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フェンダーラインを観察できる開放的なキャビン

アルファ・ロメオ 33ストラダーレの空力パーツは控えめで、生まれるダウンフォースは揚力を相殺することが目的。強烈な力でボディを地面へ押し付け、ハードコアな走りを追求したスーパーカーとは一線を画す。

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前後のライトは、1967年式のオリジナルを彷彿とさせるデザイン。バタフライドアを開き、運転席へ座る。キャビンはコンパクトながら、ガラスエリアが広く想像以上に開放的だ。優雅にカーブを描く、フェンダーラインをつぶさに観察できるほど。


アルファ・ロメオ 33ストラダーレ(欧州仕様)

主任技術者のジャン・フィリップ・ドレール氏は、これが0号車だと告げた。33台にはカウントされない、唯一のプロトタイプで、量産仕様とは細部が異なるという。

「当初の部品は、超少量生産へ求められる水準に達していませんでした。このようなモデルへ特化した、新たな品質基準を設定したのです」。限定生産部門「ボッテガ」の代表、カミラ・ロスターニョ氏が説明する。

スイッチ類はクルマ用として最高水準の品質

ダッシュボード上部を覆う、ファブリックの縫い目は、僅かに不自然かもしれない。それを除けば、完璧な仕上がりに思える。

送風口はダッシュボードのラインと馴染み、風向の調整はできないものの、存在を隠している。エアコンやオーディオを操作するタッチモニターは、スライドして格納される。ステアリングホイールはアルミ製の3スポークで、目立つボタンはない。


アルファ・ロメオ 33ストラダーレ(欧州仕様)

センターコンソールや、天井側のオーバーヘッドコンソールは、アルミ仕上げで感心する美しさ。スイッチ1つ1つが精巧で、触感も心地良い。ロータリー・ダイヤルなどは、クルマ用としては最高の品質に思えた。

デジタル的な要素を削ったデザインに、33ストラダーレの開発チームは誇りを感じているに違いない。ルーフ部分のガラスは、スイッチひとつで透過性を変更できる。荷室は前後にあるが、リア側はエンジンで温度が上昇する。

トラディショナルな、加飾のない実直さ

試乗場所は、バロッコ・テストコース。誤解を恐れなければ、マセラティMC20(MCプーラ)の印象と重なる部分がある。近年の多くの高性能モデルへ備わらない、トラディショナルな、加飾ない実直さのようなものがある。その魅力が、更に磨かれている。

運転体験の感動を伝えるため、わざわざアルファ・ロメオを訪れるオーナーもいるとか。実際、筆者もその親しみやすさと洗練度の高さへ胸が打たれた。


アルファ・ロメオ 33ストラダーレ(欧州仕様)

V6エンジンは、沢山の空気を吸い込み、低域から力強い。僅かなターボラグは感取されるものの、適切なギアを選んでいる限り問題ない。ユーロ6排気ガス規制へ適合し、微粒子フィルターが備わるユニットとしては、サウンドにも惚れ惚れする。

ドレールは、V8エンジンを搭載したアルファ・ロメオ8Cへ匹敵する、音響を目指したという。2気筒少なくフィルターが介在し、エグゾーストには充分な空間を確保しにくく、簡単な目標ではない。それでも、放たれる響きは魅惑的。偉業と表現できるほど。

熱意を過度に求めない、穏やかな挙動

33ストラダーレは、路面と息を合わせるように疾走する。ステアリングホイールの感触は鮮明で、路面の状況を的確に伝える。ロックトゥロックは2回転ほどあり、ポルシェなどよりレスポンスは穏やか。ブレーキペダルの、ソリッドな感触が頼もしい。

フロントノーズは素直にラインを追い、限界が迫ると安定したアンダーステア。コーナーへの侵入時に速度を整え、フロントをなだめれば、電子制御LSDを活かした鋭い脱出加速を呼び出せる。熱意を過度に求めない、穏やかな挙動で安心感も高い。


アルファ・ロメオ 33ストラダーレ(欧州仕様)

カーボン製タブシャシーだから、ノイズは大きい。ピスタ・モード時は、音量が増える。路面の凹凸も、明確に拾うようになる。とはいえ、この秀抜な操縦性を堪能すれば、切り替える価値は充分以上にあるとわかる。

オーナーの殆どは、サーキットを走るよりコレクションを楽しむ側にあるはず。それでも、実際に運転すれば満たされる理由へ頷ける。メタリックオリーブ・グリーンの1台が筆者へ納車される日があるなら、自分もアルファ・ロメオを笑顔で再訪するだろう。

番外編:たった18台が作られたオリジナル

1966年12月17日、技術者のフランコ・スカリオーネ氏は、オリジナルのアルファ・ロメオ 33ストラダーレの設計を頼まれた。同ブランドのレーシングカー、ティーポ33をベースにした公道用モデルとして。

エンジンは2.0L V8で、最高出力は260ps。デビュー戦のヒルクライムレースで優勝しているが、その後はニュルブルクリンク1000kmレースでの5位など、目立った戦績は残していない。しかし、価値あるアルファ・ロメオとして当時から評価は高かった。


手前からオリジナルのアルファ・ロメオ 33ストラダーレと、最新版

生産数は、試作車を含めて18台。バタフライドアを備え、全長は4m、全幅は1.7mを切る小ささだった。価格はランボルギーニ・ミウラより高く、商業的に成功したとはいえなかったが、その美貌は、ベースとなったティーポ33を凌いだといってもいい。

アルファ・ロメオ 33ストラダーレ(欧州仕様)のスペック

英国価格:200万ポンド(約4億2000万円/予想)
全長:4637mm
全幅:1966mm
全高:1226mm
最高速度:333km/h
0-100km/h加速:3.0秒
燃費:8.9km/L(予想)
CO2排出量:260g/km(予想)
車両重量:1600kg(予想)
パワートレイン:V型6気筒2992cc ツインターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:630ps/7500rpm
最大トルク:74.2kg-m/3000-5750rpm
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック/後輪駆動


アルファ・ロメオ 33ストラダーレ(欧州仕様)