《薬代も入院費も値上げ》医療費負担がさらに増える…高額療養費、先発薬、処方薬の新ルールを経済のプロ荻原博子が徹底解説
医療費負担が上がっています。まず2026年6月から薬価が改定され、ジェネリック医薬品と先発薬の料金差が広がりました。
そもそも開発費のかかる先発薬より、それらの特許が切れてから作られたジェネリック医薬品のほうが薬価は安く設定されています。
国は医療費削減のため安価なジェネリック医薬品の利用を進めようと、2024年10月からジェネリック医薬品があるのに先発薬を選んだ人には、薬価の差額の25%を「特別料金」として上乗せして徴収。2026年6月からは特別料金が差額の50%に上がりました。
たとえば先発薬A(2千円)と、同じ成分のジェネリック医薬品B(1千円)がある場合、2026年6月以降に先発薬Aを選ぶと、3割負担の600円に特別料金の500円を加えて薬代は1千100円です。
いっぽうジェネリック医薬品Bなら3割負担の300円のみ。先発薬Aより800円安く済みます。ジェネリック医薬品を選びましょう。
ただし、ジェネリック医薬品で副作用が出た人などは、医師に相談を。医師が先発薬を指定すれば、特別料金はかかりません。
■OTC類似薬の一部についても薬代が上がる
次は高額療養費制度の自己負担上限の引き上げです。高額療養費制度とは、年齢や収入などにより1カ月の医療費の自己負担上限が決まっていて、それを超えたときに申請すると超えた分が払い戻される制度です。2026年8月と2027年8月の2段階で上がります。
たとえば70歳未満の人が入院して月100万円の医療費がかかったとしましょう。3割負担だと支払いが30万円ですが、大きな負担なので、高額療養費制度を利用します。
年収600万円の人は、2026年7月までなら月8万7千430円が自己負担の上限。いったん30万円払っても申請すれば約21万円戻ってきます。ですが2026年8月以降は負担上限が9万2千940円に、2027年8月以降は10万4千830円になり、最大1万7千400円負担が増えます。
もっとも大変なのは70歳以上で通院の多い人です。高齢者が優遇されているとの意見もあり、年収150万〜370万円の人は通院の医療費が最大で年14万4千円から、2026年8月以降は年21万6千円に。最大で7万2千円も増えるのです。
まだあります。2027年3月からは市販薬と成分がほぼ同じの、病院で処方してもらう薬(OTC類似薬)の一部について薬代が上がります。
3割負担で30日分が540円だった抗アレルギー剤は、2027年3月から855円になります。約1千円で買える同成分の市販薬との価格差を縮めるためだといいます。
消費者物価指数は4年連続で前年比3%前後の上昇が続いています。過酷な物価高のなか、命を守る医療費まで上げるとは、国は庶民の生活など関心がないのでしょう。
私たちは健康を大切にしましょう。栄養と睡眠、そして運動がポイントです。ウオーキングやラジオ体操など運動の習慣化が、医療費の節約につながると思います。
【PROFILE】
おぎわらひろこ
家計に優しく寄り添う経済ジャーナリスト。著書に『65歳からは、お金の心配をやめなさい』(PHP新書)、鎌田實氏との共著『お金が貯まる健康習慣』(主婦の友社)など多数
