小惑星「ニサ」は3つの塊がつながった形をしている? 地上からの観測で衛星も発見
ローウェル天文台は2026年7月29日付で、同天文台のKate Minker氏を筆頭とする国際的な研究チームによる小惑星「Nysa(ニサ)」についての最新の取り組みを紹介しています。
ニサは火星と木星の間に広がる小惑星帯(メインベルト)にある天体です。直径は約75kmで、特殊な表面組成を持つ「E型小惑星」の中でも最大級であり、特に明るいことで知られています。その正体は長らく曖昧なままであり、細長い形状や凹み、あるいは2つの天体がくっついたような形をしている可能性が指摘されるにとどまっていました。
研究チームによると、ニサは3つの塊が連なったようなきわめてめずらしい形状をしているとともに、これまで知られていなかった小さな衛星を伴っているといいます。

連なった3つの塊 その可能性を示した2本の谷
研究チームはアメリカ・アリゾナ州のLBT(大型双眼望遠鏡)とチリのVLT(超大型望遠鏡)を使用して、これまでで最も解像度の高いニサの画像を取得しました。
その結果、ニサをぐるりと取り巻くような2本の谷が確認されました。研究チームはこの谷を「くびれ」のような地形と解釈し、3つの塊がつながっていると考えています。Minker氏は「最も有力な説明は、3つの部分がくっついてできた天体であるか、これまで観測されたことのないほど不規則な一体構造の天体であるかのいずれかです」と述べています。
2つの天体がゆるやかにつながった小惑星は「接触二重小惑星(contact binary)」と呼ばれています。直近では、2026年7月にJAXA(宇宙航空研究開発機構)の小惑星探査機「はやぶさ2」がフライバイを行った小惑星「Torifune(トリフネ)」が接触二重小惑星とみられています。
JAXA探査機「はやぶさ2」フライバイ時に小惑星トリフネ表面から400mまで接近していた(2026年7月31日)
また、NASA(アメリカ航空宇宙局)の探査機「Lucy(ルーシー)」がフライバイを行った小惑星「Dinkinesh(ディンキネシュ)」の衛星「Selam(セラム)」や小惑星「Donaldjohanson(ドナルドジョハンソン)」、それにNASAの探査機「New Horizons(ニュー・ホライズンズ)」がフライバイを行った太陽系外縁天体「Arrokoth(アロコス)」なども、同様の構造を持つ例として知られています。
このように、既知の接触二重小惑星は増えつつある一方で、ニサのように3つの塊が連なった「接触三重小惑星(contact trinary)」と言えるような天体は、これまで観測例がなかったといいます。

さらに、研究チームはニサを周回する衛星の存在も確認しました。直径は約1kmで、ニサから170km以上離れた軌道を公転しているとみられています。衛星が見つかったことで、その運動をもとにニサの質量をはじめとする物理的な性質を調べることが可能になります。
ニサのめずらしい形状の起源は?
ニサを構成する3つの塊は色や明るさに目立った違いはみられず、すべて同一の母天体に由来する可能性が示唆されています。研究チームはニサの特異な形状の起源として、もともと単一の天体だったニサが多数の衝突で生じたクレーターによって激しく変形したという説や、大きな母天体どうしがすれ違うように接触した際に生じた破片が低速で集積した可能性などに言及しています。
研究に参加した大型双眼望遠鏡天文台のAl Conrad氏は、「今回の新しい画像は、ニサが一般的な小惑星とは異なるとするこれまでの手がかりと一致している」と述べています。研究チームは今後、衛星の軌道を解析してニサの質量や密度を求め、形成プロセスを絞り込んでいく方針だということです。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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