猛女役で朝ドラ主演決定の河合優実「オファーに心臓バクバク。今は覚悟が決まった」脚本の宮藤官九郎「良妻賢母じゃなくていい」
2028年春(前期)の連続テレビ小説『ほんのモキチ』の制作・主演発表会見が4日、NHK放送センター(東京都渋谷区)で開かれた。主演の河合優実さん、脚本の宮藤官九郎さん、制作統括の板垣麻衣子さんが登壇し、意気込みを語った。(取材・文:婦人公論.jp編集部)
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連続テレビ小説通算118作目となる『ほんのモキチ』は、歌人の斎藤茂吉の妻、輝子をモデルに大胆に再構成。朝ドラ史上、最も不仲な夫婦の物語を描く。家事も育児もせず、そのくせ口が悪く、奔放で負けず嫌いで派手好きな上、やたら前向きな妻、杜テル子(河合優実さん)。大病院の院長で、数々の名歌を詠んだ偉人なのに、陰気で粘着質で、冴えない風貌の婿養子ゆえ、人望もない残念な夫、モ吉。この二人、気が合うわけがなく…。
オファーにドキドキ
ヒロインを務める河合さんはオーディションではなく、キャスティングで選ばれた。会見で河合さんは「朝ドラは特別な作品でスケールの大きいもの。その真ん中に立たせていただくということで、手放しに嬉しいだけではありませんでした。お話をいただいたときに心臓がバクバクして。 今はもう覚悟が決まってやる気満々です」と意気込んだ。
朝ドラ初出演となった『あんぱん』(2025年)では、ヒロイン・のぶ(今田美桜)の妹、蘭子を演じて、話題を呼んだ。河合さんは「あんぱんでは、今田さんが本当に最初から最後まで明るく、みんなの前では太陽のように現場に来てくれていました。もし自分がここに立つことがあったら、こうやってできるかなみたいに思っていました。 尊敬もありましたし、間接的にプレッシャーも感じていたので、オファーをいただいたときすごくドキドキしたんです」と明かした。
モデルとなる斎藤輝子は明治28年、大病院を経営する斎藤家の娘として生まれる。学生時代に婦人誌の「令嬢特集」で表紙を飾り、一躍時の人に。大正3年に歌人の斎藤茂吉と結婚後は、震災や大火事、戦争と激動の時代を生き、病院を守ることに腐心。一方で、妻の立場に縛られずに自由に生きた。晩年には南極、エベレスト登山など世界各地を冒険し、破天荒な生き方が注目を集めた。息子は、芥川賞作家の北杜夫。
猛女と称された輝子について、河合さんは資料を読み始めたところだという。「輝子さんの生き方に驚くし、感嘆するし、笑っちゃう。波乱の人生を歩まれてきた。事実は小説よりも奇なりという言葉が頭に浮かんでしまうぐらい、盛る必要がないほど面白い家族」と語った。
真っ先に河合さんが
斎藤輝子を主人公に据えたことについて、宮藤さんは「できれば実在の人物がいい。そして、今は女性が活躍する時代なので、自由に言いたいことを言う女性のキャラクターがよかったんです。あくまでコメディがやりたいっていうこと、そして夫婦の話がやりたいっていう思いでした。斎藤輝子さんは、茂吉さんという偉大な人に全く尽くしていない。 これを朝から見たら楽しいだろうなって」と思いを明かした。
さらに、「僕が小さいときには、父親と母親が『ご飯が硬い』『もう行け』とか喧嘩して、学校や会社に送り出した後にテレビをつけてみるドラマだったから、良妻賢母じゃなくていいんじゃないかなという思いもありました」と説明。主人公のキャラクターに新鮮さも感じたという。
河合さんは、宮藤さん脚本のドラマ『不適切にもほどがある!』シリーズにも出演していた。「夫婦喧嘩のシーンを書くことになりますが、喜劇になってないと難しい。真っ先に河合さんが思い浮かびました。セリフとかお芝居のキレが一番大きかったですね」
宮藤さんにとっては、『あまちゃん』(2013年)以来15年ぶりの朝ドラ執筆となる。
「『あまちゃん』のときは、月曜から土曜までだったんですよ。 それが金曜までなのでちょっと減るのは大きい。『あまちゃん』のときもエピソードが入りきらなくて、どんどんどんどん最初に想定してたよりも物語が膨らんでいったんです。(『ほんのモキチ』では)どこをピックアップしようか考えているところ」と振り返った。
2019年には大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック 噺〜』の脚本を執筆。宮藤さんは「実在する人の残っている資料から物語を考えるのがすごく楽しかった。今回は、細かく(茂吉の)日記が残っています。 妻と喧嘩したっていうことばっかりなんですけど。朝、1日の始まりに見るドラマとして楽しんでもらえるようにどうどういうふうに描こうか考えているのが楽しい」と打ち明ける。
ドラマのタイトルの『ほんのモキチ』は、テル子視点で考案。「茂吉」と「気持ち」を引っ掛けたという。「気持ちって、すごいいい言葉だと思うんです。気持ち右とか、気持ち多めとか、『ちょっと』っていう意味がある。(茂吉は)病院のことも頑張ってやってるし、短歌の世界では一流、天才だと言われてる人なのに、奥さんからしたらほんのモキチなんだなって。2つの意味をかけました」とタイトルに込めた意味を披露した。
プロフィールは
●河合優実
2000 年生まれ、東京都出身。21 年に映画『由宇子の天秤』『サマーフィルムにのって』での演技が高く評価され、各賞の新人賞などを受賞。主な出演作に、ドラマ『不適切にもほどがある!』『RoOT / ルート』、映画『ナミビアの砂漠』『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』『ルノワール』『旅と日々』など。映画『あんのこと』で、第 48 回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。NHK では、プレミアムドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』で、主人公・岸本七実を好演。2025 年度前期連続テレビ小説『あんぱん』で、主人公・のぶの妹・蘭子役を演じた。
●宮藤官九郎
1970 年生まれ、宮城県出身。91 年より「大人計画」に参加。映画『GO』で第 25 回日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞。以降数々の作品を生み出し、最近では、ドラマ『不適切にもほどがある!』、『新宿野戦病院』、『俺のこと、なんか言ってた?』など話題作を次々と執筆。監督、俳優、ミュージシャンとしても活躍する。2025 年に紫綬褒章を受章。NHK での執筆は、大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック 噺〜』など。連続テレビ小説の執筆は、『あまちゃん』以来 15 年ぶりとなる。
