退職金が入った年に国民健康保険へ加入します。友人に“前年の所得で保険料が決まるから高くなるかも”と言われましたが、本当ですか?
退職所得は国民健康保険料の計算に含まれない! でも……
国民健康保険は、勤務先の健康保険や後期高齢者医療制度などに加入していない人を対象にした健康保険です。自営業者やフリーランス、無職の人などが加入しています。
国民健康保険の保険料は、各市町村が定めた方法で計算されるため、住んでいる場所によって計算方法や金額が多少異なります。しかし、どの自治体でも保険料に影響する要素の一つとなっているのが、「前年の所得」です。
ここでいう「前年」とは、国民健康保険に加入する年を基準とした、その前年の1~12月までを指します。そして「所得」とは、退職金(退職所得)を含まない金額を指しています。
つまり、退職金を一括で受け取ってまとまったお金が手に入ったとしても、それが原因で国民健康保険料が大幅に上がってしまうことはありません。
ただし、退職金を一括ではなく年金形式で少しずつ受け取るときは、「退職所得」ではなく「雑所得」となります。この場合は退職金も計算に含むため、保険料は上がる可能性が高いでしょう。
また、退職金が保険料に影響しない場合でも注意が必要です。例えば「会社員→無職」となった場合など、前年の所得(会社員の頃の所得)をもとに計算された保険料を、収入が大幅に減った状態で支払うことになると、負担が重いと感じる可能性があります。
不安な場合は、あらかじめお住まいの市区町村役場の窓口などで相談して、保険料がいくらくらいになりそうか確認しておくとよいでしょう。
自治体によっては、退職による収入減少や失業・解雇などで支払いが困難な人のために、保険料の軽減・減免の措置を用意していることがあります。
国民健康保険料はどう決まる? 算定の仕組みとポイント
国民健康保険料の決まり方について、もう少し詳しく見ていきましょう。以下の要素を組み合わせて計算されます。
4要素すべてを計算に含める自治体もあれば、2要素(所得割・均等割)または3要素(所得割・均等割・平等割)のみとする自治体もあります。
なお、退職後の健康保険については、国民健康保険以外にも以下のような選択肢があります。
どの方法が利用できるか、どれが最も得になるかは、退職後の暮らしや働き方、家族構成などによって異なります。
「退職した=国民健康保険に加入」と思い込まず、上記の選択肢があることも踏まえ、自分に合った方法はどれなのか検討してみましょう。分からないことがあれば、勤務先の人事・総務担当や加入していた健康保険の窓口などに尋ねることもできます。
まとめ
一括で受け取った退職金は、国民健康保険料の計算のもとになる「所得」には含まれません。つまり、保険料には影響しないということです。
しかし、前年の所得をもとに計算するという仕組み上、退職して無職になったあとに、会社員時代の給料をもとに計算された保険料の支払いが必要になるケースはあります。
この場合、「退職金を受け取ったから保険料が高くなった」わけではありませんが、収入が大幅に減った状態で想定外の支払いを求められることになり、困惑してしまうかもしれません。
不安を和らげるには、退職する前から退職後のお金のことをよくシミュレーションしておくのがおすすめです。国民健康保険料のことなら、自治体の窓口に問い合わせれば教えてもらえます。その他、税金や退職後の生活費なども含めてあらかじめ知識を付け、具体的にイメージしておくとよいでしょう。
出典
厚生労働省 国民健康保険の加入・脱退について
厚生労働省 国民健康保険の保険料・保険税について
東京都保健医療局 保険料(税)額について
東京都渋谷区(渋谷マイポータル) 退職金・失業保険は国民健康保険料の計算対象の所得になるか教えてください。
大阪市 保険料の決め方
全国健康保険協会(協会けんぽ) 退職後の健康保険について
執筆者 : 馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表

