夏の甲子園2026 絶対に見逃せない注目選手たち(投手編)

 8月5日に開幕する第108回全国高等学校野球選手権大会。灼熱の甲子園球場を舞台に、今夏も激闘が繰り広げられる。そこで、投打に注目の有望選手をピックアップ。まず投手編では、ドラフト1位候補の織田翔希(横浜)など、プロスカウトも熱視線を送る逸材を10名紹介しよう。


今春の選抜でも活躍した花咲徳栄・黒川凌大 photo by Takahiro Kikuchi

黒川凌大(花咲徳栄/182センチ・86キロ/右投右打)

芯の強さを感じさせるパワフル右腕。今どきの投手にしては珍しくワインドアップで始動する、迫力のある投球フォーム。今春はエースとして、チームを選抜ベスト8に導いた。最速148キロのストレートは球威があり、スライダー系の球種は精度が高い。今夏にかけては制球力が向上し、プロスカウトの評価も高まっている。今夏の埼玉大会決勝では全国指折りの陣容だった浦和学院を3失点に抑えて完投した。母・琴美さんは女子柔道の元アジア王者。初戦は大会8日目、札幌日大(南北海道)と仙台育英(宮城)の勝者と対戦する。


最速157キロを誇る横浜のエース・織田翔希 photo by Ryuki Matsuhashi

織田翔希(横浜/186センチ・81キロ/右投右打)

今夏の主役になれる男。数々の逸材を輩出してきた名門校にあって、潜在能力の高さにかけては歴代ナンバーワンと言っても過言ではない。今春の甲子園マウンドは消化不良に終わったが、今夏は神奈川大会で最速157キロをマーク。目の肥えた神奈川の高校野球ファンをうならせた。試合終盤でも球威が衰えないタフな体力と精神力を大舞台でも発揮できるか。今夏のパフォーマンス次第で、ドラフト戦線のトップランナーに躍り出る可能性も十分ある。初戦は大会6日目に昨夏王者である沖縄尚学(沖縄)との好カードが組まれた。


2年連続して夏の甲子園出場を果たした高部陸 photo by Ryuki Matsuhashi

高部陸(聖隷クリストファー/175センチ74キロ/左投左打)

トーナメント戦で「対戦したくない」と思わせる左腕。身長175センチと上背は乏しいものの、最速150キロの快速球は強烈なスピンで捕手のミットを押し上げる。自慢のカットボールを交え、今夏は静岡大会で36回2/3を投げて48奪三振をマーク。制球も安定しており、相手打線を寄せつけなかった。大学進学が有力視されているため大きな話題にならないが、実力は間違いなく高校球界トップクラス。爽やかな笑顔もスター性を感じさせる。初戦は大会2日目に佐野日大(栃木)と対戦する。


打者としても非凡な才能を見せる中京・鈴木悠悟 photo by Takahiro Kikuchi

鈴木悠悟(中京/177センチ・75キロ/右投右打)

センスが際立つ二刀流の好素材。一見すると平凡な体格ながら、最速148キロの快速球は加速感のある好球質。6月の練習試合では12者連続三振を奪ったことが話題になった。今夏は体調管理に課題を残したものの、エースとして甲子園出場に導いた。高校通算10本塁打をマークし、遊撃適性のある野手としても要注目。とくに自分の間合いで柔らかくバットを振りこなせる打撃はハイレベルだ。高卒でのプロ志望を秘めるだけに、投打で高い評価を勝ち取れるか。初戦は大会5日目に霞ケ浦(茨城)と対戦する。


春の選抜で大阪桐蔭相手に堂々のピッチングを見せた三重・古川稟久 photo by Sankei Visual

古川稟久(三重/182センチ・78キロ/右投右打)

近未来に思いを馳せたい好素材右腕。長い手足をしならせるフォームで、高い資質は高校1年時から評価されてきた。最速149キロのストレートに、空振りを奪えるスライダーも武器にする。今春の選抜では大阪桐蔭を相手に好投し、爪痕を残した。大学進学希望ながら、4年後のドラフトを意識できる大器だ。今夏の三重大会では決勝戦で好リリーフを見せたものの、最終回に右ヒジの痛みを訴えて緊急降板。コンディション面に不安を残す。初戦は大会7日目に松商学園(長野)と対戦する。


