そういったものを考えていくなかで、守備の理解も高まりましたし、シゲさん(長谷部監督)もそういう思考のもとでやっているので、新しい発見もあります。先日のCL決勝を見ていてもアーセナルだって引いても守れるし、前プレ(前からのプレス)もできる。そこを高いレベルで使い分けられるのが凄い。

(自陣)ゴール前の最終局面での守備に関しては個人的にもまだ上手く言語化できず、課題もあり、シゲさんの考えを体現できていないところがありますが、そこまで押し込まれないように守備をしたい。前プレが整備されて、ハマっていくと、押し込まれる時間も減るし、奪う位置も高くなるので、速攻にならなくても遅攻も相手陣地でできる。守備と攻撃は別と考えるとそういうことはできないので、そこは少しずつできているところかなと思います」
 
 数字や結果には上手く表われていないが、積み重ねは確かにあるということだろう。だからこそ、クラブは監督の続投を決めたと信じたい。

 チームは改めてオフを挟み、7月になれば、夏の新シーズンに向けて始動する。現状では長谷部監督の続投、長橋康弘ヘッドコーチの新設するU-21チームの監督への配置換えが発表されている。ここから巻き返しへさらなるスカッドの変更が示されていくのだろう。

 最終戦のセレモニーでは改めて、リーグの覇権奪回、ACLEの舞台に再び戻り、準優勝に終わった前々大会の忘れ物を取りにいくことが目標として掲げられた。

『優勝』を視野に臨んだ百年構想リーグの総括、新シーズンへ何を変えていくべきなのか、説明はなされないままだが、目標は変えないということだろう。

 高みを目指すことは悪くないように映る。ただ、現状では絵にかいた餅の状態にもなっている。現実に、優勝から時が過ぎれば過ぎるほど、負けることを拒絶する気持ちが薄まっていくことを危惧する声は多く上がっていた。しかし、現実に数年の時が経ってしまっている。

 選手が活躍すれば、海外クラブに引き抜かれる難しい状況であり、チーム強化の苦労は傍から見ていても痛いほど分かる。もっとも、優勝やアジアの舞台への復帰を本気で目指すのであれば、それなりの覚悟、志が必要になるのは火を見るよりも明らかだ。

 ただ一方で、25年度クラブ経営情報では、川崎は浦和に続いて売上高で100億円を突破し、百年構想リーグのホーム平均観客数は2万5212人。若いタレントが育つ土壌もできており、昨夏にはCB高井幸大らが移籍金を残す形で海を渡った。勝敗の波が激しくとも、運営は安定しているとも評せる。