今回の地震で考えられるメカニズム

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 28日午後に発生したマグニチュード(M)7・1(暫定値)の地震で、熊本県では10年ぶりに最大震度7の激しい揺れに見舞われた。

 震源は前回の地震を起こした活断層「日奈久(ひなぐ)断層帯」の付近で、専門家は割れ残りがずれたことによる地震とみている。これまでも大きな地震の発生が警戒されていたエリアで、気象庁は今後も大きな地震発生への警戒を呼びかけている。(科学部、大阪科学医療部取材班)

「横ずれ型」

 「この地域では、大地震が続発した事例がある。1週間は最大震度7程度の揺れに注意してほしい」。気象庁の清本真司・地震津波対策企画官は28日夕の緊急記者会見で、2016年に震度7を2度観測した熊本地震の経験を挙げ、こう呼びかけた。

 同庁は今回の地震について、10年前と同様、陸域の断層が水平方向にずれる「横ずれ型」の地震だったと分析した。海側と陸側のプレート境界で引き起こされた11年の東日本大震災(M9・0)のような海溝型の巨大地震とは異なるメカニズムだ。

 今回の地震は、10年前の地震の原因となった日奈久断層帯付近で発生した。震源の位置は前回から約20キロ・メートル離れていたが、深さは同様に比較的浅かった。清本氏は現時点で今回の地震について同断層帯との関連を明言することは難しいとし、「地震活動を見ながら検討したい」と述べた。

 東京大の加藤愛太郎教授(地震学)は「16年の地震時に全部破壊されず割れ残った断層がずれて、今回の地震が発生した可能性がある」と指摘する。

二つの活断層帯

 日奈久断層帯の近くには、10年前の地震で連動した可能性がある布田川(ふたがわ)断層帯もある。京都大の入倉孝次郎名誉教授(強震動地震学)は「震度分布を見ると日奈久断層帯がメインで動いた可能性が高い。二つの活断層帯は近接しており、一方が動くと連動して動く可能性を考慮する必要がある」と指摘。その上で、「10年前のように、前震の後に本震が来る可能性もあり注意が必要だ」と述べた。

 宮崎公立大の山下裕亮准教授(観測地震学)は「前回の熊本地震に伴ってひずみの分布が変わった。今回の地震の影響で、さらに南側で地震が起こる可能性がある」としている。

Sランク

 今回の地震を引き起こした可能性がある日奈久断層帯は、これまでも大規模な地震を発生させる恐れが指摘されていた。

 政府の地震調査委員会が今年1月に公表した長期評価では、同断層帯のうち中央部分にあたる「日奈久区間(長さ約40キロ・メートル)」で、想定する地震の規模をM7・5程度と予想。30年以内に地震が発生する確率をほぼ0〜6%とし、全国の活断層の中でも最も地震の発生確率が高い「Sランク」に分類していた。

 16年の熊本地震では、気象庁は最初の地震の後に余震への警戒を呼びかけたが、その後、より大きな地震が発生した。そのため、余震という用語がより小さな地震になるとの誤解を招いたとの批判も上がった。

 当時、地震調査委員長だった平田直・東大名誉教授(観測地震学)は「大きな地震が起きてもそれで終わりではなく、直後に同程度の揺れが起きやすい。倒れやすいものからは離れるなど、身の安全を確保する対応をとってほしい」と話している。

「震度7」観測8回目、熊本では3回目

 今回の地震では、熊本県宇城市と氷川町で震度7を観測した。気象庁が定める震度階級では一番上で、観測されたのは今回が8回目となる。

 震度7が初めて発表されたのは1995年の阪神大震災。「野島断層」が引き起こした直下型地震で、神戸市を中心とした市街地で多数の死傷者が出た。

 2016年の熊本地震では短期間に震度7を観測した地震が2回発生しており、熊本県では今回で3回目となる。九州大の松本聡教授(地震学)は今回の地震について「震源が浅く地表までの距離が近かったため、震度7の強い揺れにつながった可能性がある」と指摘する。

 18年の北海道胆振(いぶり)東部地震では道全域で一時停電する「ブラックアウト」が発生し、ライフライン対策に大きな課題を残した。24年の能登半島地震では住宅倒壊や土砂災害など多くの被害がでた。

 気象庁によると、震度7の揺れでは人が立っていることができず、はわないと動くことができない。固定していない家具が倒れたり、補強されているブロック塀も破損したりするとしている。