婚約破棄されたので記憶喪失のふりをしたら…第一王子のために「悪役令嬢」を演じ続けた少女のラブストーリーがついに完結!【書評】

【漫画】本編を読む
『悪役令嬢はもう全部が嫌になったので、記憶喪失のふりをすることにした』(ゆずまんじゅう:漫画、かのん:原作/キルタイムコミュニケーション)は、婚約破棄をきっかけに、タイトルどおり「記憶喪失のふり」を始めた令嬢が、本当の自分と向き合っていくラブストーリーである。悪役令嬢ものや婚約破棄ものの王道的な展開を押さえながらも、復讐ではなく「再出発」を描いているのが印象的な作品だ。
セシリアは好きな人に振り向いてほしい一心で、無理を重ねて「悪役令嬢」を演じていたという理由がいじらしい。その健気さゆえに、婚約破棄後の姿がより胸に迫るのである。
記憶喪失のふりをしたことで、セシリア自身が過去の自分を客観的に見つめ直す姿が描かれる展開も巧みだ。周囲から求められる姿を演じるのではなく、自分がどう生きたいのかを考え始める過程は、現代社会に置き換えても十分リアリティがあり、多くの読み手の共感を呼ぶことだろう。そんな彼女を変わらず見守り続けるシックスの誠実さも本作の大きな見どころである。
そして2026年6月12日に第3巻が発売。元婚約者や元親友との関係に決着をつけようとするセシリアと、彼女を支えるシックスの物語はついに完結を迎える。幸せをつかんだその先に何が待っているのか、ぜひ最後まで見届けてほしい。
文=練馬麟
