フリーランスの娘は月収30万円だそうです。「会社員には戻る気はない」と言っていますが、老後を考えてもこの働き方で問題ないのでしょうか?

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働く場所や時間を自分で決められるフリーランスは、自由度の高い働き方として広く選ばれています。一方、会社員とは働き方や収入の仕組みが異なるため、将来に不安を感じる人もいるでしょう。   月収30万円を得ていると聞けば、生活には問題がないようにも思えるかもしれませんが、長く働き続けることや老後の生活まで考えた場合、収入額だけでは判断できない点もあります。   本記事では、月収30万円のフリーランスがこの働き方を続けるうえで確認したいポイントについて解説します。

フリーランスの月収30万円だけでは生活の安定性を判断できない

最初に確認したいのは、娘が話している「月収30万円」が売り上げなのか、経費を差し引いた後の利益なのかという点です。フリーランスは、仕事に使うパソコン代や通信費、ソフトの利用料などを自分で負担します。そのため、売り上げがそのまま手元に残るわけではありません。
例えば、売り上げが30万円あっても、経費が月5万円かかれば、事業による利益は25万円です。さらに、その利益から国民年金や国民健康保険所得税、住民税などを支払う必要があります。
会社員の給与は、勤務先が厚生年金や健康保険など社会保険料の一部を負担しています。一方、一般的な個人事業主は、国民年金や国民健康保険の全額を自分で納めなければなりません。
また、有給休暇や会社員向けの退職金もないため、体調を崩して働けない期間が続くと、収入が大きく減る可能性もあります。そのため、月収の金額だけでなく、年間の利益や貯蓄額、毎月の生活費も確認することが大切です。収入が途切れた場合に備え、目安として3~6ヶ月分程度の生活費を預貯金で確保しておくと安心しやすくなります。

フリーランスと会社員では老後の年金にどのような違いがある?

フリーランスの老後で特に注意したいのが、公的年金です。一般的な会社員は、国民年金に加えて厚生年金にも加入します。一方、個人事業主として働くフリーランスは、原則として国民年金が中心で、厚生年金の上乗せがありません。
2026年度の老齢基礎年金は、40年間保険料を納めた場合でも月額7万608円です。納付していない期間があれば、受給額はさらに少なくなります。
これに対し、会社員は加入期間や給与に応じた厚生年金がこの基礎年金に上乗せされます。つまり、月収30万円を得ている現在の生活に問題がなくても、国民年金だけでは退職後の生活費を十分に賄えない可能性があります。
ただし、フリーランスだから老後の生活が必ず苦しくなるわけではありません。会社員とは違って自動的に厚生年金が積み上がらない分、自分で老後資金を準備する必要があるということです。

フリーランスが老後資金を準備するにはどうすればよい?

フリーランスの方が老後に備える方法として、まず検討したいのがiDeCoです。
iDeCoは、自分で掛金を積み立てて運用し、原則60歳以降に受け取る私的年金制度です。掛金は月5000円から設定でき、全額が所得控除の対象となるため、所得税や住民税の負担を軽くできる場合があります。
ただし、積み立てた資金は原則として60歳まで引き出せません。収入が不安定な人は、生活費に使える預貯金を確保してから、無理のない金額で始めることが重要です。
個人事業主であれば、小規模企業共済も選択肢になります。廃業や引退後に共済金を受け取れる制度で、「経営者の退職金」とも呼ばれています。掛金は月1000円から7万円まで設定でき、こちらも掛金全額が所得控除の対象です。
例えば、月収30万円のうち毎月2万円を老後資金に回すことができれば、年間では24万円になります。ただし、毎月同じ金額を積み立てることが負担になる場合は、無理に固定せず、収入が増えた月に積立額を上乗せする方法でよいでしょう。
同時に、仕事の単価を上げる、複数の取引先を持つ、病気やけがに備える保険を検討するといった対策も、フリーランスのリスクを下げるうえで有効です。

フリーランスを続ける場合は老後に備える仕組みを整えよう

月収30万円を継続して得られ、税金や社会保険料を支払ったうえで貯蓄できているなら、フリーランスという働き方だけを理由に会社員へ戻る必要はありません。
一方、毎月の収支を把握しておらず、国民年金以外の準備もしていない場合は、早めの対策が必要です。まずは売り上げ、経費、税金、生活費、貯蓄額を整理し、年金の見込額も「ねんきんネット」でこれまでの年金記録と将来の年金見込額を確認するとよいでしょう。
親としては会社員になるよう強く勧めるより、「毎月いくら残っているのか」「老後の積み立てをしているのか」と具体的に尋ねるほうが建設的です。フリーランスを続ける意思を尊重しながら、収入や貯蓄の状況を一緒に確認し、無理のない方法で老後に備えていきましょう。
 

出典

日本年金機構 令和8年4月分からの年金額等について
国民年金基金連合会 iDeCo公式サイト iDeCoってなに? iDeCo(イデコ)の加入資格・掛金・受取方法等
独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構) 共済サポート navi 小規模企業共済の掛金
日本年金機構 「ねんきんネット」による年金見込額試算
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー