「農地」を次世代につなぐ鍵は? 県内の「農地集積」の現状【徳島】
(森本アナウンサー)
「農家の高齢化や後継者不足に伴い、農地を誰が引き継いでいくのか、農業の大きな課題です」
「そこで進められているのが、意欲ある農家や農業法人に農地を集める『農地集積』です」
(豊成アナウンサー)
「耕作面積に対して担い手がいる割合『農地集積率』は昨年度、全国平均の62.1%に対して、徳島県は30.7%と全国の半分以下です」
「農地をつなぐヒントはどこにあるのか、課題に向き合う2つの現場を取材しました」
美波町の山あいにある、赤松地区です。
美しい水田が広がり、昔ながらの農村の風景が残っています。
しかし、その一角では新たな動きも始まっています。
(黄金の村・岡田敬吾 営業部長)
「ここが黄金の村がお借りしているユズ畑です。以前は田んぼでした」
ユズを栽培するのは、那賀町木頭地区を拠点とする農業法人です。
地域から農地を借り、2026年にユズ畑に転換しました。
(黄金の村・岡田敬吾 営業部長)
「近年海外の需要が特に高まっていて、ユズの原料が全然足りなくなりました」
「県の方に相談したときに、赤松の土地を紹介してもらった」
「地元の人が協力的に土地を貸してくれるのは、私たち農業法人としてはとてもありがたい」
赤松地区では、人口減少や農家の高齢化が進んでいて、130ヘクタールの耕作面積の内30ヘクタールは耕作放棄地となっています。
形の複雑な水田も多く、大規模な稲作には向きません。
そこで、地域外の農業法人を新たな担い手として呼び込むことにしました。
その調整に当たったのが、地元の谷崎栄之さんです。
(赤松地区農村RMO推進協議会・谷崎栄之 理事)
「ケンジさんが、田んぼをユズ畑として貸してくれるという話が進んで行っているが、それはご存知ですか?」
(地権者の家族)
「知っています」
(赤松地区農村RMO推進協議会・谷崎栄之 理事)
「ケンジさんはお兄さんでいいですか?」
「住所が知りたいんですが」
(黄金の村・岡田敬吾 営業部長)
「寺の前、以前は何をつくっていたんですか?」
(赤松地区農村RMO推進協議会・谷崎栄之 理事)
「休耕です、お米です」
(黄金の村・岡田敬吾 営業部長)
「何年も休耕?草は刈っている?」
(赤松地区農村RMO推進協議会・谷崎栄之 理事)
「そうです」
農地を貸してもらうには、地権者の合意が必要です。
土地への思いや、賃料、契約期間。
地権者と農業法人の間に入り、地域で話し合いを重ねました。
(赤松地区農村RMO推進協議会・谷崎栄之 理事)
「時間をかけないと簡単には納得してもらえない。合意形成を作るのは難しい」
「現実的には耕作放棄地で、あまり整備できていないから」
「ユズ畑として整備して、景観としてはもっと美しい景観が保てると思う」
農地を必要とする法人と、農地を守りたい地権者。
双方をつないだのは、地域の事情を知り信頼関係を持つ、まとめ役でした。
(赤松地区農村RMO推進協議会・谷崎栄之 理事)
「今まだ貸せないよという、そういう人の気持ちも大事にしたいですし、でも赤松の美しい景観を守っていくためには、やらなければいけない」
「そこでせめぎあいがあるが、今なにもしないと私たちの赤松地区はダメになると思うので」
「とにかく前に前に動いていく、ユズ畑として整備していくということが、一つの大きなチャンスかな」
こうした農地の将来像を、地域ごとに示したものが「地域計画」です。
自治体がとりまとめ、10年後に農地を誰が耕すか「目標地図」に示します。
この貸し借りを動かすのが、農地中間管理機構、通称「農地バンク」です。
農地バンクは、所有者から農地を借り受け、農家や農業法人に貸し出します。
一方、受け手が決まらないまま農地が放置されると、再び使える状態に戻すことは、さらに難しくなります。
農地バンクを活用して、耕作放棄地をスダチ畑に再生した藍住町の農業法人です。
(カネイファーム・矢野正英さん)
「木の根も全部除去しないと、トラクターも入れない状態になるので、それってもう農業というより林業の方になっちゃう」
「開墾予定です」
「もうこんな状態ばっかりなんで、誰かが何とかしないと、この辺一帯森になりそうな」
やってきたのは鳴門市大麻町です。
生い茂った木々に、先が見通せないほどに、背丈以上に及ぶ雑草。
耕作放棄地は人の手が入らないと、5年ほどでこうなるといいます。
毎年1ヘクタール、木の伐採や土壌改良を行い、3ヘクタールを農地として再生。
再生には、県の補助事業を活用しました。
耕作放棄地となる場所はもともと条件が悪く、使いにくい場所であったり、相続が繰り返され、所有者を確認するだけでも時間がかかるケースがあります。
(所有者)
「土地の交換があって、受け継ぐ人がこちらにもいない」
「完全に何も植えてもいないし、いわゆる耕作放棄地みたいな感じ」
「やってもらいたい」
(カネイファーム・矢野正英さん)
「この辺の耕作放棄地をなんとかなくしていきたいと思っているので、みなさんの協力が必要だと思っている」
耕作放棄地を農地として残す場合の課題とは、どこにあるのでしょうか
(県農地政策室・美馬義卓 室長)
「再生するのに相当費用が掛かるとか、労力がかかるというのがある」
「借り手を探す時に、借りたい人がいても相続ができていなかったりが課題」
「労力も費用もかかかるので、できるだけ使えるうちに農地は使える方に繋いでいきたい」
「 そういう所に、力を入れていきたい」
中山間地域が多く、農地集積が進んでいない県内。
2つの現場から見えたことは、地域や地権者の合意を得て、農地が荒れる前にいかに話をまとめていくかということ。
それが、農地を次の世代につなぐ鍵となります。
