納豆、ヨーグルトの効果をゼロにする…内科医が「腸内環境を悪化させ、糖尿病リスクを高める」と話す"白い食材"
※本稿は、本間良子『小麦抜きのすすめ』(アスコム)の一部を再編集したものです。

■「頑張れない体」を作ってしまう意外な食材
いま、多くの人が、原因不明のしつこい疲れや、不快な症状を抱えて生きています。まず、そのような症状は、ほぼ体内の炎症によって引き起こされています。
そのため、「炎症をいかにコントロールするか」が、長生きするためにも大切なことになります。そして、体内に炎症を引き起こすのが、まさに「小麦」です。わかりやすい例をあげると、「咳が続いて止まらない」といった、軽い感染症を患っているとしましょう。

でも、感染症はすぐに消えるものではありません。体の中でしばらくボヤのように炎症が続いたあとで、ゆっくりと症状が消えていくものです。でも、そんなボヤが起きている状態のままで毎日小麦を食べているのは……いわば、毎日せっせと火に油を注いでいるようなもの。
なぜなら、小麦に含まれるタンパク質のひとつ「グリアジン」が、体のいたるところでエラーや炎症を引き起こしてしまうからです。そうして、ただでさえ咳が止まらなくて疲れているのに、小麦を食べ続けて、ますます「頑張れない体」になっているのです。
「頑張れない体」になってしまうのは、まるで火に油を注ぐように、毎日小麦を食べているから。小麦によって体内のいろいろな部位で炎症が起こり、その炎症を鎮めるために、「副腎」という臓器から、「コルチゾール」と呼ばれるホルモンが大量に分泌されることが主な原因です。
■納豆やヨーグルトを食べても意味がない
そして、慢性的な下痢や重い便秘のようなはっきりした自覚症状がある人だけでなく、毎日の生活で排便などにとくに問題を感じていない人でも、隠れた症状を抱えている場合があります。
それが、小腸の炎症です。小腸が炎症を起こすと、まず食物からの栄養素、なかでもタンパク質を吸収しにくくなります。
すると、体はタンパク質でできているため、太りやすくなったり、肌が荒れたり、イライラしたりといったさまざまな症状が現れます。もちろん、納豆やヨーグルトなどの発酵食品や食物繊維を積極的に食べて、腸内環境を健康な状態に整えようとしている人はたくさんいると思います。
発酵食品や食物繊維が体にいいのは、たしかなこと。でも、もともと小麦によって小腸に炎症があり腸内環境が乱れていれば、そもそも栄養素自体を吸収できません。つまり、いくら食生活を改善してもあまり意味がないのです。
「健康的な食べものをたくさん食べればいい」
「野菜を毎日食べているから腸は大丈夫なはず」
そう思っている人ほど、自分の小腸の状態を過信して、自覚していない場合がとても多く見られます。
「頑張れない体」になっている人は、99%腸に問題を抱えています。どんな健康法を試すよりも、まず「腸の炎症を取り除く」ことが大切な理由はここにあります。
■疲れるほど体重が増えるワケ
疲れれば疲れるほど、体重が増えることがあるのはご存じですか?
これは、「脂質異常症」と呼ばれる症状で、一見ストレスから食べすぎてしまって体重が増えると思いがちですが、これにも副腎疲労が関係しています。
実は、コルチゾールのおおもとの材料は「コレステロール」です。コルチゾールをつくるには、コレステロール値を高くしなければつくることができないため、副腎疲労になると、それに伴ってコレステロール値は高くなってしまう。
要するに、コレステロールがない限りコルチゾールをつくれないので、副腎疲労気味の人は、脂っこいものが好きになるわけです。
言い換えれば、血糖値を瞬間的に上げてくれるものが好きになるということ。そうして疲れが取れない限り、ラーメンやスイーツがやめられなくなって、体重がどんどん増えていきます。
すると、腸内環境が悪いまま体重だけが増えていくので、どんどん疲れやすい体になってしまうという流れです。
■痩せているのにお腹だけぽっこり
これは、一見痩せているように見える人にもあてはまる場合があります。
「毎日仕事が忙しくて、つい夜食にお菓子やラーメンを食べてしまう」
そんな人はとくに、慢性的なストレスに対処しようとおのずと脂質過多になっていることがあり、「痩せているのにお腹だけぽっこり出ている」という症状がよく見られます。
また、人間の体には、飢餓(きが)になるリスクを避けるために、エネルギーを蓄積するメカニズムが働いています。でも、これだけ食が豊富な時代の現代人にとって、飢餓になるリスクはほんのわずかなもの。ただ、実際には飢餓でなくても、体内に炎症がある状態を体は危機的状況ととらえてしまうのです。
すると、エネルギーをあまり使わないまま体内にためる状態になり、男性の場合はお腹まわりに、女性の場合はお腹まわりとお尻と太腿に脂肪がついていきます。
このように、さまざまな理由から、小麦を食べていると疲れやすくなり、それに伴って体重も増えていくのです。
■水を飲んだだけでも太る
「せっかくダイエットをしてカロリーを減らしているのに、食べものどころか、水を飲んだだけでも太ってしまう!?」
こんな症状にも、副腎疲労が関係しています。副腎疲労のときに出るコルチゾールは、体内の水分が多かろうが少なかろうが、目の前の危機、つまり炎症と戦わなくてはなりません。
そのため、人間の体は危機に際して、本来なら排出するような水分でも、「貴重な水分をなるべく体内に蓄積しよう」と働きます。すると、当然、体はむくみやすくなり、そのぶん体重も増えてしまいます。
無理なダイエットで腸内環境を悪くしたり、ストレスをためたりしていると、かえって痩せにくくなる理由はここにあります。
逆にいうと、炎症と戦う必要がなくなり、水分を蓄積せず使うようになると、自然とむくみは取れていきます。私のクリニックでは、小麦抜きの食生活と副腎疲労の治療を続けるなかで、10キロ以上痩せる人がたくさんいます。
その原因もまた、体内の炎症なのです。

■食べていないのに血糖値が上がる
副腎疲労になると、コルチゾールの分泌や、交感神経の働きが活発になります。
すると、たとえ食事をしなくても、体は「戦うか逃げるか」という臨戦態勢になって、「血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)」を上げていくことになります。
また、体には糖質が不足すると、糖ではない物質から「糖質(グルコース)」をつくり出す「糖新生」という代謝経路があり、この作用によっても糖を高くしていきます。加えて、そもそも血糖値が高い状態は細胞の炎症につながり、腸内環境をさらに悪化させていきます。
つまり、小麦を食べ続けていると、糖尿病になるリスクがどんどん高まっていくということです。
第3回の記事で、疲れた副腎をとりあえず働かせるのに楽な食事は、甘いパンやドーナツに、甘いコーヒーという例をあげました。つまりそれは、わかりやすくいうと、血糖値を一気に上げてくれるような小麦中心の食事のことです。
■小麦で血糖値がジェットコースター化する
食べものを食べると血糖値が上がるのは、ふつうのこと。血糖値が上がると、すい臓から「インスリン」というホルモンが分泌され、糖分をエネルギーにかえて細胞に運びます。

しかし、過剰にコルチゾールが出るような食事をすると、一気に血糖値が上がり、上がった血糖値に伴って、またコルチゾールが上がるという悪循環に入っていきます。すると、その次は急上昇した血糖値を下げるために、インスリンが一気に分泌されて、急激に低血糖の状態へと落ちていきます。
これが、食事性の「反応性低血糖」という症状。
「昼食を食べたあと、なんとなく体がだるくなって……」
そんな人は多いですが、重い低血糖症になると、脱力や冷え、震えなどの症状が現れ、最悪の場合は、昏睡にいたることもあります。
まるで、血糖値のジェットコースターみたいにアップダウンが激しくなり、血糖値が乱れてしまうのです。高血糖になるだけでなく、小麦は血糖値の乱れの原因にもなるので注意しなければなりません。
*参考文献
1.グルテンフリーによる抗炎症作用、インスリン抵抗性の改善、減量効果
論文名: Gluten-free diet reduces adiposity, inflammation and insulin resistance associated with the induction of PPAR-alpha and PPAR-gamma expression
掲載誌: J Nutr Biochem 2013 Jun; 24(6):1105-11
URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23253599/
2.グルテンフリー・カゼインフリーによる自閉症スコアの改善
論文名: The ScanBrit randomised, controlled, single-blind study of a gluten- and casein-free dietary intervention for children with autism spectrum disorders
掲載誌: Nutr Neurosci 2010 Apr;13(2): 87-100
URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20406576/
3.グルテン関連する疾患のカテゴリー グリアジンのアミノ酸配列
論文名: Spectrum of gluten-related disorders: consensus on new nomenclature and classification
掲載誌: BMC Med. 2012 Feb 7: 10: 13
URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22313950/
4.非セリアックのグルテンに関連する疾患
論文名: Non-Celiac Gluten Sensitivity: The New Frontier of Gluten Related Disorders
掲載誌: Nutrients. 2013 Sep 26; 5(10): 3839-3853
URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24152744/
5.グルテン不耐症の症状など
論文名: An Italian prospective multicenter survey on patients suspected of having non-celiac gluten sensitivity
掲載誌: BMC Med. 2014 May 23: 12: 85
URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24885375/
6.グルテンフリーによる免疫反応
論文名: Effect of gluten free diet on immune response to gliadin in patients with non-celiac gluten sensitivity
掲載誌: BMC Gastroenterol. 2014 Feb 13: 14: 26
URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24524388/
7.グルテン関連疾患の分類およびグルテン不耐症に関する臨床症状など
論文名: Non coeliac gluten sensitivity - A new disease with gluten intolerance
著者: Grażyna Czaja-Bulsa
掲載誌: Clin Nutr 2015 Apr; 34(2):189-194
URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25245857/
8.消化器症状、過敏性腸症候群とグルテン不耐症
論文名: US perspective on gluten-related diseases
掲載誌: Clin Exp Gastroenterol. 2014 Jan 24: 7: 25-37
URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24493936/
9.アルツハイマー型認知症とグルテン不耐症
論文名: Diet Associated with Inflammation and Alzheimer's Disease
掲載誌: J Alzheimers Dis Rep. 2019 Nov 16; 3(1): 299-309
URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31867568/
10.グルテン不耐症の症状、自己免疫疾患などの関連性
論文名: Extra-intestinal manifestations of non-celiac gluten sensitivity: An expanding paradigm
掲載誌: World J Gastroenterol. 2018 Apr 14; 24(14): 1521-1530
URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29662290/
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本間 良子(ほんま・りょうこ)
医師、スクエアクリニック院長
米国発達障害児バイオロジカル治療学会フェロー。聖マリアンナ医科大学医学部卒業後、同大学病院総合診療内科入局。副腎疲労の夫をサポートした経験を活かし、米国で学んだ最先端医療に基づく栄養指導もおこなう。また、日本で唯一、副腎疲労、グルテンフリー外来を開設している。
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(医師、スクエアクリニック院長 本間 良子)
