「友人は10歳下がちょうどいい」「笑えない自慢話はしてはいけない」72歳・林真理子が語る70代の人づきあい術
健康やお金、おしゃれ、人間関係……70代、そして80代の人生1分1秒を楽しんで生きていくには、どうしたらよいのでしょうか。72歳を迎えた作家・林真理子さんは「70代は頭も体もまだ大丈夫。それなりに蓄えもできている。でもこれまでと全く同じことをしていたらダメ」と語ります。そこで今回は林さんの著書『80代になるとたいていボケるか死ぬ。70代は神様から与えられた特別な時間』より一部を抜粋し、林さんの痛快・人生論をお届けします。
【書影】72歳の人気作家が本音で語る、今の1分1秒を楽しんで生きるための痛快・人生論。林真理子『80代になるとたいていボケるか死ぬ。70代は神様から与えられた特別な時間』
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友人は10歳下を選ぶ。同じ年代とばかりつるまない
このあいだみんなでスペイン料理を食べている最中、ひとりが還暦を迎えることのショックを語り出した。
「そうよ。わかるわかる」
「特別の誕生日パーティーなんかしてほしくないよねー」
そうだよねーとあいづちをうちながら、やがて気づいた。みんな私より10歳下ではないか。それなのに私は、自分は全く仲間だと思っていたのである。
図々しいと思うが仕方ない。あちらも年齢差のことを忘れているのだから。美容の話や好きなお芝居や芸能人のことなど、気づくと何時間でも喋っていられる仲間たちだ。
私自身は私のことが見えない。目に入ってくるのは10歳ほど下の人たち。しかしそれでちゃんとサークルの中に入れてもらえるならそれでいいではないか。
もちろん同い齢の友人もいるが、おしゃれでとても若く見える人たち。そうバアさんはバアさんと一緒にいてもあまりいいことはない。
その年代の中では“孤独”になり、ぽーんと年下のグループに入っていく。あまり下だと、いたわられたり、敬語で話されたりする。やはり10歳下くらいがちょうどいい。還暦の前後で、自分も老いについて考え始める年齢でもある。いわば老人の初心者、70歳でこの感覚をつかむことは大切である。やはり年下の友人と仲よくしておくに越したことはない。
笑えない自慢話をしてはいけない
時々、有名人と食事をしたりして、一緒に写真を撮る。私は必ずこう言う。
「私はSNSとかしていない。ただ友だちに自慢したいだけなの。だからこの写真、人に送っていい?」
こう言うとたいていの人は笑って許してくれる。
自慢話で許されるのは、有名人や芸能人に会った、ということであろう。無邪気に写真が送られてきて、皆で「いいネ」とか「羨ましい」と言い合うことができる。
が、このあいだグループLINEにハワイの写真が送られてきて少々ムッとした。皆で、
「この円安時代、どこにも行けないよねー」
と話していたばかりなのである。しかし彼女は頭のいい人なので、
「格安チケットが手に入った」からと強調したので、皆は胸をなだめた。かように自慢話をするにはテクニックが必要だ。ましてや70代にもなれば、かなり格差が生じてくる。センシティブになるのはあたり前だろう。
自慢話は聞いて楽しく、オチのあるものに
70歳になると、もはや現役を退く人が多い。若い頃は同級生が集まると、自分が勤めている企業の話になり、かなり差が付けられたと思った。やがて夫の自慢となり、子どもの自慢になる。
それを聞くのがイヤで、しばらく同級生から遠ざかっていた。それが10年くらい前、昔のクラスメイトと会ったら、もはや自慢話は消えて、親の介護がテーマになった。わかるわかると、皆で慰め合い、いわば不幸共和制、すっかりうちとけた。

(写真提供:Photo AC)
そしてまた10年たち、親も亡くなり、聞くのは自分の病気の話ばかり。そこで浮上してきたのが孫の自慢話。どこそこの大学に入っただの、留学しているだの、まことに聞きづらい。
自慢話は聞いて楽しく、オチのあるものにしてほしい。どんなオチかというと、ものすごく高いお店に入ったのだが、結局は食べきれず土産にしてもらおうとしたが断られたとか、夫婦で高級温泉旅館に行ったのはいいが、クーポンを使ったせいかサービスが悪かった、とか、ほんの小さなウソや、あるいは誇張が必要である。
ちょっと危ないかなーと感じた時は
また70代はじめは微妙な時期で、役員待遇でまだ働いてる人もいることはいる。こういう人は自慢話は絶対にしない方がいい。まわりが「すごい、すごい」と言うのを、笑って聞いているのが無難だろう。
女性の美容自慢。どこそこのクリニックへ行っている、こういうクリームを使っている、という情報も取りようによってはイヤ味に聞こえるのがむずかしいところ。
ちょっと危ないかなーと感じた時は、
「自慢っぽく聞こえてナンだけど」
とあらかじめ言っておくのがいいかもしれない。
※本稿は、『80代になるとたいていボケるか死ぬ。70代は神様から与えられた特別な時間』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。

