「きれいをあきらめないで」 訪問美容で笑顔を届ける【徳島】
自宅や介護施設などに出向き、カットやパーマなどの美容サービスを提供する「訪問美容」が今、県西部で広がりを見せています。
高齢者や不登校など外出が困難でもおしゃれがしたい、その願いをかなえる1人の女性を取材しました。
■「きれいをあきらめないで」
(訪問美容リリー・木村早百合 代表)
「外出が困難でも、きれいをあきらめないでもらいたい」
■2年前に「訪問美容室リリー」開業
木村さんは2年ほど前から、吉野川市から三好市にかけて、高齢者や不登校など外出が困難な人の自宅や施設を訪ねて、カットなどを行っています。
■きっかけは「幼い日の出来事」
「訪問美容師」を目指したきっかけは、幼い頃に目にした、忘れられない出来事でした。
(訪問美容リリー・木村早百合 代表)
「小学校の時に自分自身のおばあちゃんが、下半身が不随で寝たきりだったんです」
「お父さんがカットしよったんですけど、素人なんで気に入らんのよね、おばあちゃんは」
「ほんで『私は女なのに、こんなに短こうにしてからに』って言って、ごっつい怒ったんですよ」
「それを見て、やっぱり女性っていつまでもきれいにおりたい」
「どんな状況になっても、きれいでおりたいんやなって強く思ったので」
その想いを胸に木村さんは、美容師の資格と高齢者をサポートしようと、介護福祉士の資格を取得。
その後、県内の美容室で訪問美容の経験を4年間積んで、リリーを開業しました。
■介護福祉士の視点から…
依頼先に向かう準備をする、木村さん。
介護福祉士の視点から、あえて重量を重くしたアイテムがあります。
(訪問美容リリー・木村早百合 代表)
「イスはやっぱり軽いと、おばあちゃんが掴まるので」
「やっぱり、しっかりした重たいイスじゃないと、身体の不自由な方が不安なので」
10点ほどの道具を詰め込み、事務所から車を走らせること約15分。
勾配が激しい山道を抜けて、訪問先に到着しました。
(訪問美容リリー・木村早百合 代表)
「おはようございます、きょうパーマとカラーしような」
(利用者)
「カラーと・・・」
(訪問美容リリー・木村早百合 代表)
「パーマもするやろ?」
■意識するのは「利用者を元気に」
(利用者)
「いや、もうカットでもええわ、暑いけん」
「直に伸びるけん、カットとカラーしてもらいたいんじゃ」
「よう自分で(美容室)行かんけんな」
接客中は、利用者に元気を与えることを意識しているという木村さん。
この日は、近くに住む共通の知人の話や地元の話題などで、お客さんとの距離を縮めます。
(利用者)
「熊が出よるって言よるじょ、気つけとかな」
(訪問美容リリー・木村早百合 代表)
「徳島も出るんかな」
(利用者)
「出るんでよ、食べ物があったりしたら」
(訪問美容リリー・木村早百合 代表)
「一宇の剣山の方にはおるっていうけど、この辺にはおらんのちゃうん」
(利用者)
「ほれもわからん、いつ回ってくるやら」
■シャンプーも自宅で
また、訪問美容ならではの光景も。
(訪問美容リリー・木村早百合 代表)
「利用者さんの近くでシャンプーできるように、移動式のタンクを使っています」
「結構重くなるんですけどね、でもこれだけのお湯があったらシャンプーできるんでね」
タンクの重さは、約20キロ。
これを持ち運べば、利用者はシャンプー台まで移動いなくても、椅子に座ったまま髪を流すことができます。
お客さんを労わる、木村さんの心遣いが表れています。
このあと、約1時間10分かけてカットとカラーをしました。
■「きれいになったら、どこへでも」
(利用者)
「うれしいな、きれいになったら、どこにでも行ける」
(記者)
「この後は、どういう気持ちで過ごせそうですか」
(利用者)
「すっきりしたけん、あちこち出ていけるな、あちこちしてこけんようにせないかん」
(訪問美容リリー・木村早百合 代表)
「あぁ、もうよかったです」
「そうやって喜んでくれるのが、一番うれしいので」
明るい接客と確かな技術で依頼者の笑顔を作る木村さん。
今後は、この事業の拡大を目指していると話します。
■「きれい」と「笑顔」をもっと多くの人に
(訪問美容リリー・木村早百合 代表)
「ゆくゆくは、県内全域にリリーネットワークを作っていきたいし」
「県内だけではなくて、もっともっと広げていけたらいいなって思います」
「家におってもシャンプーもできるし、パーマもカラーもお部屋でできるので」
「自宅が美容室になります、なんできれいを諦めないでくださいって、お伝えしたいです」
(訪問美容リリー・木村早百合 代表)
「ほなな」
幼い頃、祖母に届けたかった「きれい」と「笑顔」。
木村さんは、これからも多くの人に届けます。
料金については、エリア内だと訪問にかかる費用は必要ないということです。
また、リリーという名前は覚えやすい呼び名をと考えた結果、木村早百合さんの「ユリ」から名付けたそうです。
これから、活動の幅が広がることを期待したいですね。
