がんは早く見つければ治る時代。では、どうすれば効率的に発見できるのか。文藝春秋が選んだ“最高の医師”が徹底解説する。

【画像】胃がんの5年生存率(ステージ別)

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「塩分」が火に油を注ぐ

 1990年代後半までがんの部位別死亡数で1位だった胃がんだが、「怖いがんだったのは過去の話」と矢作直久医師(スタンフォード大学医学部教授)は言い切る。胃がん検診の普及に加え、日本人の胃がんの最大のリスク因子が“ピロリ菌感染歴”だと特定されたことが大きい。


スタンフォード大学医学部教授・矢作直久氏(本人提供)

 胃がんの罹患者のうち、ピロリ菌感染歴のある人が「90%以上であることは間違いない」。注意すべきは、ピロリ菌を既に除菌していたとしても胃がんのハイリスク群である可能性があることだ。

ピロリ菌によって萎縮性胃炎という胃の粘膜の老化が進むと、胃がんができやすくなります。一度萎縮すると菌が消えてもその状態が続きますから、過去ピロリ菌に感染していた人は要注意ですし、特に慢性胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍にかかったことがある人はハイリスク群です」

 胃がんといえば、塩分の影響を思い浮かべる人も多いだろう。それもピロリ菌感染歴の有無で事情が大きく異なるという。

ピロリ菌は胃がんができやすい環境を作る要因ですが、そこに塩分が加わると圧倒的にがんができやすくなる。いわば、火に油を注ぐ役目をするのが塩分なのです。

 逆にピロリ菌に感染したことのない人が同じように塩分を摂っても、胃がんリスクという点ではさほど影響しません。もっとも、血圧が上がるなどの健康リスクはありますが」

 自治体が行う胃がん検診の場合、原則として50歳以上の人が2年に1回、胃X線検査(バリウム)か、胃内視鏡検査(胃カメラ)を受診するという指針を国が定めている。

 早期発見に特に有効なのは内視鏡だ。

※この続きでは、内視鏡検査の最新事情を解説しています。全文は、月刊文藝春秋のウェブメディア『文藝春秋PLUS』と『文藝春秋』2026年9月号に掲載されています(胃がん 「ピロリ菌」は除菌後もハイリスク)。

(矢作 直久,秋山 千佳/文藝春秋 2026年9月号)