まだないという。

ただ、「青のすみか」を見た日、別の会場の花火大会で、自身が歌う「若者のすべて」が使われていたことを後で聞いて「ぜひ見たかったです」と悔しい経験も。「どこかで自分の歌で花火を作っているところに自分が遭遇できたら、感動的だろうなと思います」と、いつか偶然その光景に出会える日を思い描いた。

○ライブツアーが終わったら「何も予定がない”をやりたい」

suisは現在、「ヨルシカ LIVE TOUR 2026『一人称』」の最中。残るは9月の千葉2公演で、「お客さんの笑顔があふれるライブにしたい」と意気込む。

今回のライブは「今までとまた違う」ものになっているそうで、「みんなで楽しんだ体験を自分自身生涯忘れないものにできたらなと思います」と期待。それは自身にとっても、「新しい生き様の形として自分の中にも残るもの」になると感じているという。

では、そのライブを終えた後に何をしたいのか。suisは「“何も予定がない”をやりたいです」と回答。「花火があるんだ」と思ったらフラッと遠くまで見に行き、朝にコーヒーが飲みたくなったらカフェへ向かう――そんな「予定がない、スケジュールがない日々を謳歌したいです」とのことだ。



●suisコンポーザーのn-bunaとともに、2017年から活動するバンド・ヨルシカのボーカル。アルバム『だから僕は音楽を辞めた』『エルマ』『盗作』、音楽画集『幻燈』などを発表し、透明感のある歌声と楽曲に応じて変化する表現力で支持を集める。ヨルシカ以外でも「suis from ヨルシカ」名義などで歌唱活動を展開。25年にはharuka nakamuraとの楽曲「灯星」で映画『この夏の星を見る』の主題歌を担当し、26年にはEve「風のアンセム feat. suis from ヨルシカ」に参加したほか、TVアニメ『猫と竜』オープニングテーマ「猫日」をリリースした。同年、ヨルシカは書簡型小説『二人称』とデジタルアルバム『二人称』を発表し、全国ツアー「LIVE TOUR 2026『一人称』」を開催している。