トランプ政権のベッセント財務長官(右)は資産運用業界に知り合いが多く、知見も高い(C)ロイター

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【経済ニュースの核心】

これで経済財政担当? 城内実大臣「積極財政は円高圧力に」トンデモ発言に市場が失笑

 米財務省は7月23日に、半期ごとの外国為替政策報告書を連邦議会へ提出した。中国、日本、韓国、台湾、タイ、シンガポール、ベトナム、ドイツ、アイルランド、スイスの10カ国・地域を引き続き「監視リスト」に掲載した。日本は5期連続の「監視リスト」である。

 米国の2025年の財の貿易赤字は、トランプ政権の強硬な関税政策にもかかわらず、前年比2.7%増の1兆2372億ドルと過去最大。赤字額は、中国が2021億ドルで最大、次いでメキシコ(1969億ドル)、ベトナム(1782億ドル)、台湾(1468億ドル)と続く。日本は639億ドルである。カナダは464億ドル、欧州連合(EU)は2187億ドル(うちドイツ730億ドル)である。

 それでも米国は、日本と為替介入を実施した。ベッセント米財務長官は8月4日、円安の進行が他のアジア市場を直撃するリスクがあったためだと述べ、現状を1990年代後半のアジア通貨危機になぞらえた。

 ベッセント氏は、11年から15年まで巨大ヘッジファンドのソロス・ファンド・マネジメントの最高投資責任者を務めた後、15年にヘッジファンドを設立し最高経営責任者兼最高投資責任者を務めた。

 トランプ政権の財務長官に就任したことに伴い、利益相反を回避するため、同ヘッジファンドは25年3月末に活動を停止し、清算された。すなわち、資産運用業界に知り合いが多く、知見も高い。

 日本取引所グループによる25年度(26年3月末時点)の株式分布状況調査によると、主要取引所における外国法人等の株式保有比率は34.7%(前年度比プラス2.3ポイント)と過去最高。主体は欧米機関投資家で、主にドル資産の運用。ベッセント氏の知己も多い欧米機関投資家にとって円安は好ましくないだろう。

 そもそも円安の要因は「経済ファンダメンタルズ」である。政府は6月末に公表した「骨太方針」の原案に、強い経済の実現には「適切な金融政策運営が行われることも非常に重要」と明記。これが、利上げに慎重な高市首相の発言とも重なった。

 さらに、骨太方針から「財政健全化」の文言を削除し、財政収支の改善よりも経済成長を通じた債務残高対国内総生産(GDP)比の改善を重視する姿勢を鮮明にし、市場の警戒感は強まっていたという。

 この先、日銀の利上げとFRBの金利据え置きにより、米日金利差が縮小すれば、ドル安円高の要因となるだろう。過去の「プラザ合意」ではないが、ドル安円高トレンドと想定なら、いまのうちにNISAなどの「ドル資産」の円転が好ましく、それが実需の円高要因にもなろう。

(中西文行/「ロータス投資研究所」代表)