エアコン点けていてもダメ!子どもを車内に残してスーパーで買い物→見つけたらどうすれば?【弁護士が解説】
ある日、スーパーで買い物をしている専業主婦のAさんは、そこでママ友に出会った。小学2年生の子どもの親同士であるママ友と会話していると、Aさんはママ友が子どもを連れていないことに気づく。
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子どもがスイミングスクールに行っている間に買い物に来ているAさんと違って、ママ友の子どもは習い事をしていないため、夏休みはほぼ一緒に過ごしているはず。この疑問をママ友に投げかけると、彼女は「子どもは車で寝てるよ」と言い放った。
どうやら、エアコンをつけっぱなしにした車内に子どもを残して彼女は買い物をしているようだ。Aさんは彼女に「それは危ないから連れてきたら?」と言っても、彼女は「すぐに戻るから」「寝てるから大丈夫」と聞く耳を持ってくれない。
これに対してAさんは「もし万が一エアコンが止まってしまったら…」と最悪の事態が頭をよぎり、不安で仕方がなくなった。
では、エアコンがついていれば子どもを車内に残して買い物をしても罪にならないのだろうか。また、周囲がこのような場面を目撃した際、どのように行動するのが正しいのか。まこと法律事務所の北村真一さんに話を聞いた。
ーエアコン稼働中なら、子供の車内放置は法的に罪になりませんか?
エアコンが点いていても、子供を車内に放置する行為は保護責任者遺棄罪(刑法218条)に問われる可能性があります。同条は、保護すべき者が生存に必要な保護を怠った場合に成立します。「エアコン稼働中」であっても、機材の故障やバッテリー切れ、子供の誤操作で冷房が止まる危険は常につきまといます。
また、車内での熱中症だけでなく、連れ去り事故や子供自身による誤発進など多角的なリスクが存在します。それらの危険から保護する義務を怠ったと判定されるため、法的に容認される理由にはならないのです。
ー万が一エアコンが停止して死亡した場合、どんな罪に問われる?
エアコンが停止し、熱中症などで子供が死亡した場合、保護責任者遺棄致死罪(刑法219条)に問われます。これは保護責任者遺棄罪の結果として人を死亡させた場合に成立し、法定刑は3年以上の有期懲役です。罰金刑の規定はなく、裁判で有罪となれば懲役刑が科されます。
判決では状況により執行猶予が付くこともありますが、幼い命を奪った社会的・法的な責任はきわめて重く、実刑判決となるケースも少なくありません。「少しの時間だから」という油断が人生を奪う重大な不法行為となるのです。
ー友人や見知らぬ人の車内放置を目撃したら、通報してもいい?
迷わず通報してください。児童虐待防止法では、放置(ネグレクト)を含む虐待を受けたと思われる児童を発見した者に対し、警察や児童相談所等への通報義務を定めています。友人が応じない場合や、見知らぬ車内で子供が危険に晒されている場合は、直ちに110番や119番へ連絡しましょう。
通報にあたって「確実に虐待である」という証拠まで求める必要はありません。「命に関わるかもしれない」という客観的な懸念があれば十分です。迷わず行動することが、幼い命を守る一番の防波堤になります。
ー子供を救出するために車のガラスを割ったら、器物損壊になる?
形式上は器物損壊罪(刑法261条)に該当しますが、命の危険がある緊急時には緊急避難(刑法37条)が適用され、違法性が否定されます。ただし、認められるには「現在進行形の生命の危険があり、他に手段がない」という条件が必要です。
子供が意識を失っているなど一刻を争う事態では救出優先ですが、車内環境が安定しており警察の到着を待てる状況で損壊すると、過剰な行為として賠償責任等を問われる恐れもあります。状況を見極め、可能なら通報時に指示を仰ぎつつ行動するのが確実です。
●北村真一(きたむら・しんいち) 弁護士
大阪府茨木市出身の人気ゆるふわ弁護士。「きたべん」の愛称で親しまれており、恋愛問題からM&Aまで幅広く相談対応が可能。
(よろず~ニュース特約ライター・夢書房)
