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最大の魅力は高いアイコン性

今回取り上げる『スズキ・ジムニー・ノマド』は、本格クロスカントリー軽自動車『ジムニー』の5ドア版として登場しました。拡幅版の『ジムニー・シエラ』をベースにホイールベースを延長し、実用性が大きく向上。これまでジムニーを選べなかったユーザーにも魅力的な選択肢となりました。

【画像】全体から伝わる本格SUVらしい機能美!ブランドイメージを築く重要な役目を担う『スズキ・ジムニーノマド』 全152枚

しかし、5ドア化で最も重要なのは、見た目でジムニーらしさを失わないことです。その点ノマドは上手くデザインし、難しい課題を見事にクリアした1台と言えるでしょう。


原点回帰し、機能に徹したデザインが逆に感度の高い方からも人気に。それは明快さによる高いアイコン性が、唯一無二の個性を引き出しているからでしょう。    スズキ

ベースとなった現行4代目ジムニーは、2018年の発売なので既に8年が経っています。しかし、タイムレスなデザインのおかげで古さをまったく感じさせません。

旧型の3代目もモダンで完成度の高いデザインでしたが、4代目は一転して原点回帰。アウトドアブームも追い風となり、従来のジムニー・ファンやクロカン好きだけでなく、街乗りを中心とするライトユーザーからも高い支持を集めました。

軽自動車でありながら200mmを超える最低地上高、大径タイヤを履くラダーフレーム車ならではのプロポーション、そして四隅を角張らせたスクエアなボディ。この明快さは唯一無二のアイコン性があり、そこがジムニーのデザイン最大の魅力だと思います。

5ドア化でも崩れない力強いスタンス

ジムニー・ノマドは、拡幅版であるシエラをベースに、ホイールベースを340mm延長して2590mmにし、全長を3890mmまで伸ばして5ドア化されました。サイドビューはひと目で伸びやかな印象になりましたが、絶妙なバランスにまとめられており、間延びした印象はありません。

現行ジムニーは歴代モデルよりもキャビンの上下幅が薄く感じられるプロポーションになっていますが、そのおかげで全長が伸びても違和感がなく、力強いイメージをしっかりと受け継いでいます。


5ドア化による間延びを、ギリギリ感じさせないとこを狙ったデザイン。ホイールベースが長くなった事で安定感が増し、ベース車とは違った魅力があります。    スズキ

むしろ5ドア化によって、堂々としたフォルムへとさらに進化したようにも見えます。ホイールベースが延びたことでリアオーバーハングがやや寸詰まりに見える印象もありますが、本格SUVらしい機能美がデザイン全体から伝わってきます。

その力強さをさらに引き立てているのが、シエラ同様に張り出したオーバーフェンダーと大型タイヤです。ジムニーに対し全幅170mm(片側85mmも!)拡大されたワイドなボディは、どっしりとした安定感。

軽自動車由来のコンパクトなボディに対し、ワイドトレッドを組み合わせたこのプロポーションは、全長が延びたことを感じさせず力強いスタンスを実現しています。

フロントはジムニー伝統の丸型ヘッドランプを継承しつつ、グリルのみ専用デザインを採用しています。開口部にメッキ加飾を施たガンメタリックのグリルは、上質感を演出。機能性を重視した標準仕様のシンプルなデザインを好む人もいるでしょうが、このような派生モデルでは差別化も重要な役割です。

ノマドはジムニーらしい無骨さや機能性を損なうことなく、程よい上級感を加えることに成功したデザインだと感じました。

ジムニーらしさをブランド全体へ展開

ジムニーは1970年の登場以来、ラダーフレームを採用した本格クロスカントリー4WDという基本構造を守りながら進化を続けてきました。そのジムニーをボディ延長によって5ドア化することは、下手をすれば従来のファンから受け入れられない可能性もあるでしょう。しかし、実車を見るとジムニーらしさはまったく損なわれておらず、多くの人が納得したのではないでしょうか。

それだけジムニーのデザインは完成度が高く、強いアイコン性を備えているということです。スズキは、そのデザイン資産を他の車種にも展開しています。軽SUVの『ハスラー』、アウトドアテイストを強めたスーパーハイトワゴン『スペーシアギア』、そして普通車の『クロスビー』です。


ベース車より大きく拡幅されたトレッドのおかげで、全長を伸ばしても抜群のスタンスを感じさせます。ボディから大きくはみ出したタイヤは、軽自動車ベースのボディならではです。    スズキ

これらのモデルはいずれも、丸形ヘッドランプとグリルを黒色パネルで一括りにした、共通のフロントデザインを採用。この手法は、ラングラーのイメージをブランド全体へ展開している、ジープにも通じるデザイン戦略です。

『スズキのSUVといえばこの顔』とひと目で認識できるブランドイメージを築いていることも、ジムニーが担う重要な役割のひとつです。その意味でもノマドは、単なる5ドアモデルではなく、ジムニーというブランドの価値をさらに高める存在になったと言えるでしょう。