国際サッカー連盟(FIFA)規律委員会は9日、イングランド代表のDFジャレル・クアンサー(レバークーゼン)に2試合の出場停止処分を下すことを決めたと発表した。クアンサーは5日に行われた北中米W杯決勝トーナメント2回戦メキシコ戦で、一発退場処分を下されていた。イングランドはもし準々決勝ノルウェー戦に勝利しても、クアンサーは準決勝に出場できないことが決まった。

 クアンサーはメキシコ戦の後半9分、メキシコのMFヘスス・ガジャルドにスライディングを行った際、足裏が相手の脛付近に接触。VARが介入し、オンフィールド・レビューが行われた結果、一発レッドカードが提示された。

 一発退場処分が下された選手には通常、自動的に1試合の出場停止処分が下されるが、クアンサーはより悪質度の高いとされる「著しく不正なファウルプレー」による退場だったため、FIFA懲罰規定に基づき、最低限となる2試合の出場停止処分が科された形だ。

 もっとも今大会の一発退場による出場停止を巡っては、アメリカ代表のFWフォラリン・バログン(モナコ)がラウンド32のボスニア・ヘルツェゴビナ戦で、足裏で相手を踏んだ行為により、同じく「著しく不正なファウルプレー」による一発退場処分を受けたが、出場停止処分は1試合にとどまっていた。またその出場停止も1年間にわたって猶予され、ラウンド16に出場できるという異例の対応も行われていた。

 FIFAはバログンに関する決定について「サッカーにおけるレッドカードの位置付けを検証することは現代サッカーにおいて目新しいことではない」とし、UEFA圏内の大会では「レッドカードの取り消しが一般的な懲戒措置となっている」と指摘。その上で、バログンの事例では「レッドカードは取り消されなかった」とし、執行猶予という決定は「はるかにバランスの取れた措置と言える」と主張していた。

 もっとも、UEFA圏内の大会で行われているレッドカードの取り消しは、判定に誤りがあった場合の救済措置的な意味合いが強く、正しい判定でレッドカードが出された今回の例には当てはまらない。また今回、クアンサーの件では規定通りに2試合の出場停止処分が下されており、類似事案の処分に生まれた矛盾は大きな波紋を呼びそうだ。

(取材・文 竹内達也)