兵庫大会でわずか1失点と抜群の安定感を見せた社のエース・岩井秀耶 photo by Sankei Visual

岩井秀耶(社/178センチ・73キロ/右投右打)

今夏に株を上げたスリークォーター右腕。横手に近い角度から放たれるストレートは最速151キロを計測する。今夏の兵庫大会は走者を許しながらもホームは踏ませない粘りの投球を披露し、33回2/3を投げてわずか1失点。横滑りするスライダーと三振を奪えるスプリット、負けん気の滲み出るマウンド姿も魅力だ。明石商との決勝戦では臀部の痛みを訴えて降板したものの、甲子園練習ではマウンドに上がって万全ぶりをアピールした。初戦は大会7日目、智辯和歌山(和歌山)との近畿勢同士の対決になった。


昨年夏、今年春と甲子園のマウンドを経験した高川学園の木下瑛二 photo by Ryuki Matsuhashi

木下瑛二(高川学園/179センチ・85キロ/右投右打)

大舞台で真価を発揮したい右腕。高校進学時には全国屈指の名門校からも勧誘を受けた資質の持ち主。2年夏から甲子園マウンドを経験するも、今春の選抜は初戦敗退で消化不良に終わった。強い高卒プロ志望の意思を持っており、今夏の甲子園は最後のアピールの場になる。130キロ台の高速帯で変化するスライダーの質は高いだけに、最速147キロのストレートで圧倒できるかがカギ。ホームベースを横に広く使う投球を見せたい。初戦は大会6日目に高岡商(富山)との対戦が組まれている。


9年ぶり甲子園出場の立役者となった東筑のエース・深町光生 photo by Nikkan sports

深町光生(東筑/186センチ・80キロ/右投右打)

伝統校を投打で支える大型選手。2段モーションから右腕の重量感をボールに伝える投球フォームで、最速147キロをマークする。変化球もキレのあるカットボールなど、多彩な球種を操る。今夏は主にリリーフとして活躍。福岡大会準決勝ではタレント軍団・九州国際大付を相手に、要所を締める投球で勝利に貢献した。打者としても中軸を任され、バットのしなりを利かせたスイングが光る。今夏は福岡大会で鮮烈な本塁打を放ってみせた。初戦は大会2日目に同じく九州地区の強敵・神村学園(鹿児島)と対戦する。

平田玲翔(大分商/188センチ・80キロ/右投右打)

甲子園初登場の怪素材。最速152キロの剛速球は、独特の角度からミットに突き刺さる。今夏の大分大会は全5試合でリリーフ登板し、17回2/3を投げて被安打4と寄せつけなかった。50メートル走6秒0、遠投120メートルと抜群の運動能力を持ち、野手としても高校通算20本塁打と高い資質を誇る。投打とも大きな体を持て余すことのない、躍動感のあるプレーぶり。まさにロマンの塊だ。登板しない際はDHとして出場し、打線の中心に座る。初戦は大会4日目に日本文理(新潟)と対戦する。


昨年夏の甲子園優勝投手、沖縄尚学の末吉良丞 photo by Ryuki Matsuhashi

末吉良丞(沖縄尚学/176センチ・94キロ/左投左打)

戻ってきた男。昨夏の甲子園はエースとして優勝に導き、侍ジャパンU−18代表も経験した。その後はスランプや左ヒジ痛を経験したものの、今夏の沖縄大会準決勝で復活登板。まるで丸太のように分厚い下半身で、最速150キロのストレートには重量感が宿る。自在に変化させるスライダー系や右打者に有効なチェンジアップなど、打者を打ち取るための手数も豊富。実戦派右腕の新垣有絃、最速149キロ左腕の久高大瑚と脇を固める好投手の存在も心強い。初戦は全国屈指のタレントを揃える強敵・横浜(神奈川)と対決する。

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菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro