離婚を考えている50代夫婦。夫には退職金「1000万円」の見込みがありますが、「自分が働いて得たお金だから財産分与には関係ない」と言われました…。専業主婦の私は一切受け取れないのでしょうか?

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50代で離婚を検討する場合、今後の生活を考えるうえで気になるのが退職金でしょう。例えば、夫に1000万円の退職金が見込まれていても、「自分が働いて得たお金だから妻には渡さない」と言われたら、本当に妻は一切受け取れないのでしょうか。   結論からいうと、夫名義の退職金だからという理由だけで、財産分与の対象外になるわけではありません。ただし、1000万円の半分である500万円を必ず受け取れるわけでもありません。今回の記事では、離婚時に退職金がどのように扱われるのかを解説します。

夫が働いて得た退職金でも財産分与の対象になる可能性がある

財産分与とは、夫婦が婚姻中に協力して築いた財産などを、離婚するときに分ける制度です。法務省によると、夫婦のどちらか一方の名義になっている財産でも、夫婦の協力によって形成されたものであれば財産分与の対象になります。
例えば、夫が働いて得た収入で購入した夫名義の自宅でも、妻が家事などを担当して家庭を支えていたのであれば、財産分与の対象になる可能性があります。
退職金も同様です。退職金には長年働いたことに対する「給与の後払い」のような性質があると考えられているため、婚姻期間に対応する部分は財産分与の対象になる可能性があります。
そのため、「会社で働いたのは夫だから退職金はすべて夫のもの」とは限りません。妻が専業主婦だった場合も同様です。財産の取得や維持に対する夫婦の貢献度は、その程度が異なることが明らかでなければ同等とされます。
ただし、まだ支給されていない退職金については将来受け取れる可能性なども含め、個別の事情を踏まえて判断されます。

退職金1000万円なら妻が500万円を受け取れるとは限らない

夫に1000万円の退職金が見込まれていても、妻が500万円を必ず受け取れるわけではありません。基本的には、退職金のうち夫婦が協力して形成したと考えられる部分が財産分与の対象になるからです。
例えば、現在退職すれば1000万円を受け取れると仮定します。夫の勤続年数が30年で、そのうち婚姻期間が20年だった場合、単純化すると対象額は次のように考えられます。
・1000万円×20年÷30年=約667万円
夫婦の貢献度を2分の1ずつとすると、妻の取り分は約333万円です。
一方、夫が就職した直後に結婚し、退職金の形成期間のほとんどが婚姻期間と重なっていれば、対象額は大きくなる可能性があります。
なお、まだ退職していない場合には、離婚時点で自己都合退職したと仮定した退職金額などを基準にする方法があります。実際の計算方法は個別の事情によって異なるため、「将来1000万円もらえるから500万円を受け取れる」と安易に判断しないことが大切です。

夫が財産分与を拒否した場合は家庭裁判所への申立てもできる

夫から「退職金は渡さない」と言われても、それだけで財産分与を受けられなくなるわけではありません。
まずは夫婦で財産分与について話し合います。その際は退職金だけを見るのではなく、預貯金や自宅、有価証券なども含めて、夫婦の財産を確認しましょう。
話し合いで合意できない場合は、家庭裁判所の手続きを利用できます。離婚前なら離婚調停の中で財産分与について話し合うことができます。また、離婚後に話し合いがまとまらない場合などには、財産分与の調停や審判を申し立てることができます。
2026年4月1日以降に離婚した場合、財産分与を家庭裁判所に申し立てられる期間は、原則として離婚した日の翌日から5年以内です。2026年3月31日以前に離婚した場合は原則2年となるため、注意しましょう。
退職金が争点になりそうな場合は、勤務先の退職金規程や退職金の見込み額、勤続期間が分かる資料などを早めに確認しておくことが重要でしょう。

まとめ:退職金の見込み額や勤続期間を確認してから離婚の条件を話し合おう

夫が働いて得る退職金でも、婚姻中に夫婦が協力して形成したと考えられる部分は、財産分与の対象になる可能性があります。そのため、「夫名義だから妻は一切受け取れない」とは限りません。
ただし、1000万円のうち実際にいくらが対象になるかは、婚姻期間や勤続期間、退職金の支給状況などによって変わります。
50代での離婚では、退職金や預貯金などが離婚後の生活を支える重要な資金になります。また、厚生年金には財産分与とは別に年金分割の制度もあります。
離婚を急ぐのではなく、まずは夫婦の財産や退職金の見込み額を整理しましょう。判断が難しい場合は弁護士などの専門家に相談し、受け取れる可能性のある財産を確認したうえで離婚条件を決めることが大切です。
 

出典

法務省 財産分与
裁判所 財産分与請求調停
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー