こちらは、アメリカ・フロリダ州にあるNASA(アメリカ航空宇宙局)のケネディ宇宙センターで撮影された1枚です。足場の合間からは白い円筒状の構造物と、配線や機器類が剥き出しになった円錐形の構造物が見えています。


【▲ クルーモジュールとサービスモジュールが結合された「アルテミスIII」ミッション用のオリオン宇宙船(Credit: NASA/Amanda Stevenson)】

写っているのは、2027年に予定されている「Artemis III(アルテミスIII)」ミッションで使用される有人宇宙船「Orion(オリオン、オライオン)」です。NASAは2026年8月5日付で、オリオン宇宙船のモジュール結合作業をはじめとしたアルテミスIIIミッションのハードウェア準備状況を明らかにしています。


クルーモジュールとサービスモジュールがひとつに

NASAによると、ケネディ宇宙センターのニール・アームストロング運用チェックアウトビルでは2026年7月末に、オリオン宇宙船のクルーモジュールとサービスモジュールの結合作業が行われました。


冒頭画像で上に写っている円錐形のものがクルーモジュールで、宇宙飛行士が搭乗する部分。下に写っている白い円筒状のものがサービスモジュールで、推進や電力供給を担う部分です。この2つのモジュールが組み合わさることで、オリオンは宇宙船として機能します。


アルテミスIIIは、アメリカのBlue Origin(ブルー・オリジン)社およびSpaceX(スペースX)社が開発を進めている月着陸船「HLS(有人着陸システム)」の能力を実証するために、地球周回軌道で行われるミッションです。


クルーはNASAのRandy Bresnik宇宙飛行士、Andre Douglas宇宙飛行士、Frank Rubio宇宙飛行士、それにESA(ヨーロッパ宇宙機関)のLuca Parmitano宇宙飛行士が搭乗します。4名が搭乗したオリオン宇宙船はHLSの試験機とランデブーやドッキングを行い、着陸船への乗り込みを含めた技術実証を行う予定です。


NASAによると、結合作業を終えたオリオン宇宙船は電源投入試験に進み、その後も統合試験や残る機器の取り付けなどが続けられるということです。


SLSの各要素もケネディ宇宙センターに集結

オリオン宇宙船の準備が進むかたわら、打ち上げに使用される大型ロケット「SLS(スペース・ローンチ・システム)」の準備も並行して進められています。


NASAによれば、コアステージ(1段目)の側面に2基取り付けられる固体燃料ロケットブースターの各セグメントに対する検査が進められる一方で、2026年7月上旬からはセグメントを積み上げていく作業がVAB(ロケット組立棟)で始まりました。


2026年7月21日にはコアステージに搭載される「RS-25」エンジンのうち最後の1基がステニス宇宙センターから到着し、4基すべてのエンジンが揃いました。今後は2026年4月に到着済みのコアステージ主要部分への組み込み作業が行われる予定です。


また、アルテミスIIIミッションではSLSの2段目にあたる上段「ICPS(Interim Cryogenic Propulsion Stage)」を使用せず、同等の寸法を有した推進機能のない「スペーサー」と呼ばれる部品が使用されます。マーシャル飛行センターではスペーサー胴体部分の溶接作業が完了しており、上部と下部の構造リング取り付けに向けた準備が進められています。


【▲ SLS(スペース・ローンチ・システム)の固体燃料ロケットブースターを構成するセグメントのひとつを検査に向けて作業台に固定する技術者たち(Credit: NASA/Ben Smegelsky)】

部品の再利用で準備を加速

さらに、NASAは過去のミッションで使用された部品の一部を今後のミッションに転用することで、全体的なスケジュールの前倒しも図っています。


まず、2026年4月に実施された「アルテミスII」ミッションで帰還したオリオン宇宙船の部品を再利用することで、アルテミスIIIミッションのハードウェア取り付け作業は従来の予定から約3か月早まる見込みです。


また、アルテミス計画初の有人月面着陸が行われる2028年実施予定の「アルテミスIV」ミッションや、その次の「アルテミスV」ミッション向けにも250点以上の部品が再利用される予定であることに加えて、アルテミスIII用に製造した部品をアルテミスIVに前倒して供給できる見込みだということで、今後のミッションの準備効率化や実施前倒しの可能性にもつながっているということです。


 


文/ソラノサキ 編集/sorae編集部


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