OBS

写真拡大

大分市の大型商業施設「パークプレイス大分」。センターステージ近くの「スタバ」や「サーティワン」の店舗をぐるりと囲む水辺エリアをご存知だろうか。買い物客やファミリーが行き交う通路の足元――ふと目を凝らすと、そこにはおよそ20匹から30匹もの色鮮やかなコイ(錦鯉)が優雅に泳ぎ回っている。

【写真を見る】商業施設にいつの間にか“錦鯉”の群れ 管理・飼育ゼロ… 誰かが放流?なぜ育つ? パークプレイス大分“噂の真相”

池のコイは…放置状態

誰もが「施設が管理しているのだろう」と気に留めることもないコイだが、実は一般には知られていない“真実”が隠されていた。一体なぜ、ここにコイがいるのか。今年6月にパークプレイス大分の新支配人に就任した荒木明徳さんに聞いた。

荒木支配人は、運営会社のエフ・ジェイエンターテインメントワークス(本社・福岡市)に勤め、以前から視察等で池にコイがいること自体は認識していたという。しかし、着任後に各部署へ業務ヒアリングを行った際、耳を疑うような報告を受けることになる。

「池のコイについて管理やコストを聞いたのですが、なんとコイの管理は一切しておらず、“放置状態”ということがわかり、びっくりしました」

なんと施設側は、エサやりはおろか、飼育コストも一切かけていないというのだ。

20年以上前の開業時…知られざる真実

では、一体なぜ管理もしていない池に、これほど立派なコイたちが泳いでいるのか。荒木支配人に歴史を紐解いてもらうと、さらなるミステリーが浮かび上がってきた。

「実は2002年の開業時、水質を確かめるために数匹のコイの稚魚を放流したんです。ただ、数年後に繁殖してしまったため、池を所有する別の施設にコイを譲渡し、水を全部抜いて清掃しました」

「その後、池の壁に卵がくっついて残っていたのか、どなたかが持ち込んだのか……まったくわからないんです」

残された生命力が繋いだ奇跡なのか、それとも誰かがそっと託した「放流」なのか。真実は今も水底の中に眠っている。

なぜコイはすくすく育つのか?

そして、もう一つの謎がある。一切管理されていない池で、なぜ20~30匹ものコイが元気に育っているのか。そこには、パークプレイスならではの特別な水環境があった。

実はこの池の水は、水道水ではなく「100%井戸水を直接注ぎ込んだ、かけ流し(一部循環)」。かつて施設側が放流した稚魚が繁殖した経緯もあることから、コイたちにとっても生きていきやすい環境なのかもしれない。

もちろん、施設として池の清掃やメンテナンスは日頃から実施し、水辺を清潔に保っている。しかし、コイの飼育やエサやりといった管理は一切行われていないというのだ。

実際、池を覗き込んでみると、鮮やかなオレンジ色の個体や、体長40~50センチほどある光沢を帯びた黄金色のコイが、優雅に泳ぐ姿が見られた。

「いまも元気に泳いでいるので、池の中のコケを食べているのか、誰かが適切に餌を与えているのか定かではありません。仮にそうした人物がいたとしても、特定したり捕まえたりしてやろうとは全く考えていませんよ(笑)」

子どもたちは知っています

大人はつい見落としてしまいそうなセンターステージの足元だが、目線の低い子どもたちは、真っ先にこの小さなオアシスに気づいて歓声をあげるという。

「池にコイがいることは、大人より子どもたちの方が気づいていると思います。視線の高さも違いますからね。現状はコイを排除する理由もないですし、子どもたちが喜ぶ姿もたくさん見受けられます。今はこのまま温かく見守っていこうと思います」

パークプレイスを訪れる際は、ぜひアイスやコーヒーを片手に足元の水辺を覗き込んでみてほしい。そこには、ちょっと優しくて温かいミステリーが、今日も元気に泳いでいる。